乳がんで痛みはよくある?原因と対処法をわかりやすく解説
要点:
乳がんの痛み:どれくらい一般的?原因と管理方法
乳がんの「痛み」は、がんそのものよりも治療(手術・放射線・薬物療法)に伴う痛みとして比較的よく起こります。 とくに手術後の神経損傷や瘢痕組織(きずあとの硬さ)による痛みは、数か月から年単位で続くことがあります。 [1] 手術後は衣服が触れるだけで痛む「過敏」、焼けるような・締め付けられるような痛み、刺すような痛み、しびれや感覚低下などの症状がみられることがあります。 [2]
痛みが生じる主な原因
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手術後の神経関連の痛み(術後痛・幻肢痛・神経腫)
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放射線・化学療法に伴う痛み
- 放射線照射後の皮膚や軟部組織の炎症・硬化が動作時痛やひきつれ感につながります。 (一般的な臨床所見の説明)
- タキサン系(例:アルブミン結合パクリタキセル)などの化学療法では、末梢神経障害(CIPN)により足や手のしびれ・灼熱痛が起こり、生活の質を下げることがあります。 [PM10]
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浮腫(リンパ浮腫)や可動域低下
- 腕や胸壁のリンパ浮腫は重だるさ・張り感・動作痛の原因になります。 (一般的な臨床所見の説明)
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がんの進展・転移による痛み
- 骨転移では、体重負荷や夜間に増悪する深い痛みが典型で、骨折リスクも伴います。 (一般的な臨床所見の説明)
- ごくまれに筋肉転移(例:腸腰筋)で持続的な腰・股関節周囲痛や歩行困難が起こることがあります。 [PM9]
痛みのタイプを知ることが第一歩
- 侵害受容性痛(組織の炎症・損傷に伴う鈍い痛み)
- 神経障害性痛(しびれ、灼熱、電撃様の痛み)
- 中枢感作(刺激に過敏、広範囲の痛み)
乳がん治療後には、これらが単独または混在して現れます。タイプの見極めが治療選択に重要です。 (一般的な医学的整理)
どれくらいの人に起きる?
- 手術後の持続痛は20〜35%程度にみられると報告されています。 [PM11]
- がん経験者の中でも乳がんサバイバーは痛みの訴えが比較的高い群に含まれます。 [3] 痛みは診断からの年数によって増減し、長期フォローでのスクリーンと調整が推奨されます。 [4] [5]
総合的な痛みの管理(薬物+非薬物の併用)
痛みは「早期の評価」「タイプの見極め」「複数手段の併用」「継続的な調整」が基本です。 定期的なスクリーニング、痛みの日記、機能評価(生活・睡眠・気分)を含めて行います。 [6] [7]
薬物療法
- 一般的鎮痛薬
- アセトアミノフェン、NSAIDsは炎症性の痛みに有効です。 (一般的な薬理)
- 神経障害性痛の第一選択
- デュロキセチン(SNRI)は神経障害性痛に有効性が示されています。 [PM10]
- ガバペンチン/プレガバリンはしびれ・灼熱痛の緩和に使われます。 (一般的な薬理)
- オピオイドの適応
- 補助薬
- 局所リドカイン、カプサイシン、筋痙縮に対する抗けいれん薬、骨転移には骨修飾薬(ビスホスホネート/デノスマブ)などを状況に応じ併用します。 (一般的な臨床運用)
非薬物療法
- リハビリ・運動療法
- 可動域訓練、肩・胸壁のストレッチ、段階的な有酸素・筋力トレーニングは痛みと機能改善に役立ちます。運動は用量・種類の最適化が重要です。 [PM8]
- リンパ浮腫ケア
- 圧迫療法、スキンケア、専門的ドレナージで張り感と痛みの軽減を目指します。 (一般的な臨床運用)
- 皮膚・瘢痕のケア
- 傷跡の徒手療法、保湿、摩擦刺激の調整(柔らかい素材の衣類)で接触過敏を軽減します。 [2]
- 心理社会的支援
- 認知行動療法、痛み教育、マインドフルネスは痛みの認知と対処力を高めます。 (一般的な非薬物療法の位置づけ)
- 補完療法
- 鍼灸、バイオフィードバックなどが補助的に用いられることがあります。 [10]
- インターベンション
- 難治性の術後痛には、末梢神経ブロック、ラジオ波、癒着・神経腫への介入などの専門的治療が検討されます。 [11]
ケアチームの活用
- 緩和ケア(パリアティブケア)は診断直後から導入でき、痛みや副作用の緩和、生活の質の向上を支援します。がん治療と併走するサポートとして頼ってよい選択です。 [12]
- 乳がん治療施設には痛みの専門チームがあり、入院中から退院後まで継続的に痛みを評価・調整してくれます。 [13] [14]
手術後に想定される痛みとセルフケアのポイント
- 想定される症状
- ひきつれ、刺すような痛み、服が触れると痛むなどの過敏、しびれ。 [2]
- 日常の工夫
- 肌に優しい下着・衣類、段階的なストレッチ、温冷感覚への配慮、睡眠環境の整備、活動と休息のバランス。
- いつ受診する?
- 痛みが増悪する、夜間に強い、新たな神経症状(著明な筋力低下・広範なしびれ)、骨の局所痛や腫れ・赤みがある場合は早めに相談しましょう。骨転移や神経腫、感染などの鑑別が必要になることがあります。 (一般的な臨床判断)
長期的な見通しとフォローアップ
痛みは時間とともに変化するため、定期的な見直しで治療内容を微調整することが重要です。 早期の認識とタイプ別の対処、患者教育、フォローアップを組み合わせることで、生活の質を大きく改善できます。 [6] [7] 痛みが十分にコントロールできていない場合は、方針の再評価や専門チームへの紹介をためらわないでください。 [4] [5]
痛みの特徴と対応まとめ(早見表)
| 痛みのタイプ | 典型症状 | 主な原因 | 有効な対策例 |
|---|---|---|---|
| 神経障害性痛 | しびれ、灼熱、電撃様、接触過敏 | 手術後の神経損傷、化学療法性末梢神経障害 | デュロキセチン、ガバペンチン系、局所リドカイン、リハビリ、補助療法 [2] [1] [PM10] |
| 侵害受容性痛 | 鈍い痛み、動作時に増悪 | 放射線後の炎症、瘢痕、浮腫 | アセトアミノフェン/NSAIDs、ストレッチ、リンパ浮腫ケア、温罨法 (一般的な臨床運用) |
| 骨転移痛 | 深部痛、夜間増悪、体重負荷で増悪 | 骨への転移 | オピオイド慎重使用、骨修飾薬、放射線治療、支持療法 [8] (一般的な臨床運用) |
| 幻乳房痛/神経腫 | 存在しない乳房部の痛み、点状の強痛 | 神経回路の再編、瘢痕性神経腫 | 神経ブロック、インターベンション、痛み教育・心理的支援 [1] [11] |
まとめ
- 乳がんの痛みは「がんそのもの」よりも「治療後」によく見られます。 手術後の神経障害性痛や過敏、放射線・化学療法に伴う症状が代表的です。 [1] [2] [PM10]
- 薬物療法と非薬物療法の併用、そして緩和ケアチームとの連携が、痛みの軽減と生活の質の向上につながります。 [12] [6]
- 痛みが続く・悪化する場合は、タイプの再評価と治療の見直しを行いましょう。 [7]
追加で気になることがあれば、いつでも気軽に相談してください。
関連する質問
出典
- 1.^abcdefCoping with pain after breast surgery(mayoclinic.org)
- 2.^abcdefCoping with pain after breast surgery(mayoclinic.org)
- 3.^↑Pain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 4.^abRisk Factors, Preventive Practices, and Health Care Among Breast Cancer Survivors, United States, 2010(cdc.gov)
- 5.^abRisk Factors, Preventive Practices, and Health Care Among Breast Cancer Survivors, United States, 2010(cdc.gov)
- 6.^abcPain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 7.^abcPain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 8.^abPain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 9.^↑Pain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 10.^↑Coping with pain after breast surgery(mayoclinic.org)
- 11.^abCoping with pain after breast surgery(mayoclinic.org)
- 12.^abBreast cancer - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 13.^↑Breast Cancer Treatment(mskcc.org)
- 14.^↑Breast Cancer in Adults Over 65(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。