
PubMedの資料に基づく | 副腎がんでは発熱がどの程度みられ、どのような機序や特徴を持つ症状ですか?
副腎がんでは発熱は約6〜10%にみられ、感染徴候に乏しい持続性の不明熱として現れることがあります。主な機序は腫瘍産生サイトカイン(IL-6)や腫瘍壊死・浸潤、傍腫瘍症候群で、CRP高値などを伴い、腫瘍切除や腫瘍制御で解熱しやすいのが特徴です。
副腎がんにおける発熱の頻度・機序・臨床的特徴
副腎がん(副腎皮質がん・副腎腫瘍)では、発熱は少数ながら認められる症状で、シリーズ報告では副腎腫瘍の約6〜10%でみられ、時に病気の最初の現れとなることがあります。 [1] 発熱は非機能性の副腎皮質がんでも起こりうち、長く続く不明熱として現れることがあります。 [2] 頻度としては一般的な症状ではないものの、持続する原因不明の発熱では副腎腫瘍も鑑別に含める価値があります。 [1] [2]
発熱の機序(なぜ起こるのか)
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腫瘍性サイトカイン(特にIL-6)
一部の副腎腫瘍はインターロイキン6(IL-6)を産生し、全身の炎症反応と発熱を引き起こします。腫瘍切除後に解熱し、IL-6の高値が正常化した症例が報告されています。 [3] IL-6は視床下部 下垂体 副腎(HPA)軸を刺激し、発熱やストレス反応を促進します。 [4] -
腫瘍からの炎症性反応・壊死
大型の副腎皮質がんでは腫瘍壊死や周囲組織への浸潤により炎症が生じ、サイトカイン放出を介して発熱が出現します。こうした背景は初発時の症状が「腹痛・体重減少・倦怠感・発熱」など非特異的であることから推測されます。 [2] [5] -
傍腫瘍(パラネオプラスティック)症候群
副腎がんではホルモン過剰だけでなく、免疫介在の傍腫瘍症候群が併発し、炎症や発熱の形で現れることがあります。 [6] 機能性でない腫瘍でも免疫・炎症経路を通じて発熱が生じうる点が特徴です。 [6]
臨床的特徴(どんな発熱か)
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持続・再燃する不明熱
数週間〜数ヶ月続く「不明熱(FUO)」として前景に出ることがあり、感染所見が乏しいのが特徴です。 [1] 腫瘍切除で速やかに解熱することがあり、腫瘍関連発熱の可能性を示します。 [1] -
炎症マーカーの上昇を伴うことがある
IL-6関連の症例ではCRP上昇、白血球増多などがみられ、画像で副腎腫瘍が確認されることがあります。 [3] 感染治療に反応しにくく、腫瘍治療で改善するパターンが手掛かりになります。 [3] -
他の症状との併存
非機能性腫瘍では腹痛・体重減少・倦怠感に並んで発熱がみられることがあり、初診時に約30%の患者でこれらの全身症状が報告されています。 [5] 機能性腫瘍(クッシング症状、アンドロゲン/エストロゲン過剰、アルドステロン過剰)ではホルモン症状が前景で、発熱は相対的に目立たないことが多いです。 [2] [5]
鑑別・評価のポイント
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感染症の除外が最優先
副腎がんの発熱は稀とはいえ、まず感染源の有無を慎重に評価します。 [2] 感染が否定的で不明熱が続く場合、腹部画像(CT/MRI)で副腎腫瘍の有無を確認する選択肢があります。 [2] -
炎症性サイトカインの示唆
高CRP・高フェリチン・白血球増多などが持続し、細菌学的検査が陰性の場合、腫瘍性発熱を考慮します。 [3] 腫瘍切除や腫瘍縮小に伴う解熱は、腫瘍関連発熱の診断的手掛かりになります。 [1]
治療に伴う発熱の変化
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手術後の解熱
腫瘍の完全切除後に発熱が速やかに消失した報告があります。これは腫瘍自体が発熱の原因であったことを示します。 [1] IL-6産生腫瘍でも切除により炎症所見が正常化します。 [3] -
全身治療の影響
副腎皮質がんでは手術が第一選択で、必要に応じてミトタンや化学療法が併用されますが、腫瘍負荷の軽減は発熱の改善に寄与し得ます。 [2] 腫瘍制御が進むほど、腫瘍関連の発熱は落ち着きやすくなります。 [2]
まとめ
- 頻度:副腎腫瘍における発熱は約6〜10%で報告され、しばしば不明熱として最初に気づかれることがあります。 [1]
- 機序:腫瘍産生サイトカイン(IL-6など)による炎症反応や腫瘍壊死・浸潤、傍腫瘍症候群が関与します。 [3] [4] [2]
- 特徴:感染が乏しいのに持続する発熱、CRP上昇などの炎症所見、腫瘍切除で解熱する傾向が手掛かりです。 [1] [3]
- 臨床対応:まず感染の除外を行い、長引く不明熱では腹部画像で副腎病変を評価し、腫瘍性発熱の可能性を念頭に置きます。 [2]
参考データ比較
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発熱の報告頻度 | 副腎腫瘍で約6〜10%(初発症状になりうる) [1] |
| 発熱の主機序 | IL-6などのサイトカイン産生、腫瘍壊死・浸潤、傍腫瘍症候群 [3] [4] [2] [6] |
| 典型的臨床像 | 感染徴候乏しい持続性不明熱、炎症マーカー上昇、腫瘍切除で解熱 [1] [3] |
| 併存症状 | 腹痛・体重減少・倦怠感(非機能性腫瘍で30%の全身症状) [5] |
| 診断の鍵 | 画像検査(CT/MRI)で副腎腫瘍確認、感染除外、腫瘍治療後の解熱 [2] [1] |
実臨床への示唆
- 長引く不明熱では副腎腫瘍も鑑別に:一般的ではないものの、持続する不明熱の一部で副腎腫瘍が原因となるため、画像評価を検討します。 [1] [2]
- サイトカイン関連の可能性:炎症マーカー高値で感染が否定的な場合、IL-6など腫瘍性発熱を疑います。 [3] [4]
- 腫瘍制御が解熱の近道:切除や全身治療で腫瘍量が減ると発熱が改善しやすいです。 [1] [2]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijklmProlonged fever as a presenting symptom in adrenal tumors.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefghijklmnAdrenocortical carcinoma. A retrospective study of a rare tumor with a poor prognosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefghijPersistent fever and weight loss due to an interleukin-6-producing adrenocortical oncocytoma in a girl--review of the literature.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdInterleukin-6 stimulates the hypothalamus-pituitary-adrenocortical axis in man.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdAdrenocortical carcinoma: epidemiology and natural history.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abc[Adrenal gland carcinoma. Clinical, pathologic, and therapeutic study].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


