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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | COPD(慢性閉塞性肺疾患)で視力低下やかすみ目、視界のぼやけなどの視覚症状は起こりますか?

要点:

COPDそのものが視力低下やかすみ目を必ず引き起こすわけではありませんが、低酸素や全身炎症などの影響で視野や視神経機能が障害される可能性があります。研究では視野検査の悪化やVEPの遅延が示され、見えづらさの一因となりえます。吸入ステロイドによる白内障・緑内障リスクは大規模解析で明確な増加が示されておらず、個別リスクに応じて眼科受診と低酸素評価が重要です。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)と視覚症状の関係

COPDそのものが直接「視力低下」や「かすみ目」を必ず引き起こすとは限りませんが、COPDの全身性の影響(低酸素・炎症・合併症・治療薬の影響)を通じて、視覚機能や眼の健康に影響が及ぶ可能性は示唆されています。 [1] 特に低酸素(血中酸素が不足する状態)や全身の炎症が、網膜や視神経の機能に影響しうるという報告があり、視野検査や視覚誘発電位で異常が見られることがあります。 [2] [3]


COPDの「全身性」影響と目への波及

  • COPDは肺の病気にとどまらず、全身の炎症や酸化ストレス、低酸素を伴う「全身性疾患」です。 [1] その結果、心血管、骨、筋肉、中枢神経などに影響が及び、予後や生活の質に関わります。 [4]
  • 低酸素は網膜や視神経の機能に影響し、視野の異常や視覚反応の遅延(VEPのP100潜時延長)などが観察されています。 [2] これは“見えにくい”“ぼやける”と感じる症状につながる可能性があります。 [2]

実際の研究で示される視機能の変化

  • 視野検査(標準・短波長自動視野計)で、平均偏差(MD)やパターン標準偏差(PSD)などの指標がCOPD群で有意に悪化していたという報告があります。 [2] 短期変動(SF)は差が出ないこともありますが、全体の視野成績はCOPDで不利になりうるとされます。 [2]
  • 視覚誘発電位(VEP)では、P100潜時がCOPD群で有意に延長しており、視神経伝導の機能低下を示唆します。 [2] これは視覚情報の処理が遅くなる状態と解釈され、ぼやけ感や見えづらさの一因となりえます。 [2]

治療薬(吸入ステロイド)と白内障・緑内障のリスク

  • 吸入ステロイド(ICS)で白内障や緑内障のリスク増加が懸念されることがありますが、フルチカゾン/サルメテロール(FSC)を含むICSの長期使用で、白内障・緑内障の発症リスクが上昇しなかったという大規模データ解析があります。 [5] 用量に応じた“用量‐反応”も認められず、調整後のオッズ比は有意な増加を示しませんでした。 [5]
  • ただし、個々の背景(年齢、糖尿病、ステロイドの全身投与歴、家族歴)によってリスクは変わりうるため、定期的な眼科検診での早期発見・管理が重要です。 [5]

COPDの合併症・関連要因がもたらす視覚症状

  • 心血管合併症(虚血性心疾患など)や全身の血管内皮機能障害は、目の血流や神経に影響を与え、視機能低下の一因になりえます。 [1] COPDの急性増悪は全身炎症を高め、眼の循環・神経にも負担をかける可能性があります。 [1]
  • うつ症状や中枢神経の変化も、見え方や視覚処理の主観的な不調につながることがあります。 [4] これは“かすみ目”の訴えの背景に心理的要因が重なる可能性を示しています。 [4]

視覚症状を感じたときのチェックポイント

  • 低酸素のサイン:動作時の強い息切れ、夜間・早朝の頭痛、起床時のだるさが強い場合は、慢性的な低酸素が示唆され、視神経・網膜への影響を疑う根拠になりえます。 [1] パルスオキシメータでの酸素飽和度や、主治医による血液ガス評価が役立ちます。 [1]
  • 薬剤の影響:吸入ステロイドは前述の通り大規模解析で明確なリスク増加は示されていませんが、既存の白内障・緑内障がある場合は症状の進行に注意が必要です。 [5] 主治医と眼科の連携で投薬バランスを見直す方法もあります。 [5]
  • 他疾患の可能性:糖尿病性網膜症、加齢黄斑変性、ドライアイ、片頭痛、眼精疲労など、COPDとは別要因の眼疾患が“かすみ目・ぼやけ”の主因であることも少なくありません。 [6] 眼科での網膜・視神経評価(視野、OCT、眼圧、屈折)が推奨されます。 [6]

予防とケアの実践ポイント

  • 酸素管理とリハビリ:適切な酸素療法や呼吸リハビリは、全身低酸素の是正に役立ち、眼への二次的影響も緩和しうると考えられます。 [1] 運動療法は血流改善と炎症低減に寄与し、視機能の保護にもつながる可能性があります。 [4]
  • 炎症コントロール:吸入治療の適正化、増悪予防(ワクチン、感染対策)で全身炎症の“スピルオーバー”を抑えることが大切です。 [1] これにより眼を含む全身臓器への負担を軽減できます。 [1]
  • 定期眼科受診:視野検査や視神経・網膜のチェックは、見え方の変化の早期把握に有用です。 [2] 慢性疾患を持つ方では年1回の眼科健診を目安に、症状時は早めに受診しましょう。 [2]

まとめ

  • COPDは肺の病気にとどまらず全身性の炎症や低酸素を伴い、視野・視神経機能に影響が出る可能性があります。 [1] 研究では視野検査の指標悪化やVEPの遅延が示されており、ぼやけやかすみ目の一因となりえます。 [2]
  • 吸入ステロイドと白内障・緑内障のリスク増加は必ずしも一貫して示されておらず、大規模解析では有意な増加が認められない報告があります。 [5] ただし個別のリスクは異なるため、眼科と主治医の連携が重要です。 [5]
  • 視覚症状が続く場合は、低酸素の評価と眼科検査(視野・OCT・眼圧)を受け、他疾患の除外も含めて総合的に確認することをおすすめします。 [2] [6]

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出典

  1. 1.^abcdefghijSystemic manifestations and comorbidities of COPD.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghijkEvaluation of visual field parameters in patients with chronic obstructive pulmonary disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^Evaluation of visual field parameters in patients with chronic obstructive pulmonary disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdSystemic manifestations of COPD.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefgLong-term use of fluticasone propionate/salmeterol fixed-dose combination and incidence of cataracts and glaucoma among chronic obstructive pulmonary disease patients in the UK General Practice Research Database.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcOphthalmic manifestations of pulmonary diseases.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

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