
PubMedの資料に基づく | 多発性硬化症に関連する頭痛の頻度、主な原因、典型的な症状像、および受診の目安は何ですか?
多発性硬化症(MS)では頭痛は典型症状ではないものの、約50%でみられ、病初期から経過中に出現し得ます。原因として一次性頭痛の併存、痛み経路に関わる戦略的脱髄病変、治療薬(インターフェロン等)の副作用が挙げられ、緊張型頭痛や片頭痛が中心です。突然の激しい頭痛や神経症状・高熱を伴う場合は救急受診、頻度や強度の増加、治療薬変更後の悪化は早めの外来受診が推奨されます。
多発性硬化症(MS)に関連する頭痛:頻度・原因・症状像・受診の目安
多発性硬化症(MS)では、頭痛は「典型的症状」とはみなされないことが多いものの、一般の方よりも起こりやすい傾向が報告されています。約半数程度のMS当事者で頭痛がみられ、病初期や経過中に出現することがあります。 [1] もっとも多い頭痛タイプは緊張型頭痛や片頭痛(前兆なし)で、まれに後頭神経痛や群発頭痛に似た痛みがみられることもあります。 [1]
頻度(どのくらい起こるか)
この「約50%」という数値は複数研究の総括的な報告に基づくもので、一般集団との差がどれほどかについては研究間でばらつきがあるため、解釈には幅があります。 [2]
主な原因(なぜ起こるのか)
-
一次性頭痛の併存(片頭痛・緊張型頭痛)
MSとは独立した一次性頭痛が合併しているケースが多く、片頭痛(前兆なし)と緊張型頭痛が代表的です。 [1] -
脱髄病変の部位(戦略的領域)
中脳や脳幹、頸髄など、痛みの経路や痛覚調整に関わる「戦略的」部位に病変がある場合、片頭痛様や後頭神経痛様の強い頭痛を引き起こすことがあります。 [1] [2] -
疾患修飾薬(DMT)による影響
インターフェロンなど一部の治療薬は、頭痛を副作用として誘発・増悪することがあります。 [1] [2]
典型的な症状像(どんな頭痛が多いか)
- 緊張型頭痛:両側性で締め付けられるような痛み、軽度~中等度、日常動作は可能だが不快感が続くタイプが多いです。 [1]
- 片頭痛(前兆なし):拍動性の中等度~重度の痛み、悪心(吐き気)や光・音過敏を伴うことがあり、活動が妨げられます。 [1]
- 後頭神経痛様:後頭部~首筋に電撃痛や刺すような痛みが走るタイプで、頸髄や脳幹近傍の病変との関連が示唆されます。 [1]
- 群発頭痛様:片側眼窩周囲の激痛が短時間に反復する群発型のパターンが報告されることがありますが、頻度は高くありません。 [1]
なお、MSに伴う痛み全体の中で頭痛はよくみられる訴えであり、頭痛の丁寧な評価が生活の質(QOL)改善につながります。 [2]
受診の目安(レッドフラッグと相談タイミング)
すぐ救急受診すべきサイン(レッドフラッグ)
以下に該当する場合は、脳卒中・髄膜炎・脳炎など重篤な疾患の可能性があるため、救急受診が推奨されます。 [3] [4]
- 突然発症した激しい頭痛(雷鳴頭痛)や「人生で最悪の頭痛」。 [3] [4]
- 高熱(おおむね39~40℃)を伴う頭痛、意識混濁・理解困難・失神を伴う頭痛。 [3] [4]
- 片側のしびれ・脱力・麻痺、言葉が出づらい、視覚障害、ふらつき(歩行困難)など神経症状を伴う頭痛。 [3] [4]
- 頸部硬直(首の強いこわばり)、けいれん、嘔吐を伴う頭痛(インフルエンザや二日酔いが明らかな場合を除く)。 [3] [4]
速やかな外来受診が望ましいケース
以下に該当する場合は、早めに神経内科や頭痛外来に相談するとよいでしょう。 [5]
- 頭痛がいつもより頻繁に起きる、強さが増している、適切なセルフケアでも改善しない。 [5]
- 持続的に毎日のように続く(慢性日常頭痛)傾向がある。 [6]
- MS治療薬の開始・変更後に頭痛が悪化した。(薬剤性の可能性を含めた評価が必要) [2] [1]
管理のポイント(セルフケアと医療的対応)
- トリガー管理:睡眠不足、ストレス、脱水、過度のスクリーン光、飲酒などを避け、生活リズムを整えることが頭痛予防に役立ちます。 [7]
- 薬剤調整:インターフェロンなどで頭痛が悪化する場合、主治医と副作用対策や薬剤変更の可否を相談します。 [1] [2]
- 過用頭痛の回避:市販鎮痛薬の頻回使用は「薬剤の過用頭痛」を招くことがあり、使用日数・量の調整が重要です。 [8] [9]
- 専門的治療:片頭痛や慢性日常頭痛が疑われる場合、急性期治療(トリプタンなど)や予防療法(β遮断薬、抗CGRP薬など)を検討します。一次性頭痛の診療ガイドの枠組みで、MSの病勢や薬剤との相互作用も踏まえて個別化します。 [10] [6]
まとめ
- 頻度:MSでは頭痛が約50%程度で報告され、病初期から経過中まで出現し得ます。 [1]
- 原因:一次性頭痛の併存、痛み経路に関わる戦略的部位の脱髄病変、治療薬(インターフェロンなど)の副作用が主因となり得ます。 [1] [2]
- 症状像:緊張型頭痛・片頭痛が中心で、後頭神経痛様や群発様もまれにみられます。 [1]
- 受診の目安:突然の激しい頭痛、神経症状や高熱を伴う頭痛は救急受診、頻度や強度の増加・改善しない頭痛、治療薬変更後の悪化は外来受診が勧められます。 [3] [4] [5]
MSと頭痛は併存しやすく、適切な評価と予防・治療で生活の質を大きく改善できます。 [2]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijklmnopHeadache and multiple sclerosis: clinical and therapeutic correlations.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefghHeadache in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefHeadache When to see a doctor(mayoclinic.org)
- 4.^abcdefHeadache - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 5.^abcHeadache When to see a doctor(mayoclinic.org)
- 6.^abChronic daily headaches - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 7.^↑Headaches: Reduce stress to prevent the pain(mayoclinic.org)
- 8.^↑Medication overuse headaches - Doctors and departments(mayoclinic.org)
- 9.^↑Medication overuse headaches - Doctors and departments(mayoclinic.org)
- 10.^↑Headache - Overview(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


