
WHOの資料に基づく | 中皮腫で腹部の張り(腹部膨満感)はどの程度起こり得る症状で、原因や受診の目安は何ですか?
腹膜中皮腫では腹部膨満は高頻度にみられ、主因は腹水の貯留と腸の通過障害、腫瘍増大です。急な膨満の増悪、持続する腹痛、嘔吐や排便・排ガス停止などがあれば早めに受診し、画像検査や腹水穿刺で評価します。対処は腹水排液や利尿薬、必要に応じて手術+HIPECや化学療法などが検討されます。
中皮腫と腹部膨満感(お腹の張り):頻度・原因・受診の目安
中皮腫のうち「腹膜中皮腫(お腹の膜にできるタイプ)」では、腹部の張り(腹部膨満感)は比較的よくみられる症状で、腹水(お腹にたまる体液)や腸の動きの障害が主な原因になります。腹膜中皮腫の症状として、腹部の腫れ(腹水による膨張)や腹痛、吐き気などが起こりやすいとされています。 [1] 腹膜にがんが広がる「腹膜癌症候群」でも、最も多い症状が腹部の膨満で、腹水の増加により目立ってきます。 [2] 腹膜中皮腫では腫瘍や腹水の蓄積により、腹痛や腹部膨満、吐き気・嘔吐が生じることがあります。 [3]
症状の出現頻度の目安
- 腹部膨満は腹膜中皮腫で頻出する主要症状です。腹水がたまることで腹部が張ってくるケースが一般的です。 [1]
- 腹膜にがんが広がる病態(腹膜癌症候群)では、腹部の膨満が最も多い症状とされ、病状の進行とともに目立ちやすくなります。 [2]
- 医学論文でも、腹膜中皮腫の多くの方が「腹痛と腹部膨満」を呈し、これは腫瘍の蓄積と腹水によって生じると記載されています。 [4] [5]
- 進行例では、腹水と腸の部分的な閉塞(通りにくさ)で腹部の張りや吐き気が強くなることがあります。 [6] [7]
主な原因
腹水(腹腔内の体液貯留)
腸の機械的・機能的な障害
- 腫瘍の広がりで腸が狭くなったり、動きが悪くなると、ガスや内容物がたまり、お腹の張りや吐き気・嘔吐、便秘、ガスが出ないなどが起こります。 [6] [7]
- 腸閉塞が疑われる場合は、強い腹痛・嘔吐・排便や排ガスが止まる・急な膨満の悪化が目安になります。 [8]
腫瘍そのものの増大
- 腫瘍の量が増えると、腹膜全体が厚くなり、圧迫感や張りを感じやすくなります。 [4]
受診の目安(緊急度の判断)
- 次の症状がある場合は、早めの医療機関受診が推奨されます。
- 腹膜中皮腫が疑われる、または診断済みで腹部膨満が目立つ場合、腹水の評価と除去(パラセンテシス)が検討されます。 [11]
- 画像検査(腹部超音波やCTなど)で、腹水量や腫瘍の広がり、腸閉塞の有無を確認します。 [12]
- 腹水の性状や腫瘍の診断を進めるため、腹水細胞診や腹膜生検(針生検・腹腔鏡)が選択されることがあります。 [13] [14]
対処・治療の選択肢
症状緩和(腹水・膨満のコントロール)
- パラセンテシス(腹水穿刺・排液):腹部の張りや呼吸苦を軽減するために腹水を排出する方法です。 [11]
- 長期ドレナージ:繰り返し腹水がたまる場合、留置カテーテル(テンコフカテーテルなど)で在宅排液を行うことがあります。 [15]
- 利尿薬:初期には有効なこともありますが、腫瘍進行に伴い効果が弱まることがあります。 [16]
- 腹腔内治療(化学療法・免疫療法など):腹水コントロールに有望な選択肢ですが、適応や効果は個別に検討が必要です。 [16] [17]
根治・延命をめざす治療(選択可能な場合)
- 腫瘍減量手術(細胞減量術)+温熱腹腔内化学療法(HIPEC):適切に選ばれた症例では生存期間の改善と腹水コントロールに寄与することが報告されています。 [6] [4]
- 全身化学療法(例:ペメトレキセド+プラチナ製剤、必要に応じてベバシズマブ)は、胸膜型中皮腫を中心に用いられる標準的レジメンで、腹膜型でも検討されます。 [18]
検査・診断の進め方
- 身体診察と腹囲測定、超音波・CTなどの画像検査で腹水や腫瘍の広がりを確認します。 [12]
- 腹水の穿刺・細胞診で腫瘍細胞の有無を確認し、必要に応じて針生検や腹腔鏡による組織診で確定診断を目指します。 [11] [13]
- 胸膜型中皮腫が疑われる場合は、胸水の排液(胸腔穿刺)や胸膜生検が使われますが、腹部の張りが主なら腹膜の評価を優先します。 [19] [20]
日常生活での工夫
- 腹部膨満が強い時は、塩分や水分の過剰摂取を控えめにすることで腹水の増加を抑えられる場合があります(医師の指示に合わせて調整)。
- 少量・高栄養の分割食にして、満腹による不快感を軽減する方法もあります。
- きつい衣服を避け、腹部を締め付けない服装にするのがおすすめです。
- 急な増悪や腸閉塞の兆候(嘔吐・排ガス停止・強い痛み)があれば、速やかに受診しましょう。 [8]
よくある質問への要点
-
腹部膨満は腹膜中皮腫で「どの程度」起こる?
→ 腹膜中皮腫の主要症状の一つで、腹水による腹部膨満は高頻度にみられます。 [1] [2] [4] -
受診の目安は?
→ 急な膨満の悪化、持続する腹痛、食欲低下や体重減少、嘔吐や排便・排ガス停止などがあれば早めに受診し、腹水評価と画像検査、必要に応じて穿刺や生検を検討します。 [2] [9] [8] [11] [13]
まとめ
中皮腫のうち腹膜中皮腫では、腹部膨満は腹水が主因でしばしば起こる症状です。腹水の排液(パラセンテシス)や長期ドレナージ、腫瘍治療(手術+HIPECや化学療法)などで症状の緩和と病状のコントロールが期待できます。 [1] [2] [11] [6] [4] 腸閉塞の兆候や急な悪化がある場合は、早期受診が重要です。 [8]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefgMesothelioma Basics(cdc.gov)
- 2.^abcdefghiPeritoneal carcinomatosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 3.^abTypes of Malignant Mesothelioma(nyulangone.org)
- 4.^abcdeMalignant peritoneal mesothelioma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^↑Malignant mesothelioma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdePeritoneal mesothelioma: current status and future directions.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abDiffuse malignant peritoneal mesothelioma presenting as intestinal obstruction.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcdeBowel Obstruction(stanfordhealthcare.org)
- 9.^abPeritoneal carcinomatosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 10.^↑Mesothelioma - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 11.^abcdeMesothelioma Diagnosis(mskcc.org)
- 12.^abUnderstanding and managing chronic abdominal bloating and distension(mayoclinic.org)
- 13.^abcMesothelioma Diagnosis(mskcc.org)
- 14.^↑Mesothelioma Diagnosis(mskcc.org)
- 15.^↑Palliation of malignant ascites with a Tenckhoff catheter.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 16.^abMalignant ascites: pathophysiology and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 17.^↑[Pleural effusions and ascites--surgical and palliative aspects].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 18.^↑Patient information - Mesothelioma - Carboplatin, pemetrexed and bevacizumab(eviq.org.au)
- 19.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 20.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


