
WHOの資料に基づく | 子宮体がんで嚥下困難(飲み込みにくさ)が症状として現れることはあるのか、その原因や受診の目安を教えてください。
子宮体がんで嚥下困難が初期症状として現れることは稀で、主症状は不正出血です。飲み込みにくさは胸部・頭頸部への転移や縦隔リンパ節腫大の圧迫、治療(放射線・抗がん剤)の副作用など二次的要因で生じ得ます。進行性の嚥下困難、液体も通らない、体重減少や胸部症状を伴う場合は早めに受診し、上部内視鏡・食道造影・胸部CTなどで評価します。
子宮体がんで嚥下困難(飲み込みにくさ)が直接の初期症状として現れることは一般的ではありませんが、可能性としては「進行・転移による影響」や「治療関連の影響」で嚥下困難が起こり得ます。 子宮体がんの典型的な初期症状は不正出血(特に閉経後の出血)で、嚥下障害は子宮体がんそのものの局所症状ではありません。 [1] ただし、他臓器への転移や胸部の腫瘍・リンパ節腫大が食道や気道を圧迫したり、治療の影響で嚥下機能が低下することで、結果的に飲み込みにくさが生じることはあります。 [2] [3]
嚥下困難が起こり得る仕組み
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食道そのものの狭窄や腫瘍性病変
嚥下困難の代表的な原因は、食道の内腔が狭くなること(狭窄)や食道腫瘍です。食道がんでは腫瘍が食道を狭めて食べ物が通りにくくなり、飲み込みづらさが目立ちます。 [4] [5] 一方、子宮体がんでは食道原発の腫瘍は通常ありませんが、胸部の転移やリンパ節腫大が食道に外から圧力をかけると、機械的な圧迫で嚥下困難が起こり得ます。 [2] -
胸部・気道への転移による影響
子宮体がんは主に骨盤内で進行しますが、稀に肺や気道(気管支)へ転移しうることがあり、気道閉塞や咳、体重減少などで見つかることがあります。 [6] 気道側の腫瘍が近接する食道や咽頭周囲を圧迫すれば、間接的に飲み込みづらさに繋がる可能性があります。 [6] [2] -
上気道(咽頭・喉頭)への稀な転移
きわめて稀ですが、喉頭蓋(エピグロット)や口蓋扁桃など頭頸部に転移して嚥下障害として気づかれる症例報告があります。 [7] [8] これらは例外的ケースであり、頻度は低いものの、嚥下困難が長引く場合は頭頸部の観察も検討されます。 [7] [8] -
機能的障害(神経・筋の影響)
嚥下は、口〜咽頭〜食道の筋肉の協調運動です。神経系や筋層の障害で嚥下運動が乱れると、食道造影や内視鏡で大きな構造異常がなくても飲み込みづらさが起こることがあります。 [9] 稀ではありますが、腫瘍の浸潤や炎症が食道の神経叢(アウエルバッハ筋間神経叢)を障害し、食道の蠕動(ぜんどう)が失われることで嚥下困難が出ることも報告されています。 [10] -
治療による影響(放射線・薬剤など)
がん治療の一部は嚥下機能に影響します。放射線治療は照射部位によって粘膜炎や筋の硬化を引き起こし、嚥下時痛や飲みにくさに繋がることがあります。 [3] また、抗がん剤の中には神経毒性を持つ薬剤があり、可逆的な嚥下困難を引き起こすことがあります。たとえばビンクリスチンで嚥下困難が生じ、休薬で改善した症例が報告されています。 [11]
子宮体がんにおける嚥下困難の「出現頻度」の考え方
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初期症状としては稀
子宮体がんの初期症状は主に不正出血であり、嚥下困難は一般的な初発症状ではありません。 [1] -
進行例・転移例で可能性
肺・縦隔(胸の中央部)・頭頸部への転移が起きた場合に、嚥下困難が二次的に生じることがありますが、頻度は高くありません。 [6] [7] [8] また、胸部の腫瘍やリンパ節腫大が食道を外側から圧迫することで嚥下困難を引き起こすことがあります。 [2] -
食道原発のがんとの区別が重要
嚥下困難が目立つ場合、食道がんなど食道自体の病変が原因であることが多いため、画像検査や内視鏡で部位の特定が重要です。 [4] [5]
受診の目安(どのタイミングで受診するか)
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すぐに受診が必要なサイン
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数日〜数週間以内の受診が推奨される状況
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子宮体がんの既往がある場合
既往があり、咳・呼吸困難・体重減少など胸部症状と嚥下困難が重なる場合は、胸部転移や縦隔リンパ節腫大の有無を確認するために、胸部CTや上部消化管内視鏡の検討が有用です。 [6] [2] 複数臓器に症状が及ぶ際は、専門科横断での評価(消化器内科・呼吸器内科・婦人科腫瘍科など)が望ましいです。 [9]
受けると良い検査
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上部消化管内視鏡(食道内視鏡)
食道内腔の狭窄・腫瘍・炎症の有無を直接確認できます。嚥下困難の器質的原因を見つける第一選択になります。 [9] -
造影検査(食道造影)
飲み込みの流れや狭窄部位を可視化し、運動機能の評価にも役立ちます。 [9] -
頭頸部の内視鏡・画像
長引く嚥下困難で咽頭・喉頭の違和感や声の変化がある場合、まれな転移や炎症性病変の確認が役立ちます。 [7] [8]
対応・治療の考え方
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原因に応じた治療選択
器質的な狭窄が主因なら、食道ステント挿入や内視鏡的拡張などの選択肢があり、食事摂取を改善して生活の質を高めます。 [12] 食道がんなど原発病変が見つかった場合は、そのがん種に応じた外科・放射線・化学療法の組み合わせで治療します。 [5] [4] -
治療関連の副作用対策
粘膜炎や痛みに対しては鎮痛・粘膜保護、栄養サポート、嚥下リハビリが有効です。 [3] 神経毒性が疑われる薬剤の影響では、担当医と用量調整・休薬の相談が推奨されます。 [11] -
栄養・嚥下のサポート
やわらかい食事形態への変更、少量頻回摂取、トロミ付け、嚥下リハビリ(嚥下訓練)などで安全に栄養を保つ工夫を行います。 [9]
まとめ
子宮体がん自体の初期症状として嚥下困難が現れることは一般的ではありません。 主症状は不正出血であり、嚥下困難は進行・転移や治療の影響による「二次的な症状」と考えるのが自然です。 [1] ただし、胸部の腫瘍やリンパ節腫大、頭頸部の稀な転移、食道や気道の病変が重なれば嚥下困難が起こり得るため、進行性の飲み込みづらさや体重減少・胸部症状を伴う場合は、早めの医療機関受診が望ましいです。 [6] [2] [4]
関連する質問
出典
- 1.^abcEndometrial cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefgSwallowing difficulty: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 3.^abcSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 4.^abcdefghijkEsophageal Cancer(stanfordhealthcare.org)
- 5.^abcEsophageal Cancer(stanfordhealthcare.org)
- 6.^abcdeEndobronchial metastases from endometrial carcinoma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcdA rare manifestation of metastatic adenocarcinoma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcdA unique case of palatinate tonsil metastasis from endometrial cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdef국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 10.^↑Esophageal aperistalsis secondary to metastatic invasion of the myenteric plexus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abVincristine-induced dysphagia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


