
PubMedの資料に基づく | 肝硬変で息切れが生じる原因は何ですか?
肝硬変の息切れは、肝性肺症候群(肺毛細血管拡張による低酸素)や門脈性肺高血圧症、肝性胸水・腹水、消化管出血による貧血、感染・塞栓など複数の要因が重なって生じます。HPSは立位で悪化し肝移植が最も有効で、PoPHは心エコーと右心カテーテルで診断し肺高血圧薬が有用なことがあります。胸水の管理や出血制御・貧血治療など、原因ごとに検査と治療を組み合わせることが重要です。
肝硬変で息切れが起こる主な仕組み
肝硬変では、肺や心臓、血液、体内の水分分布に影響が及ぶため、複数の要因が重なって息切れ(呼吸困難)が生じやすくなります。 この息切れは一つの原因だけでなく、いくつかの合併症が同時に存在して悪化することがよくあります。 [1] 肝硬変に特有の肺合併症として「肝性肺症候群(HPS)」と「門脈性肺高血圧症(PoPH)」があり、いずれも呼吸困難の重要な原因です。 [1] [2]
肝性肺症候群(HPS)
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仕組み
HPSでは、肺の毛細血管が異常に拡張して数が増え、肺で酸素を血液に取り込む効率が落ちます(換気血流不均衡・拡散障害・肺内シャント)。 [3] こうした変化は一部の生体内物質(エンドセリン-1、一酸化窒素など)により促進され、結果として低酸素血症(血中の酸素が低い状態)を引き起こします。 [3]
定義上は、海面上でのA–a酸素較差が15mmHgを超える酸素化障害が特徴です。 [4] -
症状の特徴
息切れは立位や座位で悪化し、横になると改善しやすい(プラチポネア/オルソデオキシア)という特徴があります。 [5] HPSは肝硬変の10–30%程度に認められ、存在すると予後が悪化します。 [4] [2] -
診断と治療のポイント
パルスオキシメータでの低酸素のスクリーニング後、動脈血ガスと造影心エコー(バブルテスト)で肺内血管拡張(IPVD)を確認します。 [4] 有効な内科的治療は確立しておらず、肝移植が改善・治癒に最も有効とされています。 [4] [2] 肝移植が唯一の根治治療と考えられています。 [5]
門脈性肺高血圧症(PoPH)
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仕組み
PoPHは門脈圧亢進を背景に肺動脈の収縮・リモデリング(抵抗血管の変化)が進む状態で、心臓から肺へ血液を送る圧が上がり、右心負荷とガス交換悪化により息切れを生じます。 [1] [2] -
頻度と診断
肝移植評価を受ける人の約4–8%で見つかり、進行例では手術リスクが高まります。 [2] 心エコーでスクリーニングし、確定には右心カテーテルが必要です。 [2] -
治療の方向性
近年は肺高血圧治療薬により血行動態の改善が期待でき、移植周術期の成績向上につながる可能性があります。 [2]
体液貯留と胸水(肝性胸水)
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機序
肝硬変による腹水や低アルブミン血症で体液が胸腔へ移動し、肝性胸水(主に右胸)が生じると肺が圧迫され、少しの動作でも息切れが強くなります。 [6] -
臨床的ポイント
胸部X線や超音波で胸水を確認し、利尿薬や胸水ドレナージ、腹水コントロールが息切れ改善に役立つことがあります。 [6]
貧血(とくに消化管出血による)
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背景
肝硬変では食道・胃の静脈瘤などからの出血により急性・慢性の貧血が起き、酸素運搬能が低下して息切れが悪化します。 [7] 出血時には黒色便や血便、吐血、めまい・意識消失などがみられることがあります。 [8] -
症状のつながり
出血後の貧血では顔色不良、血圧低下、軽い活動でも息切れが出やすいとされています。 [9]
感染・塞栓などその他の原因
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感染症の合併
肝硬変では細菌感染のリスクが高く、肺炎などで急性に呼吸不全へ進むことがあります。 [6] -
肺塞栓・腫瘍の関与
肝細胞癌の進展や塞栓(血栓)により肺血流が障害されて呼吸困難が出ることがあります。 [6]
一覧で整理:主な原因と特徴
| 原因 | 主な機序 | 息切れの特徴 | 診断の鍵 | 治療の方向性 |
|---|---|---|---|---|
| 肝性肺症候群(HPS) | 肺毛細血管の拡張・シャント・拡散障害 | 立位で悪化・臥位で軽快、低酸素血症 | 動脈血ガス、造影心エコー、肺シンチ | 肝移植が最も有効 |
| 門脈性肺高血圧症(PoPH) | 肺動脈の収縮・リモデリング、右心負荷 | 労作時息切れ、進行で安静時も | 心エコー、右心カテーテル | 肺高血圧薬+移植適応調整 |
| 肝性胸水/腹水 | 体液が胸腔へ移行し肺圧迫 | 体位で変化、胸痛/咳を伴うことも | 画像(X線/超音波) | 利尿・ドレナージ・腹水管理 |
| 貧血(静脈瘤出血など) | 酸素運搬能低下 | 動作で顕著、めまい・疲労感 | 血算、内視鏡 | 出血制御、鉄/輸血 |
| 感染・塞栓・腫瘍 | 気体交換障害/血流遮断 | 発熱や胸痛を伴うことあり | 画像・血液培養等 | 原因治療 |
HPSの病態は肺内血管拡張と数の増加による酸素取り込み低下が核心で、肝移植での改善が期待できます。 [10] [5] 肝硬変患者の15–30%にみられ、生命予後にも影響します。 [4] [2] PoPHは4–8%程度で、診断には右心カテーテルが必要です。 [2]
受診の目安とチェックポイント
- 立位で息切れが悪化し横になると楽になる、指のばち状変形や唇の青紫色(チアノーゼ)などがある場合はHPSを疑います。 [11] [5]
- 動悸・むくみ・腹水の悪化とともに息切れが進む場合はPoPHや胸水の可能性があります。 [1] [6]
- 黒色便や吐血、急なめまい・意識消失がある場合は静脈瘤出血による貧血を考え、緊急受診が必要です。 [8] [9]
まとめ
肝硬変の息切れは、肝性肺症候群(肺毛細血管の拡張による低酸素)、門脈性肺高血圧症(肺動脈の抵抗増大)、胸水や腹水による肺圧迫、静脈瘤出血による貧血、感染・塞栓などが単独または重なって起こるのが一般的です。 [1] [2] HPSは立位で悪化する息切れが特徴で、肝移植が最も有効です。 [5] [4] PoPHは心エコーと右心カテーテルで評価し、肺高血圧治療薬が有用なことがあります。 [2] それぞれ適切な検査を組み合わせ、原因を分類して確認することが重要です。 [4] [2]
関連する質問
出典
- 1.^abcde[Pulmonary affection in advanced liver disease - hepatepulonary syndrome and portopulmonary hypertension].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefghijklPulmonary complications of cirrhosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abHepatopulmonary syndrome: update on recent advances in pathophysiology, investigation, and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdefgHepatopulmonary syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdeHepatopulmonary syndrome - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 6.^abcdeThoracic complications of liver cirrhosis: radiologic findings.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^↑Symptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 8.^abEsophageal varices - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 9.^ab식도 정맥류(Esophageal varices) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 10.^↑Hepatopulmonary syndrome - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 11.^↑Hepatopulmonary syndrome - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


