Medical illustration for PubMedの資料に基づく | 肝硬変で動悸が起こる原因と、受診の目安は何ですか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 肝硬変で動悸が起こる原因と、受診の目安は何ですか?

要点:

肝硬変では門脈圧亢進による血管拡張で心拍数・心拍出量が増える過動的循環、肝硬変性心筋症、そして自律神経障害が重なり動悸を引き起こします。胸痛・息切れ・失神などを伴う動悸や処置後の強い動悸は救急受診の目安で、反復・持続する場合は肝臓と循環器の評価を早めに受けましょう。

肝硬変で動悸が起こる理由と受診の目安

肝硬変では、循環(血のめぐり)や心臓の働きに複数の変化が起こりやすく、これらが重なって動悸(心拍の速さ・乱れを自覚する症状)につながることがあります。肝硬変は門脈圧(肝臓へ向かう静脈の圧)が高くなることで全身の血管が拡張し、心拍数や心拍出量が増える「過動的循環(ハイパーダイナミックサーキュレーション)」を呈しやすく、これが動悸の一因になります。 [1] また、肝硬変では「肝硬変性心筋症(cirrhotic cardiomyopathy)」と呼ばれる、ストレス時に顕在化する心収縮・拡張機能の低下やQT延長など電気的異常がみられ、これも不整脈や動悸につながります。 [2] さらに、自律神経の不調(自律神経障害)が進行とともに増え、循環の反応性が落ちるため、心拍の調整がうまくいかず動悸が出やすくなります。 [3] つまり、肝硬変の動悸は「血管の拡張による心拍数上昇」「心筋機能・電気的異常」「自律神経の不調」といった複数要因が重なることで起こりやすいと理解できます。 [4] [5]


動悸の主なメカニズム

  • 過動的循環(ハイパーダイナミック)

    • 門脈圧亢進に伴う全身・内臓の血管拡張で末梢血管抵抗が低下し、心拍数・心拍出量が上がるため動悸を感じやすくなります。 [1] 血圧が低めでも脈が速い、という特徴がみられることがあります。 [1]
  • 肝硬変性心筋症(心機能・電気伝導の異常)

    • 休んでいるときは目立たなくても、運動・感染・処置(大量腹水穿刺やTIPSなど)といったストレスで心機能低下や不整脈が顕在化し、動悸の誘因になります。 [4] [2] QT延長など電気的異常は頻脈性不整脈のリスクになります。 [2]
  • 自律神経障害

    • 肝硬変では自律神経の障害が進行とともに増え、心拍調節が不安定になり動悸や血圧変動が起こりやすくなります。 [3] アルコール性・非アルコール性の肝硬変どちらでも自律神経障害がみられます。 [3]
  • 体液バランス・合併症の影響

    • 腹水の急な除水(大量腹水穿刺)やTIPS後、術後・感染時は循環ストレスが高まり動悸を誘発しやすいです。 [4] [5] 輸液や利尿薬の調整が難しい場面では、脈の乱れが出やすくなります。 [5]

よくある誘因・悪化要因

  • 発熱や感染(腹膜炎、肺炎など)で心拍数が上がる。 [5]
  • 大量腹水穿刺やTIPS、手術といった「循環に負荷のかかる処置」。 [4]
  • 低血圧・脱水、電解質異常(特に低カリウム、低マグネシウム)は不整脈の誘因。 [4]
  • 過度の運動やストレスで潜在的な心機能低下が顕在化。 [4]
  • 一部薬剤(例:ACE阻害薬・ARB)は循環に影響しうるため、肝硬変では慎重投与が必要。 [4]

受診の目安(どんなときに受診・救急が必要?)

  • 次のような「危険サイン」がある場合は、速やかな救急受診を検討してください。

    • 動悸が数分以上持続し、胸痛、息切れ、失神・めまい、冷汗、急な血圧低下を伴う。 [4]
    • 新たな速い不整脈(非常に早い脈)を繰り返す、または脈が不規則で苦しい。 [2] [4]
    • 大量の腹水除去後やTIPS後、術後に強い動悸・息切れが出現。 [4] [5]
    • 発熱や感染が疑われ、脈が速く息苦しい。 [5]
  • 上記ほど緊急性が高くない場合でも、肝硬変があり動悸が続く・繰り返すときは、早めに消化器(肝臓)専門医と循環器の両方で評価を受けることをおすすめします。 [4] ストレス心エコーや心電図、電解質チェック、利尿薬やβ遮断薬の見直しなどが検討されます。 [2] [4]


診断・チェック項目(医療機関で行われること)

  • 心電図(不整脈、QT延長の確認)。 [2]
  • 心エコー(収縮・拡張機能、潜在的な心筋症の評価)。 [4]
  • 採血(電解質、腎機能、炎症反応)と体液バランス評価。 [4]
  • 必要に応じて負荷試験(ストレスで心機能が隠れ異常を示すことがある)。 [4] 肝硬変性心筋症は安静時に正常でも、負荷で機能低下が明らかになります。 [4]

日常でできる対策・予防のヒント

  • 体調管理

    • 発熱・感染のサイン(咳、腹痛、発熱)を見逃さず、早めに相談。 [5]
    • 脱水を避け、医師の指示に沿った水分・利尿薬の調整を守る。 [4]
  • 誘因を減らす

    • 過度な飲酒は避ける(アルコールは心機能・自律神経に悪影響)。 [4]
    • 激しい運動直後の動悸が続く場合は、運動強度を見直す。 [4]
  • 服薬の見直し

    • ACE阻害薬・ARBなど循環に影響する薬は、肝硬変では主治医と慎重に調整。 [4]
    • β遮断薬はQT延長の改善に役立つことがあり、適切な症例で検討されます。 [2]

まとめ

肝硬変の動悸は、門脈圧亢進に伴う過動的循環、肝硬変性心筋症(心機能・電気的異常)、自律神経障害などが複合的に関与して起こりやすい症状です。 [1] [2] [3] 胸痛・息切れ・失神などの危険サインを伴う動悸は救急受診の目安であり、緊急性が低くても反復・持続する場合は肝臓と心臓の両面からの評価が望まれます。 [4] [5] 適切な検査と体液管理・薬剤調整により、動悸の原因特定と安全な対処が期待できます。 [4] [2] [5]

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出典

  1. 1.^abcd[Hyperdynamic circulation in patients with liver cirrhosis and portal hypertension].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghiThe heart and the liver.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdAutonomic dysfunction in cirrhosis and portal hypertension.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghijklmnopqrstuvCardiovascular complications of cirrhosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefghiCardiovascular changes in cirrhosis: pathogenesis and clinical implications.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。