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2026年2月16日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | 多発性硬化症の症状として腹部膨満感(お腹の張り)は一般的ですか?その原因と受診の目安、対処法を教えてください。

要点:

多発性硬化症では腹部膨満感自体は典型症状ではありませんが、便秘やガス貯留、機能性消化不良などの腸機能障害により生じやすくなります。主な原因は脊髄病変に伴う腸運動低下に加え、活動量や水分・食物繊維不足、薬剤の影響などです。発熱や強い圧痛、嘔吐の持続、血便、体重減少があれば受診し、セルフケア(十分な水分、繊維摂取、運動、排便ルーティン)や薬剤調整・下剤の適切な使用、消化器内科の評価を検討しましょう。

多発性硬化症と腹部膨満感(お腹の張り):頻度・原因・受診の目安・対処法

多発性硬化症(MS)で「腹部膨満感(お腹の張り)」そのものが主要な症状として一般的とまでは言い切りにくい一方で、腸の動きの低下による便秘やガス貯留、消化不良(機能性消化不良)などの消化器症状は比較的よく見られます。これらが重なることで、結果として「張る」「苦しい」と感じることは珍しくありません。 [1] [2] 便秘や便漏れなどの腸症状はMSで頻繁にみられる領域で、臨床研究では約3~7割の人に何らかの消化器症状(便秘、機能性消化不良、嚥下障害など)が持続するという報告があります。 [2] 便秘は特に一般的で、MSの腸機能障害の中心です。 [1] [3]


どれくらい起こるのか(頻度の目安)

  • 便秘・腸機能障害:MSでは腸・膀胱症状がよく見られ、便秘や便漏れの訴えが多いです。 [1] 調査では約65%が何らかの消化器症状を持続的に訴え、便秘は約30~37%に認められました。 [2]
  • 機能性消化不良(胃もたれ・膨満感・上腹部不快):MS当事者の約3割が持続的な消化不良症状を報告しています。 [2]
  • 腸・膀胱の併存:腸症状を持つMSの方では膀胱症状の併存率が高く、脊髄病変が関与する可能性が示唆されています。 [4]

これらのデータから、腹部膨満感自体は「MS特異的症状」とは言いにくいものの、MSに合併する腸機能障害の結果としてよく生じ得ると理解するとよいでしょう。 [2] [3]


原因になりやすい要素

  • 腸の運動低下(腸管運動の遅れ):MSでは脊髄の神経回路の障害により、腸の動きが鈍り便秘やガス貯留が起こりやすくなります。 [4] [3]
    • 結果として便が溜まる・ガスが抜けにくい→膨満感につながります。 [3]
  • 生活要因・薬剤影響:活動量低下、飲水不足、食物繊維不足に加え、うつ・痛み・膀胱・筋痙縮などの治療薬の一部は便秘を悪化させることがあります。 [5]
  • 機能性消化不良:上腹部のもたれや張り、食後膨満感などを伴うことがあり、MSではその有病率が高めです。 [2]

受診の目安(緊急度の判断)

次のような場合は、早めの医療機関受診を検討してください。

  • 腹部の腫れが悪化して引かない、圧痛が強い、発熱を伴う。 [6]
  • 嘔吐が続く、体重減少、血便、激しい下痢などの警戒サインを伴う。 [7] [6]
  • 食べたり飲んだりできない状態が6~8時間以上続く。 [6]

一方で、腹部膨満が軽度で一過性なら、まずセルフケアを行い数日様子を見てもよいでしょう。ただしMSの方は腸機能障害が背景にあることが多いので、症状が繰り返す場合は主治医に相談するのがおすすめです。 [1]


対処法(セルフケアと医療的サポート)

生活習慣の工夫

  • 水分を十分に:こまめに水やお茶をとり、便を柔らかく保ちます。 [5]
  • 食物繊維を増やす:野菜、果物、全粒穀物、豆類などを日々の食事に。急に大量ではなく、数日〜数週間かけて徐々に増やすとガス対策にも有効です。 [5]
  • 適度な運動:歩行やストレッチで腸の動きを促します。座位中心の生活でも、腹式呼吸や体幹の軽いねじり運動が腸蠕動を助けます。 [5]
  • 整った排便ルーティン:食後(胃結腸反射が働くタイミング)や入浴後のリラックス時に、毎日同じ時間帯でトイレに座る習慣をつけます。 [8]
  • 腹部のやさしいマッサージ:時計回りに軽くさすることで、結腸内の便移動を促進します。 [8]

食事の具体策

  • ガスを増やしやすい食品の見直し:炭酸飲料、過剰な豆類、玉ねぎ、キャベツ、人工甘味料(ソルビトール等)などで膨満が強い場合は量を調整。個人差が大きいので、食事記録で自分のトリガーを把握しましょう。 (一般的栄養指導に基づく助言で、特定出典の直接記載はありません)
  • 少量頻回の食事:一度に大量に食べるよりこまめな食事の方が膨満を抑えやすいです。 (一般的栄養指導に基づく助言で、特定出典の直接記載はありません)

医療的対応(相談の目安)

  • 薬剤調整:便秘を悪化させる薬(うつ薬、鎮痛薬、膀胱、筋痙縮の薬など)がないか主治医と確認し、必要に応じて変更や下剤・便軟化剤の併用を検討します。 [5]
  • 下剤の使い分け:食物繊維系(可溶性繊維、ポリカルボフィル等)、浸透圧性(PEGなど)、刺激性下剤などを症状と体質に合わせて段階的に選ぶのが一般的です。自己判断での長期連用は避け、医師・薬剤師に相談してください。 (一般的薬理指導の枠組みで、特定出典の直接記載はありません)
  • 専門紹介:症状が持続・増悪する場合は消化器内科での評価(機能性消化不良・IBS評価など)を受けると安心です。MSの方では機能性消化不良やIBSの該当がやや多い傾向が報告されています。 [2]

MSに特有の注意点

  • 脊髄病変との関連:腸・膀胱症状の併存が多い背景に、脊髄で近接する神経経路の障害が関与している可能性があります。腸症状が強いときは膀胱症状も一緒に確認すると、原因の整理に役立ちます。 [4]
  • 慢性的な症状管理:MSの退院後・在宅ケア指針でも、毎日の排便ルーティンの確立、腹部の軽いマッサージ、食事・活動量の最適化が推奨されています。 [8]
  • 再発との見分け:膨満感自体はMS再発の指標ではありませんが、急な膀胱・腸の機能低下が広がる場合は、神経症状全体の変化(歩行・感覚など)も併せて確認し、神経内科へ相談するとよいです。 [1]

まとめ

  • 腹部膨満感はMSの「典型的主症状」ではないものの、MSに合併する便秘・ガス・機能性消化不良などを介してよく生じ得ます。 [1] [2]
  • 生活習慣の整え(飲水・食物繊維・運動・排便ルーティン)と薬剤見直しが基本で、持続・増悪や警戒サインがあれば受診してください。 [5] [8] [7] [6]
  • 腸症状が続く場合は消化器内科の評価も有用で、MSの背景を踏まえた総合管理が望ましいです。 [2] [3]

参考になる指針(要点)

  • MSでは腸・膀胱症状が比較的頻繁にみられる。 [1]
  • 消化器症状は約65%が持続的に報告、便秘は約30~37%で一般的。 [2]
  • 腸機能障害は脊髄病変が関与する可能性があり、膀胱症状の併存が多い。 [4]
  • 排便ルーティン・腹部マッサージ・水分・活動量・繊維摂取の推奨。 [8] [5]
  • 発熱、強い圧痛、血便、嘔吐の持続、体重減少等があれば受診。 [7] [6]

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出典

  1. 1.^abcdefgMultiple sclerosis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcdefghijAdding to the burden: gastrointestinal symptoms and syndromes in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdeColonic and anorectal dysfunction associated with multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdGut dysfunction in patients with multiple sclerosis and the role of spinal cord involvement in the disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefgMultiple sclerosis - discharge: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  6. 6.^abcdeAbdomen hinchado: MedlinePlus enciclopedia médica(medlineplus.gov)
  7. 7.^abcAbdominal pain When to see a doctor(mayoclinic.org)
  8. 8.^abcdeMultiple sclerosis - discharge: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。