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2026年2月15日5分で読める

WHOの資料に基づく | 中皮腫では背部痛はどのような症状として現れ、発生頻度や痛みの性質(持続性・鋭痛・鈍痛)、呼吸や体位での変化、併発しやすい他の症状には何がありますか?

要点:

中皮腫(特に胸膜中皮腫)では、背部痛は胸壁痛の一部として現れ、胸痛は主訴として約半数でみられます。痛みは持続的な鈍痛に始まり、進行で鋭い神経痛様が混在しやすく、呼吸や咳、体位で増悪し、呼吸困難・反復する胸水・咳・体重減少・発熱や発汗・嚥下困難や嗄声、同側肩への放散痛などを伴うことがあります。

中皮腫における背部痛の出現様式と関連症状

中皮腫(特に胸膜中皮腫)では、背部痛は「胸痛の一部」や「胸壁痛」として現れることが多く、腫瘍が胸壁・肋間神経・横隔膜・脊柱周囲へ局所進展する過程で生じます。背部痛の頻度は研究ごとに幅がありますが、胸痛・呼吸困難が初期からみられる典型的症状で、胸痛は約半数程度の症例で主訴となり得ます。 [1] 胸膜中皮腫の初期症状として非胸膜性の胸痛(持続的で鈍い痛みとして感じられることが多い)と呼吸困難がよく見られます。 [2]


痛みの性質(持続性・鋭痛・鈍痛)

  • 胸膜中皮腫の痛みは、腫瘍の胸壁浸潤や肋間神経への関与により、持続的な鈍痛として始まり、進行に伴い刺すような鋭痛(神経障害性痛)が混在することがあります。 [3] 痛みの機序には、胸壁・肋間神経の腫瘍浸潤、胸膜肥厚による拘束、胸水による圧迫などが関与します。 [3]
  • 進展例では、肩や上腕への放散痛(横隔膜中心部侵襲による関連痛)が生じることがあり、背部(特に同側後側胸部)に広がる形で自覚されることがあります。 [4]

呼吸や体位での変化

  • 呼吸に伴う増悪:胸膜の炎症・胸水貯留・胸壁浸潤により、深呼吸や咳で痛みが強くなることがあります(胸膜性の性質を帯びる痛み)。 [1] 胸水(胸腔内の液体貯留)が増えると息切れが悪化し、呼吸努力の増加に伴い痛み知覚が強くなる傾向があります。 [5]
  • 体位による変化:腫瘍の胸壁浸潤や胸水の偏在により、患側を下にした体位で痛みや呼吸困難が悪化することがありますが、効果は一時的で、進行例では体位での軽減は限定的です。 [5] 局所の胸壁腫瘤がある場合、圧迫や特定姿勢で痛みが増すことがあります。 [6]

発生頻度の目安

  • 胸膜中皮腫の典型的な初期症状は胸痛と呼吸困難で、胸痛は「主訴として約半数」前後の症例でみられます。 [7] 胸水による呼吸困難のみで胸痛を伴わない例も約3割程度に認められると報告されています。 [1]
  • レントゲンでは片側性胸水が最も頻度の高い所見で、胸痛や背部痛の背景に胸水や胸膜肥厚が存在することが一般的です。 [2]

併発しやすい他の症状

  • 呼吸器症状:呼吸困難、乾いた咳、反復する胸水(排液後に再貯留しやすい)。 [8] 胸水が増えると呼吸困難が進み、日常動作での息切れが顕著になります。 [5]
  • 全身症状:体重減少、疲労感、発熱・悪寒・発汗(夜間発汗を含む)などが進行とともに目立つようになります。 [9] [4]
  • 嚥下困難や嗄声:腫瘍の進展により食道や反回神経近傍への圧迫で、食物を飲み込みにくさや声のかすれが生じることがあります。 [10]
  • 腹部症状(腹膜中皮腫や胸膜からの腹部進展):腹痛、食欲低下、悪心など。 [10]

痛みの機序と臨床的特徴

  • 胸膜中皮腫は胸腔内で局所的に広がり、胸壁・神経(肋間神経)・横隔膜を巻き込むことで痛みを生じます。 [3] 腫瘍の線維化・肥厚が胸郭の可動性を低下させ、呼吸時の牽引痛を引き起こします。 [11]
  • 痛みは体性痛(胸壁・骨・筋膜由来の鈍痛)と神経障害性痛(焼けるような痛み・刺す痛み・電撃痛)が混在しやすく、進行に伴い鎮痛の難易度が上がる傾向があります。 [12]

画像・診断のポイント

  • 画像では、胸膜肥厚(結節性・1cm以上)・全周性の胸膜リンド・縦隔側胸膜の関与・片側性胸水が悪性胸膜疾患を示唆する所見として有用で、痛みの背景病態把握に役立ちます。 [1]
  • 胸水細胞診のみでは診断がつかないことが多く、十分量の組織生検(胸腔鏡や開胸生検など)が必要になることが少なくありません。 [2]

背部痛の臨床場面での見分け方

  • 背部痛が持続し、呼吸や咳で増悪、同側肩への放散、体重減少・咳・呼吸困難などが併発する場合は、胸膜・胸壁病変による痛みを疑います。 [4] [8]
  • 片側の胸水が繰り返し貯留し、排液後も短期間で再発するような経過は胸膜中皮腫でよくみられ、背部痛や胸痛に一致します。 [8]

痛みの緩和と実臨床での対応

  • 胸膜中皮腫の胸壁痛・背部痛には、薬物療法(WHO方式:非オピオイド→弱オピオイド→強オピオイド+補助薬)に加え、胸水ドレナージや放射線治療を用いた緩和が選択されます。 [12] 放射線治療は胸壁痛の軽減に有効なことがあり、効果は短期的(数週間~数か月)にとどまることがあると報告されています。 [6]
  • 神経障害性成分が強い場合は、抗けいれん薬・抗うつ薬などの補助鎮痛薬を併用し、肋間神経ブロックなどのインターベンションも検討されます。 [3] 重症で難治性の痛みには、専門的緩和ケアアプローチが推奨されます。 [3]

まとめ

  • 中皮腫の背部痛は、胸膜・胸壁・肋間神経への腫瘍浸潤や胸水による圧迫・牽引で生じ、持続的な鈍痛に始まり進行で鋭い神経痛様の痛みが混在しやすいのが特徴です。 [3] [2]
  • 痛みは呼吸や咳で増悪し、体位によって変化することがあり、同側肩への関連痛が出ることもあります。 [4]
  • 併発症状として、呼吸困難・再発する胸水・咳・体重減少・疲労・発熱や発汗・嚥下困難や嗄声がみられます。 [5] [8] [9] [10]
  • 臨床では、画像所見(胸膜肥厚・胸水・縦隔側胸膜関与)と組織診断を組み合わせ、症状緩和には薬物・放射線・手技的介入を適宜併用します。 [1] [2] [6] [12]

症状・特徴の比較表

項目背部痛の特徴変化要因併発しやすい症状診断の示唆所見
性質持続的鈍痛+進行で神経障害性鋭痛深呼吸・咳で増悪、体位で変化あり呼吸困難、反復する胸水、乾いた咳、体重減少、疲労、発熱・発汗、嚥下困難・嗄声片側性胸水、胸膜肥厚(結節性・>1cm)、全周性胸膜リンド、縦隔側胸膜関与
痛みの機序胸壁・肋間神経・横隔膜浸潤、胸膜線維化・牽引腫瘍の局所進展、胸水増加肩・上腕への放散痛胸水細胞診陰性でも組織生検で診断
緩和策WHO方式鎮痛、補助鎮痛、放射線治療、神経ブロック胸水ドレナージで息切れ改善が痛み知覚にも影響症状進行で再調整が必要緩和放射線は短期効果が中心

参考:痛みの機序・緩和(WHO方式・補助薬・介入)、胸水・胸膜所見、併発症状の記載。 [3] [12] [6] [1] [2] [5] [8] [10] [9] [4] [11] [7]


ご自身の痛みの「部位」「性質(鈍痛・鋭痛)」「呼吸や体位での変化」「併発症状(息切れ、咳、体重減少など)」をメモしておくと、原因の絞り込みや緩和治療の選択に役立ちます。 [13] [14]

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出典

  1. 1.^abcdefMalignant mesothelioma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefMalignant mesothelioma of the pleura.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdefgPalliative care for the patient with mesothelioma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcde국가암정보센터(cancer.go.kr)
  5. 5.^abcdeSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  6. 6.^abcdThe role of palliative radiotherapy in malignant mesothelioma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abMalignant pleural mesothelioma. A clinical review of 19 patients.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abcdeSymptoms of Peritoneal & Pleural Mesothelioma Cancers(mskcc.org)
  9. 9.^abc국가암정보센터(cancer.go.kr)
  10. 10.^abcd악성 중피종(Malignant mesothelioma) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  11. 11.^abConvergent signaling in the regulation of connective tissue growth factor in malignant mesothelioma: TGFβ signaling and defects in the Hippo signaling cascade.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  12. 12.^abcdCancer pain and analgesia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  13. 13.^Cancer treatment - dealing with pain: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  14. 14.^Cancer pain: Relief is possible(mayoclinic.org)

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