
WHOの資料に基づく | 悪性中皮腫では吐き気(悪心)はどのくらい一般的で、その原因(腫瘍そのもの、胸水・腹水、疼痛や便秘、化学療法やオピオイドなどの治療薬)と鑑別のポイント、対処法や受診の目安は何ですか?
悪性中皮腫の悪心は、腹水・胸水による圧迫、化学療法(特にシスプラチン系)、オピオイド、消化管機能障害や代謝異常などが主因で、薬剤関連での頻度が高いです。嘔吐で楽になるか、食後悪化するか、投薬タイミングとの関係などのパターンで鑑別し、制吐薬の予防・頓用、薬剤調整、胸水・腹水の排液、腸閉塞への対応を行います。強い腹痛・便やガスが出ない・飲食困難・呼吸苦などがあれば早急に受診してください。
悪心(吐き気)はどのくらい一般的か
悪性中皮腫では、悪心・嘔吐は「病気そのもの」よりも、合併症(腹膜への進展による腹水など)、治療(化学療法やオピオイド)、他の体調要因(腸閉塞、便秘、代謝異常)でみられることが多いです。進行が腹膜側に及ぶ場合は「食欲低下や悪心」が比較的よくみられる症状に含まれます。 [1] 病状の進展により胸水・腹水が増えると、胸部圧迫や腹部膨満から間接的に悪心が起きることがあります。 [2] 一方、化学療法(とくにシスプラチン併用レジメン)では投与直後〜数日内に悪心・嘔吐が高頻度で発生し得ることが知られています。 [3] [4]
がん患者全体でみると、進行がんでは悪心・嘔吐は「よくある、つらい症状」であり、化学療法やオピオイド使用で頻度が上がります。 [5] オピオイド開始後数日内の悪心は比較的一般的で、性別や併用薬などの要因で起きやすさに差があります。 [6]
主な原因と特徴(鑑別のポイント)
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腫瘍・腹膜進展(腹水)関連
腹膜側へ病変が広がると、腹痛や食欲低下とともに悪心が出やすくなります。腹部の張り(腹水)、便通の変化(下痢・便秘)と同時に起きることが多いです。 [1]
画像や診察で腹水・腹部膨満が確認される、食後に増悪するなどが目安になります。 [2] -
胸水関連
胸水は中皮腫で頻繁にみられ、主症状は息切れ・胸部不快ですが、胸部圧迫や低酸素があると食欲低下や吐き気につながることがあります。胸部X線・CTで胸水の証拠が得られます。 [2] [7] -
化学療法誘発(CINV)
シスプラチン+ペメトレキセド(±ベバシズマブ)やカルボプラチン+ペメトレキセドでは、投与当日〜数日内の即時性悪心・嘔吐が一般的です。悪心は投与直後から起こり、制吐薬を計画的に内服していても「突破悪心」が起こることがあります。 [3] [4] [8]
レジメンごとの嘔吐リスク(高度〜中等度〜低)は治療前に評価され、リスクに応じた予防的制吐薬が推奨されます。 [9] [10] [11] [12] -
オピオイド誘発
オピオイド開始直後〜数日にみられやすく、女性でやや起こりやすい傾向が報告されています。ステロイド併用は予防に有効な可能性が示唆されています。 [6]
多くは数日で慣れて軽減しますが、持続する場合は薬剤変更や投与経路の調整で改善することがあります。 [13] -
消化管機能障害(胃不全麻痺・腸閉塞など)
吐いて一時的に楽になる悪心、食後悪化、腹部膨満・腹痛・便やガスが出ないなどがある場合は、機械的閉塞や胃排出遅延が疑われます。 [14]
閉塞が疑われる場合は、オクトレオチドやステロイドなどの薬物療法や減圧手技が考慮されます。 [14] [15] -
代謝異常・薬剤性以外の要因
連続的で嘔吐しても楽にならない悪心は、薬剤(例:オピオイド)や代謝異常(電解質異常など)によることが多いです。 [14]
観察のコツ(悪心のパターンで見分ける)
- 嘔吐で楽になる悪心 → 胃排出遅延や消化管閉塞の可能性。 [14]
- 嘔吐しても楽にならない持続的悪心 → 薬剤性・代謝性の可能性。 [14]
- 食後に悪化 → 胃不全麻痺、胃出口狭窄、軽度の閉塞の可能性。 [14]
- 投与直後〜数日の発症 → 化学療法誘発やオピオイド開始による可能性。 [3] [4] [6]
対処法(セルフケアと医療的介入)
セルフケア
- 規則的な制吐薬内服:処方された制吐薬は「気持ち悪くない時も指示通り」内服することが推奨されます。 [16] [17]
- 少量頻回の食事・味やにおいの強くない食事:乾いたクラッカーやトーストなどの「淡泊で準備が簡単な食べ物」が役立ちます。 [16] [17]
- 十分な水分補給(医師から制限がない場合):脱水は悪心を悪化させます。 [16] [17]
- 軽い運動:軽い散歩などが悪心の軽減に役立つことがあります。 [16] [17]
医療的介入(治療別のポイント)
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化学療法誘発悪心(CINV)の予防・治療
リスクに応じて、5-HT3受容体拮抗薬、NK1拮抗薬、デキサメタゾンなどを組み合わせた予防レジメンが用いられます。 [9] [10] [11] [12]
突破悪心には、メトクロプラミドやプロクロルペラジンなどを頓用で追加します。 [8] [18] -
オピオイド誘発悪心
多くは数日で軽減するため、その間は制吐薬の頓用を活用します。 [19]
持続する場合は「オピオイドの種類変更」や「投与経路変更」で改善する可能性があります。 [13]
ステロイド併用が予防的に有効な可能性が示唆されていますが、利点と副作用を医師と相談して判断します。 [6] -
腹水・胸水への対応
症状が強い場合は排液(胸腔穿刺・腹水穿刺)で圧迫感を軽減し、悪心や食欲低下の改善を目指します。胸水・腹水の存在は画像・診察で確認します。 [2] [7] -
腸閉塞が疑われる場合
吐き気・嘔吐に対して、オクトレオチド、抗コリン薬、ステロイド、制吐薬の併用が推奨され、必要に応じて減圧やステントなどの手技も検討されます。 [14] [15] -
第一選択の制吐薬(進行がんの一般的悪心)
多くの施設でメトクロプラミドが第一選択、ハロペリドールが代替として用いられています。反応不十分ならオランザピン、次にオンダンセトロンが選択肢になります。 [15]
難治性の場合は、多受容体に作用する「広域スペクトラム」な制吐薬に切り替える、または追加する戦略が推奨されます。 [14]
受診の目安(すぐ相談すべきサイン)
- 強い腹痛、腹部膨満、便やガスが出ない、嘔吐で一時的に楽になるが再発する:腸閉塞の可能性があり、早急な評価が必要です。 [14]
- 化学療法後のコントロール困難な悪心・嘔吐、飲食や水分がとれない、体重減少:制吐レジメンの見直しが必要です。 [3] [4]
- オピオイド開始・増量後に数日以上持続する悪心、日常生活に支障:薬剤の調整(種類変更・投与経路変更)や追加治療が必要です。 [13] [6]
- 胸部圧迫感や呼吸困難の増悪:胸水増加が疑われ、排液などの対応で改善が見込めます。 [2]
- 意識障害や連続的で嘔吐しても改善しない悪心:薬剤性・代謝性の原因が疑われ、検査が必要です。 [14]
まとめ
- 悪性中皮腫の悪心は、腹膜への進展(腹水)や胸水などの病態、化学療法、オピオイド、消化管の機能障害など、複数要因が絡みます。 [1] [2] [3] [14]
- 化学療法の悪心は予防的な制吐薬の計画的投与が重要で、突破悪心には頓用薬を追加します。 [9] [8]
- オピオイドによる悪心は数日で軽減することが多いものの、持続する場合は薬剤の種類や経路の変更が有効なことがあります。 [19] [13]
- 悪心のパターン(嘔吐で楽になるか、食後悪化するか、投薬タイミングとの関係)を観察すると、原因の見分けに役立ちます。原因に応じて適切な治療・処置を受けることが大切です。 [14]
この症状、いま一番困っているタイミング(食後、薬の後、夜間など)や併発しているサイン(腹部の張り、便秘、胸の圧迫感)を教えていただけますか?
関連する質問
出典
- 1.^abc악성 중피종(Malignant mesothelioma) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 2.^abcdef악성 중피종(Malignant mesothelioma) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 3.^abcde229-Mesothelioma ciSplatin and pemetrexed | eviQ(eviq.org.au)
- 4.^abcd230-Mesothelioma cARBOplatin and pemetrexed | eviQ(eviq.org.au)
- 5.^↑Nausea and vomiting in advanced cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdePredictive factors for nausea or vomiting in patients with cancer who receive oral oxycodone for the first time: is prophylactic medication for prevention of opioid-induced nausea or vomiting necessary?(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^ab악성 중피종(Malignant mesothelioma) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 8.^abc4022-Mesothelioma ciSplatin pemetrexed and beVACizumab(eviq.org.au)
- 9.^abc7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 10.^ab7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
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- 13.^abcdManagement of opioid-induced nausea and vomiting in cancer patients: systematic review and evidence-based recommendations.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
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- 16.^abcdPatient information - Mesothelioma - Cisplatin, pemetrexed and bevacizumab(eviq.org.au)
- 17.^abcdPatient information - Mesothelioma - Carboplatin and pemetrexed(eviq.org.au)
- 18.^↑230-Mesothelioma cARBOplatin and pemetrexed | eviQ(eviq.org.au)
- 19.^abManaging Pain Medication Side Effects(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


