
WHOの資料に基づく | 副腎がんの症状として皮膚の発疹は見られますか?見られる場合、どのような特徴や頻度がありますか?
要点:
副腎がん自体で典型的な発疹が高頻度に出る証拠は乏しく、むしろコルチゾール過剰による紫色の太い線状痕、皮膚脆弱、容易な打撲などの皮膚変化が比較的よく見られます。副腎皮質がんの約半数以上でホルモン過剰が症状の手がかりとなり、治療に伴う薬剤性皮疹や放射線リコールもまれに起こり得ます。
要点まとめ
副腎がん(副腎皮質がん)そのものが原因で「典型的な皮膚の発疹」が高頻度に出るとは言い切れませんが、ホルモン過剰に伴う皮膚変化(例:紫がかった太い皮膚の線状痕、皮膚のもろさや容易な打撲)は比較的よくみられます。 [1] まれに治療(化学療法や放射線後)に関連した薬剤性の発疹・紅斑・水疱などの皮膚反応が生じることがあります。 [2]
副腎がんで起こりうる皮膚の変化
- 紫色〜ピンク色の伸展性線条(ストレッチマーク):体幹に目立ち、太くて色が濃いのが特徴です。これは腫瘍が過剰なコルチゾールを産生して「クッシング症候群」を引き起こすために出ることがあります。 [1]
- 皮膚の脆弱性・容易な皮下出血(打撲痕):軽い外傷でも青あざができやすく、皮膚が薄く破れやすくなります。これも高コルチゾールの影響です。 [1]
- 体脂肪分布の変化に伴う皮膚所見:腹部肥満、顔の丸み(ムーンフェイス)、項部脂肪(野牛肩)が背景にあり、皮膚の伸展や摩擦が増えます。 [3] [4]
これらは「発疹(紅斑性の斑点や丘疹)」というより、ホルモン性の皮膚変化に分類されることが多いです。 [1]
頻度の目安
- 副腎皮質がんの約半数以上で、ステロイドホルモン(コルチゾールなど)の過剰による症状が最初の手がかりになります。 [5]
- その中でもクッシング症候群の皮膚所見(紫色の線状痕、皮膚脆弱、容易な打撲)は「よくある」所見ですが、個人差が大きく、必ずしも全員に出るわけではありません。 [6]
- 一方で、典型的な「発疹」(赤い斑点やかゆみを伴う皮疹)が腫瘍そのものの直接的影響として高頻度で出るという裏付けは乏しいです。 [7]
まれな皮膚症状(治療関連・他機序)
- 化学療法関連の皮疹:エトポシド、ドキソルビシン、シスプラチン、ミトタンなどの治療中に、乾燥・紅斑・かゆみ・剥皮・水疱などの皮膚反応が現れることがあります。 [2]
- 放射線リコール:化学療法開始後、過去に放射線を当てた部位に遅れて皮膚炎(乾燥、紅斑、腫れ、水疱、潰瘍)が再燃することがあります。 [2]
- 性ホルモン過剰に関連する体毛変化:腫瘍が男性ホルモン・女性ホルモンを過剰産生すると、女性で多毛や月経不順、男性で乳房の腫大や睾丸の萎縮などが起こり、体毛や皮膚の見え方に影響することがあります。 [8]
- 副腎腫瘍に伴うクッシング症候群の全身症状として、皮膚のもろさ、容易な打撲、紫色の線状痕はよく説明される主要所見です。 [9]
皮疹と副腎がんの関係を考える際のポイント
- ホルモン過剰のサインかどうか:紫色の太い線状痕、皮膚の薄さ、打撲痕の増加はコルチゾール過剰の典型サインです。これらが目立つ場合、ホルモン検査(尿中遊離コルチゾール、深夜唾液コルチゾール、1mgデキサメタゾン抑制試験など)が検討されます。 [6]
- 薬剤性の可能性:治療中の新規発疹や悪化は、抗がん剤・支持療法薬に伴う皮膚有害事象を疑います。保湿・日焼け対策・外用ステロイドや抗ヒスタミンなどの対症療法、必要に応じて薬剤調整が検討されます。 [2]
- パラネオプラスティック症候群(随伴性皮膚疾患):内臓悪性腫瘍に伴う特殊な皮膚病変(アカントーシス・ニグリカンス、バゼックス症候群、レゼール・トレラ徴候など)が知られていますが、副腎がんで特異的に高頻度という確立したデータは限られています。 [7] [10]
受診の目安・セルフチェック
- 次のような皮膚変化が徐々に強くなる/急に目立つ場合は、内分泌・腫瘍の評価を相談すると安心です。
まとめ
- 副腎がんに伴う「皮疹」は一般的ではありませんが、コルチゾール過剰による皮膚変化(線状痕、皮膚脆弱、容易な打撲)は比較的よくみられる可能性があります。 [1]
- 治療に伴う薬剤性皮疹や過去の放射線部位の皮膚反応(放射線リコール)も起こり得ます。 [2]
- 発疹が続く場合は、ホルモン評価や薬剤性の確認を含め、医療機関での相談が安心です。 [6] [2]
このような皮膚変化に心当たりはありますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefgSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 2.^abcdefPatient information - Adrenocortical carcinoma locally advanced or metastatic - Etoposide, doxorubicin, cisplatin and mitotane(eviq.org.au)
- 3.^abAdrenal Cortex Tumors & Cushing’s Syndrome(mskcc.org)
- 4.^abAdrenal Cortex Tumors & Cushing’s Syndrome(mskcc.org)
- 5.^↑[Adrenocortical carcinoma].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcCushing's syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abCutaneous manifestations of internal malignancy.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^↑Adrenal cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 9.^↑Incidentally discovered adrenal masses and subclinical Cushing syndrome(mayoclinic.org)
- 10.^↑Cutaneous paraneoplastic syndromes in solid tumors.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


