Medical illustration for 米国NIHの資料に基づく | 肝硬変の人に発熱がみられる場合、どのような原因が考えられ、どの症状があればすぐに受診すべきですか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | 肝硬変の人に発熱がみられる場合、どのような原因が考えられ、どの症状があればすぐに受診すべきですか?

要点:

肝硬変で発熱がある場合は、自発性細菌性腹膜炎(SBP)や肺炎・尿路感染などの感染症が最も疑われ、腫瘍熱やアルコール性肝炎も原因になり得ます。38.3℃以上の高熱、腹痛や腹水増加、意識障害、消化管出血、呼吸困難、黄疸の急速悪化などがあれば早急に受診・救急受診が必要です。腹水がある場合は腹水検査や培養などの評価と早期抗菌薬治療が重要です。

肝硬変の方に発熱がみられる場合、原因は複数ありえますが、まず感染症(自発性細菌性腹膜炎や肺炎・尿路感染など)を強く疑うことが一般的です。 [1] 発熱が肝硬変の悪化や合併症のサインであることもあるため、重い症状があれば早めの受診や救急受診が望ましいです。 [2]


主な原因

  • 自発性細菌性腹膜炎(SBP)
    腹水に細菌が侵入して起こる腹膜の感染で、肝硬変の代表的合併症です。 [1] 発熱や腹痛がみられることがあり、症状が軽いか目立たないこともあるため注意が必要です。 [3] 迅速な抗菌薬治療と入院管理が必要になる重篤な感染です。 [3]

  • 細菌感染(肺炎・尿路感染・菌血症など)
    肝硬変では免疫機能が低下し、肺炎・尿路感染・菌血症などの細菌感染が一般より多く、入院中の感染リスクも高いです。 [1] これらの感染は敗血症や多臓器不全の引き金になりうるため、早期診断・治療が重要です。 [1]

  • アルコール性肝炎の併発
    食欲低下、吐き気、腹痛、発熱、黄疸、白血球増多、AST上昇などを伴うことがあり、肝硬変の経過中に急速に悪化することがあります。 [4] 診断は病理学的に確定されますが、臨床的にも強く疑われる場面があります。 [4]

  • 腫瘍(肝細胞癌)
    肝硬変の背景では肝細胞癌の合併リスクが高く、腫瘍熱として発熱を呈することがあります。 [4]

  • 内因性毒素(エンドトキシン)による反応
    肝硬変では門脈血由来のエンドトキシンのクリアランス低下があり、発熱の一因となることがあります。 [4]


すぐに受診すべき危険サイン

以下の症状がある場合は、救急受診を含めた早急な医療機関受診がすすめられます。 [5] [6]

  • 高熱(38.3°C以上)や持続する発熱。 [5] [6]
  • 新規または急速に悪化する腹部膨満(腹水)や腹痛。 [5] [7]
  • 意識の変化・混乱(肝性脳症の兆候)。 [5] [6]
  • 消化管出血の兆候(黒色便、吐血、血便)。 [7]
  • 呼吸困難や頻呼吸。 [5]
  • 黄疸の新規出現または急速な悪化。 [5]
  • 繰り返す嘔吐や強い下痢。 [5]

これらは感染、SBP、消化管出血、肝性脳症、腎不全など重篤な合併症の可能性を示します。 [1] 肝硬変の方では感染が死亡率を大きく高めるため、特に入院中や消化管出血時は警戒が必要です。 [1]


受診時のポイント(医療機関で行われること)

  • 腹水穿刺(腹水検査)
    SBPが疑われる場合、腹水中の好中球数(PMN)測定が重要で、臨床症状が乏しくても検査で感染が判明することがあります。 [8] SBPは臨床症状が軽い場合でも存在しうるため、腹水がある方の発熱では検査が推奨されます。 [8]

  • 血液検査・血液培養、尿検査・尿培養、胸部画像
    肝硬変では肺炎、尿路感染、菌血症が多いため、原因同定のための培養や画像評価が行われます。 [1]

  • 早期抗菌薬投与と支持療法
    グラム陰性腸内細菌や肺炎球菌などが原因となることが多く、適切な抗菌薬治療が必要です。 [8] 治療しても死亡率が高いことがあり、全身管理が重要です。 [8]


よくある原因と特徴の比較

原因典型的症状・所見重要ポイント
自発性細菌性腹膜炎(SBP)発熱、腹痛、腹水の増加(症状が軽いことも)腹水中PMN増加が診断の鍵、入院と抗菌薬が必要。 [8] [3]
肺炎発熱、咳、呼吸困難肝硬変では感染リスク高く重症化しやすい。 [1]
尿路感染発熱、頻尿・排尿痛菌血症の原因にもなり得るため培養が重要。 [1]
菌血症高熱、悪寒、全身状態悪化腸管からの細菌移行が背景、敗血症予防が重要。 [1]
アルコール性肝炎発熱、黄疸、白血球増多、AST上昇肝硬変で急速悪化あり、飲酒中止が不可欠。 [4]
肝細胞癌腫瘍熱、体重減少、腹痛肝硬変では発症リスクが高い。 [4]
エンドトキシン血症発熱などの炎症反応肝のクリアランス低下が関与。 [4]

自宅での見守りのコツ

  • 体温と症状の記録を行い、38.3°C以上の発熱や腹痛・腹水増加・意識変化があればすぐに相談しましょう。 [5] [6]
  • 水分・栄養の維持と、意識レベルのチェック(名前を呼んで反応するか、会話が通じるか)を行います。 [6]
  • 出血サイン(黒色便・吐血)を見逃さないようにします。 [7]
  • アルコール摂取の中止は肝障害悪化と感染リスク増加を防ぐうえで重要です。 [5]

まとめ

肝硬変で発熱がある場合、SBPや肺炎・尿路感染などの感染症がまず考えられ、腫瘍やアルコール性肝炎なども可能性に含まれます。 [1] [4] 高熱、腹痛や腹水の急増、意識の変化、出血、呼吸困難、黄疸の急速悪化などがあるときは、重篤な合併症のサインになり得るため早急な受診がすすめられます。 [5] [6] 腹水がある方では、症状が軽くてもSBPが隠れていることがあるため、腹水検査や培養検査を含む評価が重要です。 [8] [1]

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出典

  1. 1.^abcdefghijklImmune dysfunction and infections in patients with cirrhosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^Cirrhosis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  3. 3.^abcCirrosis hepática - American College of Gastroenterology(gi.org)
  4. 4.^abcdefgh[Fever and liver cirrhosis].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefghijAlcoholic liver disease: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  6. 6.^abcdefCirrhosis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  7. 7.^abcCirrhosis - discharge: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  8. 8.^abcdefBacterial infections complicating liver disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。