Medical illustration for 米国NIHの資料に基づく | 肝硬変でみられる皮膚の発疹にはどのような特徴がありますか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | 肝硬変でみられる皮膚の発疹にはどのような特徴がありますか?

要点:

肝硬変では皮膚・粘膜にクモ状血管腫、手掌紅斑、黄疸、そう痒、易出血・紫斑などがみられ、病期や原因により現れ方が異なります。これらはホルモン代謝異常や胆汁うっ滞、凝固異常などの病態を反映し、進行サインとして早期受診の目安になります。

肝硬変でみられる皮膚・粘膜の所見には、特徴的な「クモ状血管腫(くも状血管)」「手掌紅斑」「黄疸」「そう痒(かゆみ)」「易出血・易あざ(紫斑)」などがあり、病期の進行や原因(例:アルコール性、胆汁うっ滞など)によって現れ方が変わります。 [1] 肝機能が悪化すると皮膚や眼球結膜が黄色くなる黄疸、皮膚のかゆみ、手のひらの赤み、皮膚表面の細い血管が星状・蜘蛛状に見える所見が目立ってきます。 [2] [1]

代表的な皮膚所見

  • クモ状血管腫(spider angioma)
    胸部・肩・顔面などに「中心が赤く、そこから細い血管が放射状に広がる」小さな血管の集まりが見え、指で押すと一時的に色が消えてまた戻るのが特徴です。 [1] 肝硬変では頻度が高く、アルコール関連の肝障害で特に目立ちます。 [3]

  • 手掌紅斑(palmar erythema)
    手のひらの特に母指球・小指球がびまん性に赤く見え、温かさを伴うことがあります。 [1] 肝硬変でよくみられる「肝性皮膚サイン」の一つで、ホルモン代謝異常や末梢血管拡張が背景にあると考えられています。 [4]

  • 黄疸(jaundice)
    皮膚や眼球結膜が黄色くなり、進行した肝機能障害を示唆します。 [2] 肝硬変の進行段階で現れることが多く、同時に尿の濃染や全身倦怠感が伴うことがあります。 [5]

  • 皮膚そう痒(pruritus)
    特に胆汁うっ滞(胆汁の流れが悪い状態)を伴う肝疾患で強いかゆみを訴えやすく、夜間に悪化しがちです。 [2] 胆汁酸やリゾホスファチジン酸(LPA)などの体内の物質がかゆみの誘因になっている可能性が示されています。 [6] [7]

  • 易出血・易あざ(皮下出血、紫斑)
    血小板減少や凝固因子低下により「打撲していないのにあざができやすい」「出血が止まりにくい」といった傾向が生じます。 [8] 門脈圧亢進に伴う脾腫や血小板減少が早期徴候になることがあります。 [9]

  • そのほかの付随所見
    爪の蒼白(pale nails)や指趾のばち状指(爪端の丸みと肥厚)などが見られる場合があります。 [1] アルコール性肝硬変ではデュピュイトラン拘縮(手掌腱膜の肥厚により指が曲がる)や脱毛などの皮膚・付属器所見が併存することがあります。 [3] [10]

なぜ起こるのか(背景機序)

  • 末梢血管拡張
    肝硬変では血中ホルモンやバイオアクティブ物質の代謝が低下し、皮膚の小血管が拡張して「手掌紅斑」や「クモ状血管腫」を引き起こします。 [1] [4]

  • 胆汁うっ滞
    胆汁成分の蓄積が神経を刺激し、強いかゆみが生じます(LPAなどが関与)。 [6] [7]

  • 凝固異常・血小板減少
    肝で作られる凝固因子の低下と門脈圧亢進に伴う脾腫による血小板減少で、皮下出血やあざができやすくなります。 [9] [8]

  • ビリルビン上昇
    ビリルビンが皮膚・粘膜に沈着し、黄疸として現れます。 [2] [5]

どんなときに注意が必要か

  • 皮膚のかゆみが強く、夜間睡眠を妨げる場合は胆汁うっ滞の悪化や薬剤性の可能性も考慮が必要です。 [2] かゆみに対しては胆汁酸吸着薬、リファンピシン、オピオイド拮抗薬などの段階的治療が検討されます。 [6] [7]

  • 突然広範なあざ、鼻血や歯ぐき出血が増える、黒色便(消化管出血の可能性)などがあれば早急な受診が望まれます。 [8] 門脈圧亢進による食道・胃静脈瘤の破綻出血が重篤になり得ます。 [9]

  • 黄疸の進行、腹水(お腹の張り)、むくみ、意識の混乱や眠気が出てきた場合は病期進行のサインであり、専門医の評価が必要です。 [2] [1]

まとめ

肝硬変の皮膚所見は「クモ状血管腫」「手掌紅斑」「黄疸」「そう痒」「易出血・易あざ」が代表的で、病態(ホルモン・胆汁うっ滞・凝固異常など)を反映します。 [1] [2] 特にアルコール性肝障害ではこれらの所見の出現頻度が高くなる傾向があり、診断や重症度評価の一助になります。 [3] これらのサインが新たに出現・悪化した場合は、肝機能の変化が起きている可能性があるため早めの受診を検討してください。 [2] [8]

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出典

  1. 1.^abcdefghCirrhosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  2. 2.^abcdefghCirrhosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  3. 3.^abc[Vascular spiders, palmar erythema and Dupuytren's contracture in alcoholic hepatic cirrhosis. Clinical-statistical contribution].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abCirrhosis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  5. 5.^abCirrhosis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  6. 6.^abcPathophysiology and current management of pruritus in liver disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcPathogenesis and management of pruritus in cholestatic liver disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abcdCirrhosis(medlineplus.gov)
  9. 9.^abcCirrhosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  10. 10.^Symptoms(stanfordhealthcare.org)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。