
米国NIHの資料に基づく | 多発性硬化症では吐き気はどのような原因で起こり、どのくらい一般的で、受診の目安や対処法はありますか?
多発性硬化症の吐き気は中核症状ではありませんが、脳幹・小脳病変、めまい、消化器機能異常、治療薬の副作用などで生じます。消化器症状は約2/3、機能性消化不良は約3割にみられ、長時間の嘔吐や脱水、血性吐物、激しい頭痛・腹痛、新たな神経症状は受診の目安となり、軽症時は少量頻回の食事・水分の工夫や薬剤の使用は医師・薬剤師に相談します。
多発性硬化症における吐き気の「原因・頻度・受診目安・対処法」
吐き気(悪心・嘔吐)は多発性硬化症(MS)の「中核症状」ではありませんが、いくつかの要因で起こりうります。 代表的には、脳幹・小脳など吐き気に関わる領域の病変、めまい・平衡障害に伴う二次的な悪心、便秘や機能性消化不良などの消化器症状、そして治療薬の副作用が関与します。 [1] 吐き気がMSの再発そのものを直接示すとは限りませんが、神経症状の再燃と併発する場合は評価が必要です。 [2]
吐き気の主な原因
- 脳幹・小脳病変による中枢性悪心
- 脳幹は嘔吐中枢や前庭(めまい)系と近接しており、ここに炎症が及ぶと悪心・嘔吐、激しいめまい、平衡障害が生じることがあります。 [1]
- こうした病変はMSの再発で起こり、他の神経症状(視力低下、言語・運動障害など)と同時に出ることがあります。 [1] [2]
- めまい・前庭性症状に伴う吐き気
- 小脳・前庭系の障害により「乗り物酔いのような」悪心が続くことがあり、頭を動かすと増悪するのが特徴です。 [1]
- 消化器症状(機能性消化不良・便秘など)
- MSでは便秘、嚥下障害、機能性消化不良(胃もたれ、上腹部不快感)などの消化器症状が比較的よくみられ、これらが吐き気につながることがあります。 [3]
- 気分障害(不安・抑うつ)があると機能性消化不良や過敏性腸症候群が増え、悪心が長引く一因になります。 [3]
- 治療薬の副作用
- 歩行改善薬ダルファンプリジン(アンプライダ、一般名dalfampridine)では、吐き気が副作用として報告されています。 [4] [5]
- ステロイド治療はMS再発に用いられますが、胃部不快感や消化器症状を悪化させることがあり、胃保護薬の併用が検討されます。 [2]
どのくらい一般的か(頻度の目安)
MSの方の約2/3が何らかの持続する消化器症状を訴え、そのうち約3割が「消化不良(機能性消化不良)」に該当します。 [3] 吐き気単独の厳密な頻度は研究により差がありますが、消化不良・便秘・嚥下障害・前庭性めまいといった関連症状が比較的高率で、吐き気はこれらに付随して臨床現場でしばしば見られます。 [3]
受診の目安(危険サイン)
以下のサインがあれば、早めの受診をおすすめします。
- 24時間以上嘔吐が続く、3~5回以上/日の嘔吐がある。 [6] [7]
- ひどい頭痛や頸部硬直(首が固くなる)を伴う、もしくは今までにない激しい頭痛を伴う。 [8]
- 脱水の兆候(強い口渇、口の乾き、尿が少ない・濃い、立ちくらみ、ふらつき)。 [8] [6]
- 吐物に血が混じる、黒色便(消化管出血の疑い)。 [8]
- 強い腹痛や持続する発熱を伴う。 [6]
- 新たな神経症状(視力低下、しびれ・筋力低下、ふらつきの増加、構音障害など)を同時に認め、MSの再発が疑われる。 [2]
対処法(セルフケアと医療的対応)
セルフケア(軽症時)
- 少量頻回の食事に切り替え、ゆっくり食べる。食後は2時間ほど座位を保つと逆流やむかつきが和らぎます。 [9] [10]
- 飲み物は冷たく透明なものを少量ずつ(例:薄い果汁、炭酸を抜いた薄色のソーダ)。カフェインは脱水を助長するため控えめに。 [9]
- 食前・食後1時間は大量の水分を避けると胃の張りが減り、悪心が軽減することがあります。 [9]
- 脂っこい・匂いが強い・熱い食事は悪心を誘発しやすいので、冷めた・あっさりした食品に。 [11]
- めまいがある場合は急な頭部運動を避け、暗めの静かな環境で安静にすると楽になります。 [8]
市販薬の利用について
- 一般的な制吐薬(ドンペリドンなど)や胃薬は一時的に症状を和らげることがありますが、MS治療薬との相互作用や基礎疾患の影響を考慮し、原則として医師・薬剤師に相談してから使用してください。 [4] [5]
医療的対応
- 脳幹・小脳病変が疑われる場合やMS再発が示唆される場合は、短期大量のステロイド点滴(メチルプレドニゾロン)が考慮されます。 [2]
- ステロイドに反応しない重い再発では血漿交換が選択されることがあります。 [2]
- 消化器症状が持続する場合、消化器専門医への協力診療で機能性消化不良・嚥下障害・便秘の評価と治療計画を立てると再発予防と生活の質の改善に役立ちます。 [3]
よくある薬剤の副作用(例)
下表はMS関連薬や神経疾患治療薬で報告のある「吐き気」または消化器系副作用の一例です。実際の服薬内容により異なるため、服薬中の薬名で確認してください。 [4] [5] [2]
| 薬剤(一般名) | 主な目的 | 吐き気の報告 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ダルファンプリジン(dalfampridine) | 歩行改善 | あり(副作用リストに悪心) | 痙攣リスクがあり用量遵守が重要です。 [4] [5] |
| ステロイド(メチルプレドニゾロン/プレドニゾン) | 再発時治療 | 胃部不快・消化器症状が出ることあり | 胃保護薬併用を検討します。 [2] |
| 一部の鎮痛・鎮静薬など | 症状緩和 | 悪心・嘔吐の副作用がありうる | 併用薬の確認が必要です。 [12] [13] |
まとめ
MSでの吐き気は「病変による中枢性」「めまいに伴う二次性」「消化器機能異常」「薬剤副作用」など、複数の原因が重なって起こりやすい症状です。 [1] [3] [4] [5] 頻度は「吐き気単独」では一定しませんが、消化器症状全体では約2/3、消化不良は約3割程度と報告されており、臨床的に珍しくはありません。 [3] 危険サイン(長時間の嘔吐、脱水、血性嘔吐、激しい頭痛・腹痛、新たな神経症状)では速やかに受診し、軽症では食事・水分の工夫と適切な薬剤相談を行うのが一般的です。 [8] [6] [9] [10] [7] [2]
関連する質問
出典
- 1.^abcde신경세포에 염증이 생기는 다발성 경화증 – 다발성 경화증 | 건강정보(health.severance.healthcare)
- 2.^abcdefghi다발성 경화증(Multiple sclerosis) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 3.^abcdefgAdding to the burden: gastrointestinal symptoms and syndromes in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdeDailyMed - DALFAMPRIDINE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdeDailyMed - DALFAMPRIDINE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdNausea and Vomiting(medlineplus.gov)
- 7.^abManaging Nausea and Vomiting(mskcc.org)
- 8.^abcdeNausea and vomiting Causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 9.^abcdManaging Nausea and Vomiting(mskcc.org)
- 10.^abManaging Nausea and Vomiting(mskcc.org)
- 11.^↑부작용 관리 > X선 방사선치료 > 양성자치료센터 > 병원(ncc.re.kr)
- 12.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
- 13.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


