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2026年2月15日5分で読める

WHOの資料に基づく | 悪性胸膜中皮腫では息切れ(呼吸困難)はどのくらい一般的で、その原因(胸水貯留や胸膜肥厚など)と典型的な経過は何ですか?

要点:

悪性胸膜中皮腫では息切れ(呼吸困難)は非常に一般的で、病期の進行とともに増悪します。主因は胸水貯留による肺圧迫と胸膜のびまん性肥厚による拘束性障害で、初期は片側胸水、進行すると肥厚が進み末期には両者の併存が典型です。治療は排液・胸膜癒着・留置カテーテルや、肥厚優位では外科的デコルティケーション等を状況に応じて選択します。

概要

悪性胸膜中皮腫では、息切れ(呼吸困難)は非常に一般的な症状で、病気の初期から進行期までしばしば認められます。典型的には、胸水(胸腔内の水分)や胸膜のびまん性肥厚によって肺の拡張が妨げられ、徐々に息苦しさが増悪していきます。息切れのみで発症するケースもあり、胸痛や乾性咳嗽を伴うことが多いです。 [1] [2]


発生頻度

  • 息切れは中皮腫の「もっとも一般的な症状」のひとつであり、病状が進むにつれ呼吸困難が強くなる傾向があります。 [1]
  • 古典的な臨床シリーズでは、悪性胸膜中皮腫の初発症状として「呼吸困難」が約49%でみられたと報告されています。 [3]
  • 一方で、胸痛なしに「胸水による息切れ」で発症するケースが約30%程度とされています。 [2]

主な原因

胸水貯留(悪性胸水)

  • 胸腔に液体が溜まると、隣接する肺が圧迫されて膨らみにくくなり、その結果として息切れが生じます。 [4]
  • 悪性胸膜中皮腫は胸水を形成しやすく、胸部X線やCTで胸水貯留が初期所見として最も高頻度に見つかります(初期X線所見の約62%が胸水)。 [5] [3]
  • 胸水は再び溜まりやすく、繰り返すドレナージ(排液)や胸膜癒着術(プレウロデーシス)が検討されます。 [6]

胸膜肥厚・胸膜リンド(板状肥厚)

  • 腫瘍による胸膜のびまん性肥厚は胸郭と肺の拡張を機械的に制限し、吸気時の肺拡張を妨げることで息切れを悪化させます。 [2]
  • 画像では「環状の胸膜リンド」「結節性胸膜肥厚」「>1cmの肥厚」「縦隔側胸膜の関与」などが悪性胸膜疾患を示唆する所見で、これらが進むと呼吸困難は増悪します。 [2]
  • 初期X線所見として胸膜肥厚は約29%で認められ、病末期には胸水と胸膜肥厚が併存することが一般的です。 [3]

その他の要因

  • 腫瘍の進展による胸腔内構造物への圧迫(縦隔・神経)も呼吸困難を助長します。 [4]
  • 合併する乾性咳嗽や胸痛、体重減少・疲労感などの全身症状が活動量を低下させ、息切れの自覚を増すことがあります。 [1]

典型的な経過

  • 初期には症状が乏しいか軽微ですが、進行に伴い息切れが徐々に増悪していきます。 [6] [1]
  • 画像上は、初期には片側性の胸水が目立ち、経過中に胸膜肥厚が進行し、末期には胸水と肥厚の併存が一般的です。 [3]
  • 多くの症例で診断時には既に進行しており、全身状態の低下や腫瘍の局所進展が呼吸困難の主因となります。 [6] [7]
  • 疾患全体の予後は不良で、古典的報告では初発症状からの中央値生存が約7〜11か月、診断後の中央値生存が約1年程度とされています(治療内容や病型で幅があります)。 [3] [7] [6]

息切れに対する評価と診断のポイント

  • 胸部X線と胸部CTで胸水量と胸膜肥厚の程度、縦隔側関与の有無、横隔膜・胸壁への進展を確認します。 [5] [2]
  • 胸水の細胞診・胸膜生検で診断を試みますが、十分な組織量が得られない場合もあり、外科的生検が必要になることがあります。 [7]
  • 臨床的には、胸水による呼吸困難か、胸膜肥厚による拘束性障害か、両者の合併かを見極めることが治療選択に直結します。 [2] [3]

息切れの緩和(パリエイティブ)と治療選択

胸水優位の場合

  • 反復する胸水貯留に対しては、間欠的ドレナージ、留置型胸膜カテーテル、胸膜癒着術(タルクなど)といった選択肢があります。 [8]
  • 留置型胸膜カテーテルと胸膜癒着術はいずれも息切れの緩和に有効で、患者の予後・入院期間・合併症リスクを踏まえた選択が重要です。 [9]
  • 医療胸腔鏡下タルク癒着と同時のトンネル型胸膜カテーテル留置による「迅速プレウロデーシス」は、短期入院で高率に胸水コントロールと呼吸困難の改善が得られる可能性があります。 [10]

胸膜肥厚優位の場合

  • 肥厚による肺の拘束が主因の場合、単純な胸水排液だけでは息切れ改善が限定的なことがあり、外科的デコルティケーション(胸膜剥皮)などを含め、症状・予後・侵襲度のバランスで選択します。 [9]
  • 全身療法(化学療法・免疫療法)や放射線療法は腫瘍負荷を減らすことで間接的に息切れの改善につながる場合がありますが、効果は個別性が大きいです。 [6]

症状マネジメントの実践ポイント

  • 息切れの増悪要因(胸水再貯留、感染、肺塞栓、心不全合併など)を定期的に評価し、原因に応じて介入します。 [8]
  • 活動度に合わせた呼吸リハビリ、酸素療法の適応検討、鎮静・鎮咳の工夫など、非侵襲的手段も組み合わせると負担軽減に役立ちます。 [8]
  • どの処置もメリットとデメリットがあり、予測される余命、在宅希望の有無、通院負担、合併症リスクを総合して選択することが望ましいです。 [8] [9]

まとめ

  • 悪性胸膜中皮腫の息切れは頻度が高く、進行とともに増悪しやすい症状です。 [1]
  • 原因としては「胸水貯留による肺圧迫」と「胸膜肥厚による拘束性障害」が中心で、初期は胸水、末期は胸水+肥厚の併存が典型的です。 [4] [3]
  • 治療は胸水の排液・胸膜癒着・留置カテーテル、必要に応じて外科的介入を検討し、患者の予後や希望に沿って個別化することが重要です。 [6] [8] [9]

参考データ比較表

項目胸水貯留(悪性胸水)胸膜肥厚(胸膜リンド)
呼吸困難の機序液体が肺を圧迫し膨張を妨げる胸膜が硬く厚くなり肺の拡張が制限される
初期所見の頻度初期X線で約62%が胸水初期X線で約29%が胸膜肥厚
典型的経過再貯留しやすく、排液後も再発しがち進行とともにびまん性肥厚が増し拘束性悪化
主な介入ドレナージ、留置型胸膜カテーテル、胸膜癒着術外科的デコルティケーション、全身療法
息切れへの即効性排液で即時改善しやすいが再発性改善は介入の侵襲性と効果に依存(個別性)

注:頻度・経過の数値・傾向は、複数の臨床報告・レビューを総合した代表的な所見です。 [3] [8] [9] [4]


いま感じている息切れの強さや、胸水の再貯留の有無、最近の検査結果についてもう少し教えていただけますか?

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出典

  1. 1.^abcde악성 중피종(Malignant mesothelioma) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  2. 2.^abcdefMalignant mesothelioma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdefghFollow-up study of 100 malignant pleural mesotheliomas.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  5. 5.^ab악성 중피종(Malignant mesothelioma) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  6. 6.^abcdef악성 중피종(Malignant mesothelioma) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  7. 7.^abcMalignant mesothelioma of the pleura.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abcdefTo drain or not to drain: an evidence-based approach to palliative procedures for the management of malignant pleural effusions.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcdeA retrospective review of the palliative surgical management of malignant pleural effusions.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  10. 10.^Rapid pleurodesis for malignant pleural effusions: a pilot study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

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