Medical illustration for 米国NIHの資料に基づく | COPD患者にみられる体重減少はどのような原因で起こり、どの程度の減少が受診の目安になりますか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | COPD患者にみられる体重減少はどのような原因で起こり、どの程度の減少が受診の目安になりますか?

要点:

COPDでは、呼吸仕事量の増加、食欲低下、全身性炎症、活動量低下が重なり、体重(特に筋肉量)が減少しやすく予後不良のサインになります。受診の目安は、3〜12か月で5%以上の意図しない体重減少、BMI<21、FFMI低値(男性<17、女性<14)です。早期に栄養評価と、栄養介入+呼吸リハビリを検討してください。

COPDに伴う体重減少の原因と受診の目安

COPD(慢性閉塞性肺疾患)では、体重減少や筋肉量の低下(とくに除脂肪量の減少)が比較的よくみられ、病状の重さや予後(先々の健康状態)に関わる重要なサインになります。COPDそのものが体重減少や脚の筋力低下を引き起こすことがあり、重症例で目立つとされています。 [1] [2] 体重減少や栄養不良は、肺機能(FEV1)の数値とは独立して予後不良に結びつく傾向があるため、早めの把握と対策が大切です。 [3] [4]


なぜ体重が減るのか(主なメカニズム)

  • 呼吸仕事量の増加による消費カロリー増加
    COPDでは、空気の出し入れにより多くのエネルギーが必要になり、カロリー消費が増えやすいことが知られています。 [5]

  • 食欲低下・摂取量不足
    息切れや腹部膨満感(胃が張る感じ)で食事量が減りがちです。大きな食事は呼吸を苦しくしやすく、結果として摂取カロリーが不足します。 [5]

  • 全身性炎症やホルモン異常による筋タンパク分解
    研究では、COPDの進行とともに除脂肪量(筋肉量)の低下を伴う栄養不良(カヘキシア)が生じ、これが独自に死亡リスクと関連すると示されています。 [3] [4]

  • 日常活動の制限による筋力低下の悪循環
    息切れで活動量が落ちる一方、栄養不足が重なると下肢筋力の低下が進みやすく、さらに消耗が加速します。 [1] [2]


「どのくらい減ったら注意?」受診の目安

  • 体重の減少率(一般的なカヘキシアの診断目安)
    3〜12か月で5%以上の意図しない体重減少がある場合、カヘキシア(病的やせ)の可能性が高く、速やかな評価・介入が推奨されます。 [6]

  • BMI(体格指数)のしきい値
    COPDではBMIが21未満は栄養リスクが高い状態と広く受け止められています。 [3] [4]

  • FFMI(除脂肪量指数)のしきい値
    測定可能な施設では、FFMIが男性17未満、女性14未満が栄養不良の強いシグナルです。BMI低値とFFMI低値が同時にあると「より高リスク(カヘキシア)」と判断されます。 [3] [4]

  • 重症度に応じた注意
    COPDが重症になるほど体重減少や栄養不良の頻度は上がるため、少しの減少でも持続する場合は早めの評価が望ましいです。 [7]


受診のタイミング(チェックリスト)

  • 直近3〜12か月で5%以上の体重減少がある。 [6]
  • BMIが21未満になってきた。 [3] [4]
  • 最近、食事量が明らかに減った、または食後の息苦しさで十分に食べられない。 [5]
  • 力が入らない・階段がつらいなど、下肢筋力低下を感じる。 [1] [2]
  • 感冒や肺炎など呼吸器感染が増えた、疲れやだるさが強い。 [2] [6]

これらが当てはまる場合、栄養評価(身長・体重・BMI、必要ならFFMI)、採血(炎症・貧血など)、食事と運動の計画見直しを目的に受診を検討してください。 [3] [4] [7]


初期対応と予防のポイント

  • 食事の工夫
    小分けで回数を増やす(小さい食事をこまめに)と、息苦しさを抑えながら摂取カロリーを確保しやすくなります。 [5]
    飲み込みや腹部膨満が強い場合は、消化しやすい高エネルギー食品へ置き換える方法もあります。 [8] [5]

  • 体重管理
    COPDでは、体重が軽すぎると感染症に弱くなりやすいため、痩せすぎの改善は重要です。 [5]
    一方で重すぎても呼吸が苦しくなるため、適正体重の維持が望まれます。 [5]

  • 運動(呼吸リハビリ)
    個別化された栄養介入と運動(呼吸リハビリ)を組み合わせることが合理的とされています。筋肉量維持・改善に役立ち、生活の質や予後に良い影響が期待できます。 [3] [4]


まとめ

  • COPDでは、呼吸に必要なエネルギー増加、食欲低下、全身性炎症などが重なって体重(とくに筋肉量)が減少しやすいです。 [5] [1] [3]
  • 3〜12か月で5%以上の意図しない体重減少、BMI21未満、FFMI低値(男性<17、女性<14)は、受診して栄養評価と対策を取る目安になります。 [6] [3] [4]
  • 栄養と運動の併用介入が理にかなっており、早期対応が予後改善に役立ちます。 [3] [4]

参考となる指標比較表

指標受診の目安・高リスクしきい値説明
体重減少率3〜12か月で5%以上カヘキシアの診断目安となる減少幅。 [6]
BMI21未満COPDにおける栄養リスクの受け止め方として広く用いられる。 [3] [4]
FFMI(男性)17未満低値は独立したリスク、BMI低値と併存すると高リスク。 [3] [4]
FFMI(女性)14未満同上。 [3] [4]

息切れや食事のしづらさがある中でも、小分けの食事と適度な運動の組み合わせで体重と筋肉を守る工夫ができます。 [5] [3] [4]

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出典

  1. 1.^abcdCOPD(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcdCOPD(medlineplus.gov)
  3. 3.^abcdefghijklmn[COPD disease and malnutrition].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghijklm[COPD disease and malnutrition].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefghiDay to day with COPD: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  6. 6.^abcdeCachexia as a major underestimated and unmet medical need: facts and numbers.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^ab[Assessment of nutritional status of patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD) and the impact of diet on COPD risk].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^Day to day with COPD: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。