
WHOの資料に基づく | メラノーマで体重増加が症状として見られることはありますか、見られる場合にはどのような原因や注意すべき兆候が考えられますか?
メラノーマ自体が体重増加を直接引き起こすことは稀で、主なサインは皮膚病変の変化です。免疫療法に伴う甲状腺機能低下などの内分泌異常や、副作用管理で用いるステロイドによる食欲増進・水分貯留で体重増加が起こりえます。免疫療法中に説明のつかない体重変化やむくみ、倦怠感などが続く場合は早めに受診し、甲状腺や副腎などの検査を受けることが推奨されます。
メラノーマそのものが直接「体重増加」を引き起こすことは一般的ではありません。多くの場合、メラノーマの初期サインはほくろ(色素斑)の形・色・大きさ・質感の変化であり、体重変動は主要症状としては扱われません。 [1] [2] 進行・再発時も基本的には皮膚病変の変化や局所症状が中心で、体重増加は典型的なサインではありません。 [3]
体重増加が起こりうる場面
ただし、治療や合併症に関連して体重が増えるケースはありえます。 以下のような原因が考えられます。
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免疫療法に伴う内分泌(ホルモン)異常: ニボルマブやイピリムマブなどの免疫チェックポイント阻害薬では、甲状腺機能低下症(甲状腺の働きが落ちる状態)が比較的よく起こり、倦怠感、寒がり、皮膚の乾燥とともに「説明のつかない体重増加」が見られることがあります。 [4] これらの薬剤ではホルモン異常(甲状腺、副腎、下垂体など)がまれながら重症化することがあり、体重変化は注意すべきサインの一つです。 [5] [6]
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免疫関連副作用の管理に用いるステロイド(副腎皮質ステロイド): 免疫療法の副作用を抑える目的でプレドニゾロンやデキサメタゾンが投与されると、食欲増進や水分貯留により体重増加・むくみが生じることがあります。 [7] ステロイドは免疫療法の有害事象管理に用いられ、投与中は一部の毒性(発熱やかゆみなど)を抑える一方、体重や浮腫への影響が出ることがあります。 [8]
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浮腫(むくみ): 心・腎機能変化、ステロイド、低アルブミン血症などにより体内の水分が貯留すると、実質的な脂肪増加ではなく「体液増加」による体重増加が起こりえます。 見た目のむくみ、靴や指輪がきつくなる、急な体重増加は水分貯留のサインです。ステロイドでは浮腫が比較的少ないとの報告もありますが、薬剤や用量、個人差により変動します。 [7]
一方で「体重減少」はメラノーマを含むがんで重要なサイン
がんに伴う悪液質(キャケクシア)は、食欲低下、体重減少、筋肉や脂肪の消耗を特徴とします。 これは多くのがんで見られ、メラノーマでも腫瘍が産生するサイトカインなどにより体重減少が進行することがあります。 [9] [10] 研究ではメラノーマ由来因子が悪液質を引き起こす可能性が示されており、治療前後に不意の体重減少が続く場合は注意が必要です。 [11] したがって、原因不明の体重減少はより典型的な注意サインであり、医療機関での評価が推奨されます。 [9]
注意すべき兆候(体重増加と合わせて見るポイント)
体重増加が気になるとき、次のサインが同時にないかを確認すると原因の絞り込みに役立ちます。
- 甲状腺機能低下を示唆する症状: 強い疲れ、寒がり、皮膚の乾燥、便秘、脈が遅い、説明のつかない体重増加。免疫療法中の方は特に要注意です。 [4]
- ホルモン異常の一般的サイン: 頭痛、めまい・失神、発汗の増加や体温調節の異常、動悸、気分変化、月経異常、体重変化。免疫チェックポイント阻害薬使用中は早めの報告が推奨されます。 [5] [6]
- 浮腫のサイン: 脚や顔のむくみ、急な体重増、息切れ(心不全や肺の炎症が疑われる場合)、尿量の変化。ステロイド使用時や治療中の体液バランス変化で見られます。 [7]
- 皮膚病変の変化(メラノーマの典型サイン): 非対称、境界不整、色調の多様性、直径の拡大、隆起や出血など、ほくろの「ABCDE変化」。体重ではなく皮膚所見がメラノーマ診断の鍵です。 [1] [2] [3]
受診タイミングと検査
免疫療法中または治療歴があり、説明のつかない体重増加が続く場合は、医師に早めに相談することが勧められます。 甲状腺刺激ホルモン(TSH)、遊離T4、コルチゾール(副腎機能)、電解質、血糖、炎症のマーカーなどの採血で原因が評価されます。免疫療法では甲状腺障害が「よくある」副作用として知られており、定期的な血液検査で早期発見・管理が可能です。 [4] また、ホルモン異常は稀でも重症化しうるため、体重変化と合わせて他の症状がある場合は緊急性を考慮します。 [5] [6]
まとめ
- メラノーマ自体の症状として体重増加は一般的ではありません。 皮膚病変の変化が主要なサインです。 [1] [2] [3]
- 治療関連(特に免疫療法)では、甲状腺機能低下や他のホルモン異常により体重増加が起こりえます。 倦怠感・寒がりなどを伴う場合は要注意です。 [4] [5] [6]
- ステロイド治療は食欲増進・水分貯留を介して体重増加やむくみを引き起こすことがあります。 個人差があります。 [7] [8]
- 一方で体重減少はがんにより典型的に起こりうる重要サインで、継続する場合は精査が必要です。 [9] [10] [11]
体重の変化が続いていて、現在免疫療法やステロイドを使用中、または皮膚のほくろに変化がある場合は、早めに担当医に相談して検査を受けることが安心につながります。 [4] [5] [6] [1] [2] [3]
関連する質問
出典
- 1.^abcdMelanoma - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 2.^abcdMelanoma(medlineplus.gov)
- 3.^abcdMelanoma Signs & Symptoms(mskcc.org)
- 4.^abcdePatient information - Melanoma metastatic - Ipilimumab and nivolumab(eviq.org.au)
- 5.^abcdePatient information - Melanoma metastatic - Ipilimumab and nivolumab(eviq.org.au)
- 6.^abcdePatient information - Melanoma adjuvant - Nivolumab - weight based dosing(eviq.org.au)
- 7.^abcdCorticosteroids in terminal cancer--a prospective analysis of current practice.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abReduction of toxicity of interleukin-2 and lymphokine-activated killer cells in humans by the administration of corticosteroids.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcCancer cachexia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abCancer cachexia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abCancer cachexia syndrome developed in nude mice bearing melanoma cells producing leukemia-inhibitory factor.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


