
WHOの資料に基づく | 副腎がんで手足のしびれが生じることはありますか、その原因や受診の目安は何ですか?
副腎がん自体が直接しびれを起こすことは多くありませんが、化学療法(特にシスプラチン)による末梢神経障害、腫瘍の圧迫・浸潤、傍腫瘍性神経障害で生じ得ます。EDP+ミトタン治療中は症状のモニタリングが重要で、しびれが持続・増悪する、日常生活に支障が出る、急速進行や痛み・筋力低下・自律神経症状を伴う場合は早めに受診・主治医へ相談を。診断は神経学的評価、電気生理、画像、自己抗体検査などで原因を見極め、用量調整や支持療法、原病治療・免疫療法などで対処します。
副腎がんと手足のしびれの関係
副腎がんそのものが直接、手足のしびれ(末梢神経障害)を起こすことは一般的には多くありませんが、いくつかのルートでしびれが生じる可能性があります。代表的には「治療による副作用」「腫瘍の進展による神経圧迫・浸潤」「傍腫瘍(パラネオプラスチック)による神経障害」が考えられます。 [1] 副腎がんは進行すると全身症状(食欲低下・体重減少・貧血など)や、腫瘍の大きさ・転移に伴う症状を呈することがあります。 [1]
しびれが生じる主な原因
1) 化学療法の副作用(末梢神経障害)
副腎皮質がん(副腎がんの一種)に用いられるEDPレジメン(エトポシド・ドキソルビシン・シスプラチン+ミトタン)では、特にシスプラチンなどで手足の「ピリピリ感」「しびれ」「痛み」「感覚低下」などの末梢神経障害が起こり得ます。 [2] こうした治療では、各コース前に神経症状の評価が推奨され、グレード2以上のしびれが出た場合は「減量・延期・休薬」などの調整が検討されます。 [2] 患者向け情報でも、手足の感覚の変化(しびれ、ピンと針のような感覚、痛み)が起こり得るため、症状を感じたら医療者へ必ず知らせることが勧められています。 [3]
化学療法による末梢神経障害はがん治療全般でみられる代表的な副作用の一つで、用量・累積投与・薬剤の種類により持続することもあり得ます。 [4] 生活上の工夫(運動、禁煙、過度の飲酒を避ける、寒冷対策、やけど対策、しっかりした靴の着用、場合により鍼治療など)で症状緩和を目指す方法も紹介されています。 [5]
2) 腫瘍の進展・転移による神経系への影響
副腎がんが周囲組織へ浸潤したり、リンパ節・他臓器へ転移すると、その部位に応じた特異的な症状(痛み、圧迫感、機能障害など)が出現します。 [1] 神経や神経叢に対する圧迫や浸潤がある場合、部位に応じたしびれや筋力低下が起こり得ます。 [1] がん患者では、腫瘍による直接の圧迫・浸潤に伴う神経根障害や神経叢障害が起こることがあり、痛みを伴う特徴的な症候を示します。 [6] [7]
3) 傍腫瘍(パラネオプラスチック)による神経障害
がんに伴う免疫介在性の「傍腫瘍症候群」として神経障害が生じることがあります。 [8] 典型的には亜急性の感覚性ニューロノパチー(背根神経節の障害)を含む末梢神経障害が知られており、痛みや広範な感覚異常、バランス障害を呈することがあります。 [9] 抗Hu・抗CV2/CRMP-5などの自己抗体が関与することがあり、がんの診断前から神経症状が先行する場合もあります。 [9] 診断のために全身FDG-PET/CTなどが有用となることがあり、早期認識・治療が予後改善に役立つ場合があります。 [10]
ホルモン過剰としびれの関係
副腎がんはコルチゾールなどのホルモンを過剰産生することがあり、体重増加、筋力低下、高血圧、高血糖などの症状を示します(クッシング症候群)。 [11] 高血糖や糖尿病は長期的に糖尿病性末梢神経障害のリスクとなり得ますが、急性期の「しびれ」の主因としては化学療法性ニューロパチーの方が頻度・即時性が高い傾向があります。 [11] ただし、ミトタンやステロイド補充などの治療に伴い血糖コントロールが変化するため、糖代謝の管理も重要です。 [3]
受診の目安(いつ相談すべきか)
- 新たに出現した手足のしびれ・ピリピリ感・痛み・感覚低下が数日以上続く場合は、がん治療中でなくても相談をおすすめします。 [4]
- がん治療(特にEDP+ミトタン)中にしびれが強まる、日常動作に支障が出る、転びやすい、ボタンが留めにくいなど機能障害が出たら、早めに主治医へ連絡することが一般的です。 [2] [3]
- 症状が「左右差が強い」「急速に進む」「痛みが強い」「筋力低下や歩行障害を伴う」「排尿・排便の自律神経症状を伴う」場合は、腫瘍の進展や傍腫瘍性障害も念頭に精査が必要です。 [6] [9]
- しびれに耳鳴り・難聴などが重なる場合は、シスプラチン関連の耳毒性も併発の可能性があるため報告が推奨されます。 [2]
診断・評価の進め方
- 問診・身体診察:症状の部位、時間経過、左右差、痛みの有無、筋力低下やバランス障害の有無を確認します。 [7]
- 神経学的検査:振動覚・触覚・痛覚、腱反射などの評価を行います。 [7]
- 電気生理検査(神経伝導検査・筋電図):軸索性か脱髄性か、感覚優位か運動優位かを見分け、治療関連か傍腫瘍性かの推測に役立ちます。 [12] [7]
- 画像検査:腫瘍の進展・転移による神経圧迫の可能性があれば、該当領域の画像(CT/MRIなど)を検討します。 [6]
- 自己抗体検査・FDG-PET/CT:傍腫瘍性ニューロパチーが疑われる場合に有用です。 [9] [10]
治療・ケアの考え方
- 化学療法性しびれへの対処:用量調整(減量・延期・休薬)が行われることがあります。 [2] 症状緩和には、適切な鎮痛薬や補助療法(運動、寒冷対策、転倒予防、鍼治療など)が試されることがあります。 [5]
- 傍腫瘍性障害:原疾患の制御に加え、免疫療法(ステロイド、免疫抑制、血漿交換など)が検討される場合があります。 [9]
- 腫瘍の進展による圧迫:原発巣・転移巣の治療(手術、放射線、全身治療)や疼痛管理を組み合わせます。 [6] [7]
- 総合的リハビリ:バランス・筋力・日常生活動作の維持にリハビリや補助具の活用が有用です。 [13]
まとめ
- 副腎がんで手足のしびれが起こる可能性は、主に化学療法の副作用、腫瘍の進展による神経への影響、傍腫瘍性の神経障害の3経路が考えられます。 [2] [6] [9]
- EDP+ミトタン治療では末梢神経障害のモニタリングと用量調整が推奨され、症状を感じたら早めに主治医へ連絡することが大切です。 [2] [3]
- 急速進行・強い痛み・筋力低下・自律神経症状を伴うしびれは、精査が必要なサインです。 [6] [9]
気になるしびれの出方(いつから、どこに、どんな感じか、治療とのタイミング)を教えてもらえますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcd국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 2.^abcdefg3937-Adrenocortical carcinoma metastatic EDP (etoposide DOXOrubicin ciSplatin) and mitotane(eviq.org.au)
- 3.^abcdPatient information - Adrenocortical carcinoma locally advanced or metastatic - Etoposide, doxorubicin, cisplatin and mitotane(eviq.org.au)
- 4.^ab국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 5.^ab화학 요법 부작용 관리(mskcc.org)
- 6.^abcdefNeuromuscular complications of systemic cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcdeNeuromuscular symptoms in cancer patients.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^↑Paraneoplastic syndromes.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdefgParaneoplastic neuropathy.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abParaneoplastic neuropathy: wide-ranging clinicopathological manifestations.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 12.^↑Peripheral neuropathy in cancer patients: incidence, features, and pathophysiology.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 13.^↑Support for Adrenal Tumors(nyulangone.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


