乳がんとホットフラッシュ:原因と対処法
乳がんとホットフラッシュの関係
ホットフラッシュ(ほてり・発汗)は、乳がんそのものの一般的な症状というより、治療による副作用としてよく見られます。 特にホルモン療法(内分泌療法)や、卵巣機能に影響する治療の後では頻度が高く、自然な更年期症状よりも強く出ることがあります。 [1] [PM10]
なぜ起こるのか(原因)
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女性ホルモン(エストロゲン)の低下
乳がん治療の一部は、がんの増殖を抑えるためにエストロゲンの作用を弱めたり産生を減らします。これにより体温調節の中枢(視床下部)が過敏になり、急な発汗・のぼせを引き起こします。 [2] [PM11] -
ホルモン療法の副作用
タモキシフェンやアロマターゼ阻害薬、卵巣抑制・卵巣摘出などの治療は、ホットフラッシュの典型的な誘因です。 [3] [4] -
その他の要因
まれに薬剤の影響や甲状腺の問題、他のがんやその治療でもホットフラッシュ様の症状がみられることがあります。 [5]
まとめると、乳がんでは「治療に伴うホルモン変化」が主な原因と考えられます。 [1] [PM10]
どれくらい起こりやすいか(傾向)
乳がん治療を受けた女性では、自然閉経よりもホットフラッシュの頻度や強さが増す傾向があります。 [PM10]
タモキシフェン服用群でホットフラッシュの報告が増える試験結果もあります(プラセボや無治療群より高率)。 [6] [7]
安全な対処法(ホルモンを使わない方法が基本)
乳がんの既往やホルモン受容体陽性の場合、エストロゲン補充(いわゆる更年期ホルモン療法)は通常は推奨されません。 そのため、以下の非ホルモン的な方法が中心になります。 [PM7] [PM11]
生活の工夫(まず試したい対策) 😊
- 重ね着・通気性の良い衣類で体温調節をしやすくする。 [8]
- 寝室を涼しく保ち、扇風機や冷却グッズを活用する。 [8]
- 辛い食べ物・熱い飲み物・アルコールを控えると、症状が和らぐことがあります。 [8]
- ストレス管理(深呼吸・瞑想・軽い運動)は発作の頻度を減らす助けになります。 [8]
- 発作日誌(時刻・誘因・強さ)を付けると、医療者と対策を組み立てやすくなります。 [9] [8]
薬による対策(非ホルモン薬)
- SNRI/SSRI(例:ベンラファキシン)
乳がん治療関連のホットフラッシュを有意に軽減するエビデンスがあります。副作用(吐き気、眠気、血圧変動など)や他薬との相互作用に注意し、処方のもとで使用します。 [PM26] [PM27] - ガバペンチンなどの抗けいれん薬も、就寝時の発汗に効果が期待できますが、眠気などの副作用に留意します。 [PM24]
- クロニジン(降圧薬)は一部で用いられますが、効果は中等度で口渇・低血圧などに注意が必要です。 [PM24]
- 新規選択肢(NK3受容体拮抗薬など)
視床下部の体温調節経路を標的とする新薬が期待されていますが、乳がん治療中の方への適用は今後の検証が必要です。 [PM7] [PM11]
注意したいサプリ・ハーブ
- エストロゲン様作用の可能性があるハーブ(レッドクローバー、ブラックコホシュ、イブニングプリムローズなど)は避けるのが一般的です。 乳がんに影響する恐れがあるため、自己判断での使用は控え、必ず主治医に相談しましょう。 [10] [11] [9]
受診の目安と相談ポイント
- 症状が睡眠や日常生活に影響する、治療の継続がつらい、突然の発汗・動悸に不安が強いときは、早めに医療者へ相談を。薬剤調整や追加治療で軽減できる可能性があります。 [PM10]
- 甲状腺の異常や他の疾患が隠れていないかを確認することもあります。 [5]
- 現在の治療(タモキシフェン、アロマターゼ阻害薬、卵巣抑制など)・服用中の薬・サプリを医療者に伝えてください。相互作用の確認が重要です。 [3] [8]
管理法の比較表
| 対策 | 期待できる効果 | 注意点・副作用 | 乳がん治療中の適合性 |
|---|---|---|---|
| 生活改善(重ね着、冷却、誘因回避、ストレス管理、発作日誌) | 軽〜中等度の症状軽減 | 習慣化が必要 | 高い適合性 [8] [9] |
| SNRI/SSRI(ベンラファキシン等) | 中等度以上の軽減 | 吐き気、眠気、相互作用 | 医師管理下で適合可 [PM26] [PM27] |
| ガバペンチン | 夜間発汗に有効 | 眠気、ふらつき | 医師管理下で適合可 [PM24] |
| クロニジン | 中等度の軽減 | 低血圧、口渇 | 症例選択で適合可 [PM24] |
| ホルモン補充療法(エストロゲン) | 高い効果 | 乳がんでは原則避ける | 通常は不適合 [PM7] [PM11] |
| ハーブ(レッドクローバー、ブラックコホシュ等) | 効果不確実 | エストロゲン様作用の懸念 | 避けるのが無難 [10] [11] [9] |
| 新規薬(NK3拮抗薬 等) | 有望な初期データ | 乳がん患者での確証不十分 | 今後検討 [PM7] [PM11] |
よくある質問への短答
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ホットフラッシュは乳がんの「初期症状」か?
多くの場合、初期症状ではなく、治療後や治療中のホルモン変化による副作用です。 [1] [PM10] -
自然閉経のほてりと違いはある?
仕組みは似ていますが、治療関連では頻度・強度が増すことがあり、長期に続く場合があります。 [PM10] -
我慢するしかない?
生活の工夫と非ホルモン薬で管理できることが多く、治療の継続支援につながります。主治医に積極的に相談してください。 [PM8] [PM11]
まとめ
乳がんでは、ホットフラッシュは「がんそのもの」よりも「治療によるホルモン変化」の結果として一般的に起こり得ます。 エストロゲン補充は通常避け、生活改善と非ホルモン薬(ベンラファキシン、ガバペンチンなど)を組み合わせる管理が現実的です。安全性の観点から、ハーブ・サプリは自己判断で使わず、必ず医療者に相談してください。 [1] [PM10] [PM26] [PM27] [PM24] [10] [11] [9]
関連する質問
出典
- 1.^abcdCancer treatment: dealing with hot flashes and night sweats: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 2.^↑Hot flashes-Hot flashes - Symptoms & causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 3.^abInvasive lobular carcinoma - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 4.^↑Cancer treatment: dealing with hot flashes and night sweats: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 5.^abHot flashes-Hot flashes - Symptoms & causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 6.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
- 7.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
- 8.^abcdefgManaging Your Hot Flashes Without Hormones(mskcc.org)
- 9.^abcdeTreatment for Advanced Breast Cancer(mskcc.org)
- 10.^abcAdjuvant Therapy for Breast Cancer: What It Is, How To Manage Side Effects, and Answers to Common Questions(mskcc.org)
- 11.^abcNeoadjuvant Therapy for Breast Cancer: What It Is, How To Manage Side Effects, and Answers to Common Questions(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。