
PubMedの資料に基づく | 多発性硬化症に関連する背中の痛みはどのような原因で起こり、どんな特徴や注意すべきサインがありますか?
MSでは脊髄の脱髄病変に伴う中枢性(神経障害性)疼痛、痙縮、圧迫がない急性根性痛などが重なって背中の痛みが生じます。灼熱感・電撃痛・過敏や帯状の締め付け感、坐骨神経痛様の放散痛などがみられ、体位で変化しにくいことがあります。新たな脱力・しびれ・歩行障害や膀胱腸障害、発熱や排尿時痛を伴う場合は早期の医療評価が必要です。
多発性硬化症に伴う背中の痛み:原因・特徴・注意すべきサイン
多発性硬化症(MS)では、背中の痛みは比較的よくみられる症状で、神経の障害による「神経障害性疼痛(中央性疼痛)」や、脊髄炎・痙縮などMS特有の病態に関連して起こります。痛みのタイプは一つではなく、背部痛・腰背部痛、帯状の痛み、放散痛(坐骨神経痛のような痛み)、痛みを伴う筋痙縮などが重なって出ることがあります。 [1] [2]
主な原因
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脊髄病変(脱髄プラーク) MSでは頸髄〜胸髄に脱髄病変(プラーク)が生じ、痛みや異常感覚(しびれ・灼熱感)を引き起こします。脊髄の病変は比較的周辺部に位置し、通常は2椎体以内の長さで脊髄断面の半分未満を占めることが多いです。 [3] 病変の数は頸髄で多く、病期が長いほど増える傾向があります。 [4]
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中央性疼痛(中枢性神経障害性疼痛) 中枢神経(脳・脊髄)の損傷が直接の原因となる慢性疼痛で、灼けるような痛み、電撃痛、刺激で増悪する痛みが特徴です。 [2] MSではこの中央性疼痛が頻度高く、背部・四肢に慢性的な痛みを呈しやすいです。 [1]
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痛みを伴う痙縮・痙性発作(painful tonic spasms) 筋緊張の亢進による突然の筋痙縮が背部痛を誘発し、ときに脚への痛みを伴います。 [1] 慢性期の主要な疼痛症候群の一つとして、背部痛と痛みを伴う脚の痙縮が挙げられます。 [5]
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急性の根性痛(radicular pain) 画像で圧迫(椎間板ヘルニアなど)がないのに、坐骨神経痛のような鋭い放散痛が急性発症することがあり、MSの初発症状となる場合があります。 [6] 機械的誘因がなく、休息や消炎鎮痛薬で改善しにくい短い反復性の激痛エピソードという特徴が報告されています。 [7]
痛みの特徴(臨床像)
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多様性と変動性 MSの痛みは急性・亜急性・慢性の各フェーズがあり、慢性痛は脊髄障害(ミエロパチー)に関連して女性・高齢・罹病期間が長いケースで多い傾向があります。 [5] 頻度としては背部痛、四肢の異感覚痛、痛みを伴う痙縮、低背部痛などが代表的です。 [1]
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感覚の異常を伴う 灼熱感、焼けつく感じ、電撃様、ピリピリ、過敏(触れても痛い)など、神経障害性疼痛の性質が目立ちます。 [2] 頸髄・胸髄の病変では帯状の胸背部痛や体幹の締め付け感が出ることもあります。 [1]
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機械的要因との違い 椎間板や骨由来の痛みと異なり、体位変換や安静で改善しにくい、原因がはっきりしないのに強い痛みが反復する、という性質がみられることがあります。 [7] 画像で圧迫がないのに急性の根性痛が出る場合はMS関連を疑う手がかりになります。 [6]
注意すべきサイン(レッドフラッグ)
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新たな神経症状の同時出現 痛みとともに脚や腕の脱力、しびれの拡大、歩行の不安定、膀胱・腸のトラブル(尿が出にくい、頻尿、失禁など)が急に悪化した場合は、脊髄炎や病変拡大の可能性があり、早期評価が望まれます。 [8] MSでは膀胱機能障害がよくみられ、尿路感染が重なると片側腰背部痛や発熱を伴うことがあるため注意が必要です。 [9]
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急速に悪化する激痛・外傷が契機の痛み 外傷後に急性の坐骨神経痛様の痛みが持続・反復する場合、MS関連の急性根性痛が示唆されることがあります。 [6] 機械的誘因がなく、安静や消炎鎮痛薬で改善しない過度な激痛が反復する場合も警戒サインです。 [7]
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感染徴候の併発 発熱、排尿時痛、濁った尿、悪臭、片側の強い腰背部痛がある場合は尿路感染の可能性があり、評価が必要です。 [9]
画像・検査のポイント
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脊髄MRI MSの脊髄プラークは頸髄〜胸髄に多く、周辺部に位置し、長さは2椎体以下で、脊髄断面の50%未満を占めることが一般的です。 [3] 病変数は疾患期間が長いほど増え、頸髄に多い傾向があります。 [4]
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臨床相との関連 脊髄の腫脹は再発寛解型でみられやすく、萎縮は再発進行型で関連する傾向があります。 [3] びまん性脊髄障害は障害度が高くなる傾向があり、特定のHLA型と関連が示唆されています。 [4]
よくある痛みタイプと見分けのヒント(比較表)
| 痛みタイプ | 主な原因・背景 | 典型的な特徴 | 見分けのポイント |
|---|---|---|---|
| 神経障害性背部痛 | 脊髄プラークによる中枢性疼痛 | 灼熱・電撃様・過敏、体位で変化しにくい | 感覚異常が目立ち、MRIで脊髄病変が示されやすい [2] [3] |
| 痛みを伴う痙縮 | 痙性・筋緊張亢進 | 突発的な攣縮と鋭い痛み、脚に痛みが及ぶことも | 反復的な短い激痛エピソード、筋のこわばりを同時に自覚 [1] [5] |
| 急性根性痛 | MS関連の根性痛(圧迫なし) | 坐骨神経痛様の放散痛、休息やNSAIDsで改善乏しい | 画像で圧迫なし、短い反復性・過度の痛み、機械的誘因なし [6] [7] |
| 低背部痛(腰痛) | MS関連の慢性痛/他疾患も混在 | 慢性的な鈍痛〜刺す痛み | MSの慢性痛としてあり得るが、骨・筋由来との鑑別が必要 [1] |
受診の目安・セルフケア
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早めの受診が望まれる状況 新規のしびれ・脱力・歩行問題・膀胱腸障害と痛みが同時に進行する場合は、再発や脊髄炎の可能性があるため神経内科での評価が推奨されます。 [8] 発熱や排尿時痛を伴う腰背部痛は尿路感染を疑い、医療機関での検査が必要です。 [9]
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生活上の工夫 痙縮が強い場合はストレッチやフィジカルセラピーが役立つことがあり、痛み管理は薬物療法(抗けいれん薬・抗うつ薬など)と非薬物療法の組み合わせで個別に調整されます。 [5] 排尿の我慢は避け、トイレの場所を意識して行動することで合併症(尿路感染)を減らす一助になります。 [9]
まとめ
MSに伴う背中の痛みは、脊髄の脱髄病変に由来する中央性疼痛、痙縮による痛み、画像で圧迫がない急性根性痛など複数の機序が重なり得るため、症状の性質(灼熱感・電撃痛・過敏・帯状痛・放散痛・痙性の有無)を丁寧に捉えることが大切です。 [1] [2] 新たな神経症状の併発や感染徴候を伴う腰背部痛は注意サインで、早期の医療評価が望まれます。 [8] [9] 脊髄MRIは病変の位置や大きさの把握に有用で、臨床像との関連も示されています。 [3] [4]
この痛みはいつ頃から、どんなきっかけや特徴(灼熱感・電撃痛・痙縮の有無など)で強くなるか教えていただけますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghSymptomatology and pathogenesis of different types of pain in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdeCentral pain syndromes.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdeMultiple sclerosis in the spinal cord: MR appearance and correlation with clinical parameters.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdSpinal cord involvement in multiple sclerosis: a correlative MRI and high-resolution HLA-DRB1 genotyping study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdPain in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdAcute radicular pain as a presenting symptom in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcd[A unusual manifestation of multiple sclerosis: sciatica].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcMultiple sclerosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 9.^abcdeMultiple sclerosis - discharge: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


