乳がんで吐き気はよくある?原因と対策を解説
乳がんと吐き気の関係:原因と管理方法
吐き気は「乳がんそのもの」ではなく、治療(化学療法・放射線治療・一部の標的治療)による副作用として現れることが多いです。 多くの抗がん剤は脳の吐き気中枢や消化管を刺激し、吐き気や嘔吐(CINV: 化学療法誘発性悪心・嘔吐)を引き起こします。 [1] どの薬を使うか、用量、併用治療の有無、過去の吐き気の経験、年齢などによって起こりやすさは個人差があります。 [2] 吐き気が続くと栄養不足や脱水を招くため、予防と早めのコントロールが重要です。 [3]
吐き気の主な原因
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抗がん剤の作用
抗がん剤は脳(延髄の嘔吐中枢)や消化管の受容体(5-HT3、NK1など)を刺激し、急性・遅延性の吐き気を起こします。 [1] 多剤併用の場合は、最も吐き気リスクの高い薬に合わせて予防薬を選ぶのが一般的です。 [3] -
放射線治療
腹部や頭部への照射、または同時化学療法により吐き気が増えることがあります。 [4] -
標的治療・抗体薬物複合体(ADC)
一部の治療では吐き気・嘔吐がみられ、適切な予防的制吐療法が推奨されます。 [PM11] -
心理的要因・匂い刺激
不安やストレス、食べ物のにおいなどでも悪心が増悪することがあります。 [5]
吐き気のタイプを知る
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遅延期(投与2〜5日頃)
サブスタンスP(NK1)関連が関与し、持続的な制吐薬や内服継続が効果的です。 [3] [PM20]
標準的な薬物対策(制吐療法)
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予防的に複数薬を組み合わせる
高リスクのレジメン(例:アントラサイクリン+シクロホスファミド)では、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬、デキサメタゾンの三剤併用が一般的です。 [3]
単回投与で5日間の予防効果が期待できるNEPA(パロノセトロン+ネトゥピタント/ホスネトゥピタント)の静注製剤はACレジメンでも安全性と有効性が示されています。 [PM19] -
オランザピンの追加
三剤併用にオランザピン(通常5mg〜10mg)を加えると、吐き気のコントロールが改善する可能性があります(高リスク群でのエビデンス)。 [PM18] [PM21] オランザピンは眠気などの副作用があり、用量調整が検討されます。 [PM22] -
投与タイミングと継続
治療前・治療中・治療後に適切なタイミングで薬を使い、医療者の指示どおり継続することが効果を高めます。 [6] 指示を自己判断で中断しないことが大切です。 [7]
薬以外の具体的対策
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食事の工夫
小分けにして少量ずつ食べる、冷たい食事でにおい刺激を減らす、脂っこい・香りの強い食事を避けるなどが役立ちます。 [8] 水分はこまめに摂り、脱水予防を心がけましょう。 [8] -
生活の工夫
ゆっくり起き上がる、換気を良くする、においの強い環境を避ける、ストレス緩和(深呼吸・リラクゼーション)を取り入れると楽になります。 [5] -
補完療法の例
手首のツボ押し(アクupレッシャー)や、ショウガなどを取り入れる方法は、補助的に症状軽減へつながる場合があります。 [9] [PM8] ただし、主治医に相談してから実施しましょう。 [9]
こんな時は早めに相談
- 薬を飲んでも治まらない吐き気が続く。 [9]
- 飲食がほぼできない・すぐ吐いてしまう。 [9]
- めまい・立ちくらみ、腹痛や胸やけを伴う。 [9]
- 頻回の嘔吐や下痢で脱水が疑われる。 [9]
これらは治療の調整や点滴補液、薬の追加が必要になるサインです。 [9]
よくある質問
吐き気は必ず起こりますか?
すべての人に起こるわけではありません。 使う薬や体質、過去の経験によってリスクは変わり、多くの場合は予防・コントロールが可能です。 [1] [2]
どれくらい続きますか?
急性期は投与当日〜翌日、遅延期は2〜5日目に出やすく、適切な制吐薬で軽減できます。 [PM20] [3]
管理のポイントまとめ
- 予防が最善策:治療前から適切な制吐薬を使用。 [1] [3]
- 三剤併用+必要に応じオランザピンで高リスクの吐き気を抑える。 [PM18] [PM21] [PM22]
- 単回で持続効果のあるNEPA静注の選択肢も有用。 [PM19]
- 食事・生活の工夫でにおい刺激や不快感を減らす。 [8] [5]
- 症状が強い・長引くときはすぐ相談して、脱水や栄養障害を防ぐ。 [9] [3]
参考比較:吐き気対策の構成要素
| 対策 | 目的 | 具体例 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 5-HT3拮抗薬(例:パロノセトロン) | 急性期予防 | 治療前に投与 | 心血管副作用少なめ、持続時間長い傾向 [PM19] |
| NK1拮抗薬(ネトゥピタント/ホスネトゥピタント) | 遅延期予防 | 5-HT3と併用(NEPA) | 単回で5日程度カバー [PM19] [3] |
| ステロイド(デキサメタゾン) | 相加効果 | 投与前後で調整 | 不眠・食欲増加など副作用に注意 [3] |
| オランザピン | 吐き気の追加抑制 | 5mg〜10mgで併用 | 眠気あり、低用量の研究進行 [PM18] [PM21] [PM22] |
| 食事・生活の工夫 | 刺激低減 | 少量頻回、冷たい食事、換気 | 副作用なし、自己管理で実施可 [8] [5] |
| 補完療法 | 補助的軽減 | ツボ押し、ショウガ | 併用前に主治医へ相談 [9] [PM8] |
まとめ
乳がんでの吐き気は、がん自体よりも治療の副作用として起きやすい症状です。 吐き気のタイプ(急性・遅延)と使用薬剤のリスクに合わせ、予防的な制吐薬の組み合わせと食事・生活の工夫で多くはコントロールできます。 [1] [3] つらさが強い、飲食が難しい、めまい・腹痛を伴う場合は、早めに医療者へ相談して治療や薬の調整を受けましょう。 [9]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefHow to prevent nausea during cancer treatment(mayoclinic.org)
- 2.^abHow to prevent nausea during cancer treatment(mayoclinic.org)
- 3.^abcdefghijk7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 4.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 5.^abcdHow To Manage Nausea During Chemotherapy(mskcc.org)
- 6.^↑How To Manage Nausea During Chemotherapy(mskcc.org)
- 7.^↑Лечение прогрессирующего рака молочной железы(mskcc.org)
- 8.^abcdTreatment for Advanced Breast Cancer(mskcc.org)
- 9.^abcdefghijTreatment for Advanced Breast Cancer(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。