Medical illustration for 米国NIHの資料に基づく | 多発性硬化症で発熱があるとき、疾患の増悪によるものか感染症によるものかはどのように見分ければよいですか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | 多発性硬化症で発熱があるとき、疾患の増悪によるものか感染症によるものかはどのように見分ければよいですか?

要点:

発熱時は新しい神経症状が24時間以上持続するかと、感染徴候(特に尿路感染)を確認します。熱時のみ症状が悪化し解熱で改善すれば擬再発が示唆され、尿試験紙や血液検査で感染を評価します。持続する新規症状があればMRIで活動性病変を確認し、感染が否定的ならステロイド治療を検討します。

多発性硬化症の発熱:増悪か感染かの見分け方

発熱があるときは、まず「新しい神経症状が24時間以上持続しているか」と「明らかな感染のサインがあるか」を同時に確認するのが基本です。体温上昇や感染は、既存のMS症状を一時的に悪化させる“擬再発(偽増悪)”を引き起こしやすく、これは真の再発(増悪)とは区別されます。 [1] 真の再発は、通常は新しい神経症状が24時間以上持続して現れ、熱やストレスだけでは説明できない持続的な変化になります。 [2] [3]


基本的な考え方

  • 擬再発(偽増悪):軽い発熱・暑さ・疲労・ストレスで、既存の症状が一時的に悪化する状態です。これは“真の再発”とはみなされません。 [1]
  • 真の再発(増悪):新しい神経症状(視力低下、四肢の力が入らない、感覚異常など)が24時間以上持続して悪化し、数日~数週間続いた後に回復していくのが一般的な経過です。 [2] [3]

感染を疑うサイン

  • 尿路感染の典型症状:排尿時の痛み、発熱、片側の腰背部痛、尿のにおい・濁り、頻尿などはMSでよくみられる感染合併のサインです。 [4] MSの方は尿路感染を起こしやすいため、これらの症状があればまず感染評価が重要です。 [5]
  • 発熱による症状悪化:感染に伴う発熱はMS症状を一時的に悪化させることがあり、これは真の再発ではありません。 [6] [7]

実践的な判別ステップ

    1. 症状の時間軸を確認
      新しい神経症状が24時間以上持続しているか確認します。短時間の変動や熱がある時のみ悪化する場合は擬再発の可能性が高いです。 [1] [2]
    1. 感染のチェック(特に尿路)
      排尿痛・頻尿・濁った尿・悪臭・片側腰背部痛・明確な発熱があれば、尿路感染をまず疑います。 [4] [5]
      迅速な方法として、尿試験紙(白血球エステラーゼ・亜硝酸塩)が有用です。陰性なら“有意な細菌尿の可能性が低い”ため、ステロイド治療を安全に進めやすいという報告があります。 [8] 陽性なら培養検査や適切な抗菌薬の検討が望まれます。 [8]
    1. 発熱と症状の関係を見極める
      熱があるときにだけ症状が悪化し、解熱で改善するなら擬再発の可能性が高いと考えられます。 [7] [6]
    1. 新規神経症状の質を評価
      視力低下(片眼の視力低下や色の見え方の変化)、新たな筋力低下、広がるしびれ・感覚低下、ふらつきの増悪など“MSらしい新しい神経症状”が持続するなら再発を疑います。 [2] [3]
    1. 画像・補助検査の検討
      持続する新規症状がある場合はMRIの造影病変の有無が参考になります(活動性病変があれば再発を支持)。 [9]
      感染が疑われるときは、尿検査・血液検査(白血球数、CRPなど)を併用します。 [8]
      なお、一部の治療や手技は発熱・感染を副作用として伴うことがあり、症状の評価時は最近の治療歴も考慮します。 [10] [11]

典型的な状況別の整理

テーブル:状況別の判断のヒント

状況感染を示唆するポイント再発を示唆するポイント推奨される次の一手
発熱+排尿痛・濁った尿・頻尿尿路感染の典型サインあり。 [4] [5]新規神経症状が弱い/熱と連動。 [1]尿試験紙→必要なら培養・抗菌薬、解熱後に神経症状再評価。 [8]
発熱なし+新規神経症状が24時間以上持続感染サイン乏しい。再発の典型的時間経過。 [2] [3]MRI造影検討、ステロイド治療の適応評価。 [9]
発熱あり+症状は熱が下がると改善発熱による擬再発が示唆。 [7] [6]真の再発ではない可能性。 [1]原因感染の評価と治療、体温管理。
発熱あり+明確な新規神経症状が数日持続並行して感染もあり得る。再発も疑う必要。 [2]感染スクリーニング(尿・血液)+MRI、両者を並行評価。 [8] [9]

ステロイド治療の前に確認したいこと

急性再発で高用量ステロイドを検討する際には、尿路の細菌性コロナイゼーション(無症候性菌尿も含む)を簡便にふるい分けるため、尿試験紙アルゴリズムが安全に使えると報告されています。陰性なら見逃しリスクは低く、陽性なら培養や短期の抗菌薬併用を検討する選択肢があります。 [8] これは再発治療の安全性とスピードを両立するために役立ちます。 [8]


よくある落とし穴と対策

  • 「熱=必ず感染」ではない:MSでは小さな体温上昇だけでも症状が一時的に悪化します。ただし尿路感染は頻度が高いので見逃さないことが重要です。 [7] [6] [4]
  • 症状の持続時間を軽視しない:24時間ルールは再発の判断の重要な基準です。 [1] [2]
  • 尿路感染は症状が乏しくてもありうる:頻尿や軽い不快感程度でも、尿試験紙で迅速に評価しておくと安全です。 [8]
  • 最近の治療歴の確認:一部の治療は発熱や感染の副作用があり、鑑別に影響します。 [10] [11]

まとめ

  • 新しい神経症状が24時間以上持続するかどうかが“真の再発”を見分ける中心的な基準です。 [1] [2]
  • 発熱や尿路症状がある場合は、まず感染評価(特に尿試験紙)を行い、解熱後に神経症状が残るか再確認すると安全で合理的です。 [4] [8]
  • 持続する新規症状があるときはMRI造影で活動性病変の有無を確認し、感染が否定的ならステロイド治療を検討します。 [9]
  • MSでは発熱だけで症状が悪化する擬再発が起こり得るため、焦らず「感染の有無」「症状の持続」「画像所見」を総合して判断しましょう。 [7] [6] [2]

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出典

  1. 1.^abcdefgTypes of Multiple Sclerosis(nyulangone.org)
  2. 2.^abcdefghiMultiple sclerosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  3. 3.^abcdExplaining multiple sclerosis(mayoclinic.org)
  4. 4.^abcdeMultiple sclerosis - discharge: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  5. 5.^abcMultiple sclerosis - discharge: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  6. 6.^abcdeMultiple sclerosis: MedlinePlus Genetics(medlineplus.gov)
  7. 7.^abcdeMultiple sclerosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  8. 8.^abcdefghiTesting for urinary tract colonization before high-dose corticosteroid treatment in acute multiple sclerosis relapses: prospective algorithm validation.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcd신경세포에 염증이 생기는 다발성 경화증 – 다발성 경화증 | 건강정보(health.severance.healthcare)
  10. 10.^abMultiple sclerosis - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
  11. 11.^abDiagnosis and treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)

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