
米国NIHの資料に基づく | COPDの症状として動悸が現れることはありますか?原因や危険な兆候、受診の目安とセルフケアのポイントを教えてください。
COPDでは低酸素や不整脈、肺高血圧、睡眠時低酸素、薬の影響などが重なり、安定期でも動悸を自覚することがあります。会話困難な呼吸困難、チアノーゼ、強い胸痛や極端な不規則脈などは救急受診の目安で、繰り返す動悸は心電図や睡眠評価を含む診療を受け、呼吸法・肺リハ・感染予防などのセルフケアを取り入れましょう。
概要
COPD(慢性閉塞性肺疾患)では、動悸(心臓がドキドキ速く打つ・不規則に感じる)を自覚することがあります。これは、息切れや低酸素、合併する心臓の不整脈(脈の乱れ)や肺高血圧(肺の血圧が高い状態)などが関係して起こりやすく、安定期でも起きることがあります。 [1] 動悸が強く、速さや不規則さが目立つ場合、危険な兆候に当てはまるときは早めの受診や救急対応が必要になります。 [2] [3]
なぜCOPDで動悸が起こるのか(主な原因)
-
🫁 低酸素や血液ガスの乱れ
酸素が足りない状態(低酸素)や二酸化炭素の蓄積、酸性・アルカリ性バランスの乱れは脈を速くし、不整脈を誘発しやすくします。 [4] [1] -
❤️ 不整脈の合併
COPDでは心房頻拍・心房細動・期外収縮・心室性頻拍などの不整脈が安定期でも比較的多くみられ、急性増悪時には重症化しやすくなります。 [4] [5] 特に心房性の頻拍は頻度が高く、治療状況によっては出現率がわずかに増えることがあります。 [5] -
💨 肺高血圧・肺性心(右心不全)
COPDが進行すると肺血管の抵抗が上がり、右心臓に負担がかかって動悸や息切れ、むくみにつながることがあります。 [6] [7] 肺高血圧はCOPDの重要な合併症で、予後や症状に影響します。 [8] -
🌙 睡眠中の酸素低下(オーバーラップ症候群)
睡眠時低酸素や睡眠時無呼吸が重なると、夜間の不整脈や日中の動悸の原因になります。 [9] -
💊 薬の影響
吸入β2刺激薬(例:サルメテロール等)は一般に安全ですが、一部の人で心房性頻拍がわずかに増える可能性が示されています。 [5] ただし、重い不整脈の増加や平均心拍数の上昇は通常認められていません。 [5]
動悸に伴う「危険な兆候」:すぐに受診・救急目安
以下に当てはまる場合は緊急受診(救急要請を含む)を検討してください。
- 🫢 息が急に吸えない/会話が途切れるほどの呼吸困難、前屈しないと呼吸が楽にならない、肋骨の周りの筋肉を使って呼吸している。 [3] [2]
- 💙 唇や爪が青紫色(チアノーゼ)、意識がはっきりしない・眠気が強い、頭痛が増えた。 [10] [3]
- ❤️ 脈が非常に速い・不規則、胸の締めつけ感や胸痛を伴う(心臓発作や重い不整脈の可能性)。 [11] [12]
- 🚶 歩く・話すのも苦しい、むくみが強い(肺性心や右心不全の悪化の可能性)。 [13] [14]
これらはCOPDの急激な悪化や心臓合併症のサインであり、早い対応が安全につながります。 [2] [3]
いつ受診すべきか(非救急の目安)
- 動悸が繰り返し起こる/長く続く/運動に関係なく出る。 [4] [1]
- 息切れや咳・痰の増加、色の変化(黄緑)など、増悪の兆しがある。 [15]
- 夜間の息苦しさやいびき、無呼吸が疑われる(睡眠時の低酸素・無呼吸の重なり)。 [9]
- 新しく始めた薬(吸入薬など)以降に動悸が気になる。 [5]
- 以前より体重が減る、疲れやすい、感染を繰り返す(全身状態の変化)。 [15]
セルフケアのポイント(毎日の対策)
-
🧘 呼吸法の活用(口すぼめ呼吸・横隔膜呼吸)
息を吐く時間を長くし、空気をうまく入れ替えることで息切れと動悸の悪循環を断ちやすくなります。 [16] [17] -
🪑 体位・動作の工夫
座ってできる作業を増やし、前かがみ姿勢(テーブルに肘をつく等)で呼吸が楽になることがあります。 [17] [16] -
🚶 適度な運動(肺リハビリ)
専門家の指導でゆっくり歩行から段階的に。息が上がるときは会話を控え、口すぼめ呼吸を併用。体力と心肺の負担を整え、動悸の自覚を減らす助けになります。 [18] [19] -
💧 こまめな水分・痰のケア
加湿・水分・コントロール咳で気道の痰を出しやすくし、呼吸仕事量を減らします。 [17] -
🦠 感染予防と増悪トリガー回避
禁煙・受動喫煙の回避、寒暖差への配慮、インフル・肺炎球菌ワクチンの相談などで増悪リスクを下げます。 [20] [21] -
🍽️ 栄養管理
低栄養・体重減少は心肺負担を増やします。たんぱく質とバランスの良い食事、必要に応じて栄養相談を。 [21] -
🌙 睡眠の質と評価
夜間の息苦しさや無呼吸が疑われる場合、睡眠検査の相談で不整脈・肺高血圧のリスクに対処できます。 [9] -
📋 症状・脈の記録
動悸の時間帯、持続時間、脈の速さや不規則さ、誘因(運動・薬・カフェイン等)をメモして受診時に共有すると診断がスムーズです。 [4] [1]
医療的な評価・治療で考えられること
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🩺 不整脈の評価
心電図やホルター心電図(24時間心電図)で不整脈の有無・種類を確認します。COPDでは長期モニタリングが有用とされています。 [4] -
🫀 心臓・肺高血圧のチェック
心エコーで肺高血圧や右心負担を推定し、必要に応じて精密検査を検討します。肺高血圧は予後や症状に影響するため、把握が大切です。 [7] [6] -
🧪 血液ガス・電解質
低酸素・二酸化炭素貯留、カリウム・マグネシウムなどの乱れは不整脈の原因になり得るため補正が重要です。 [4] [1] -
💊 薬の最適化
吸入療法の見直し、ステロイドや抗生剤の適正使用、β遮断薬(心臓の薬)の安全な活用可否の検討など、心肺バランスを取る治療が有効なことがあります。 [22] 吸入β2刺激薬は多くの人で安全ですが、心房性頻拍がわずかに増える可能性があるため症状との関連を確認しながら調整します。 [5] -
🫁 在宅酸素の検討
安静時・運動時・睡眠時の低酸素がある場合、長期酸素療法が肺高血圧の進行抑制に役立つ可能性があります。 [6]
よくある質問への回答
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Q:COPDで動悸は「よくある」症状ですか?
A:比較的よく見られます。安定期でも心房性頻拍などが観察されることがあり、急性増悪時は重い不整脈のリスクが上がります。 [4] [5] -
Q:吸入薬で動悸は悪化しますか?
A:多くの方で重大な不整脈の増加はありませんが、心房性頻拍がわずかに増える可能性が報告されています。気になる場合は種類・用量・吸入手技の見直しを相談してください。 [5] -
Q:どのサインが危険ですか?
A:会話困難な呼吸困難、青紫の唇・爪、強い胸痛や極端な動悸・不規則脈、意識混濁などは救急の目安です。 [3] [10] [2]
まとめ
- COPDでは動悸が起こり得ます。原因は低酸素・不整脈・肺高血圧・睡眠時低酸素・薬の影響など複合的です。 [4] [1] [6] [9] [5]
- 危険な兆候(話せないほどの息切れ、青紫の唇・爪、胸痛や極端な不規則脈、意識の変化)があれば救急受診を考えてください。 [3] [10] [2]
- 日々のセルフケア(呼吸法・運動・痰ケア・感染予防・栄養・睡眠評価)が、動悸と息切れの悪循環を断ち、増悪を防ぐ助けになります。 [17] [19] [16] [20] [21]
- 繰り返す動悸や増悪の兆しがあるときは、心電図・ホルター・心エコー・血液ガスなどで評価を受け、治療(吸入薬の最適化、酸素療法、心臓治療)を検討しましょう。 [4] [5] [6]
参考のチェックリスト(受診前メモに)
- 発生頻度・時間帯(昼/夜)と持続時間、脈の速さ・不規則さの自覚。 [4]
- 併発症状:息切れの強さ、咳・痰の量と色、むくみ、胸痛、めまい・意識。 [15] [14]
- 誘因:運動、階段、ストレス、カフェイン、アルコール、新しい薬(吸入薬を含む)。 [5]
- 安静時・運動時・睡眠時の酸素の状況(可能なら経皮的酸素飽和度)。 [9] [6]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefArrhythmias in patients with chronic obstructive pulmonary disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdeCOPD(medlineplus.gov)
- 3.^abcdefChronic obstructive pulmonary disease - adults - discharge: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 4.^abcdefghijDisturbances of rhythm in chronic lung disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdefghijkArrhythmias in patients with chronic obstructive pulmonary disease (COPD): occurrence frequency and the effect of treatment with the inhaled long-acting beta2-agonists arformoterol and salmeterol.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdefPulmonary hypertension in patients with chronic obstructive pulmonary disease: advances in pathophysiology and management.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abPulmonary hypertension in advanced chronic obstructive pulmonary disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^↑Mechanisms of pulmonary hypertension in chronic obstructive pulmonary disease: a pathophysiologic review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdeSleep disorders in COPD: the forgotten dimension.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abcCOPD - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 11.^↑COPD and other health problems: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 12.^↑COPD and other health problems: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 13.^↑Enfermedad pulmonar obstructiva crónica (EPOC): MedlinePlus enciclopedia médica(medlineplus.gov)
- 14.^ab영남대학교(yumc.ac.kr)
- 15.^abcCOPD - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 16.^abcDay to day with COPD: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 17.^abcdCOPD - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 18.^↑Chronic obstructive pulmonary disease (COPD): MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 19.^abCOPD - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 20.^abTreatments(stanfordhealthcare.org)
- 21.^abcChronic obstructive pulmonary disease (COPD): MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 22.^↑Chronic obstructive pulmonary disease: a modifiable risk factor for cardiovascular disease?(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


