
米国NIHの資料に基づく | トラマドールの副作用として吐き気はどのくらいの頻度で発生し、予防や緩和する方法はありますか?
要点:
トラマドールの吐き気・嘔吐は「よくある副作用」で、報告頻度は概ね数%〜2割前後で、開始初期や増量時に出やすく時間とともに軽減することがあります。対策は低用量からの漸増、徐放製剤への切替、食後服用・水分補給、便秘対策が有用で、必要に応じてオンダンセトロンやメトクロプラミドなどの制吐薬を併用します。症状が持続・重度の場合は医療者に相談してください。
トラマドールによる吐き気の頻度と対策
トラマドール(トラマドール塩酸塩)は、痛み止めの中でも吐き気(オシン)・嘔吐が比較的よくみられる副作用に含まれます。臨床試験や製品情報では、吐き気・嘔吐を含む消化器症状が全体の1〜3割程度で報告されており、特に開始初期や用量が増えた時に出やすい傾向があります。 [1] 多くの研究で、吐き気・めまい・便秘・嘔吐・眠気・頭痛が「よくある副作用」として挙げられています。 [1]
数値で見る発生頻度
- 消化器系の副作用(吐き気/嘔吐)は、複数の臨床試験の集計で「一般的に報告される副作用」に含まれ、吐き気・嘔吐は最頻の副作用群です。 [1]
- 一部の米国製品情報の安全性表では、吐き気・嘔吐の発現が二桁台(例:約19〜23%)で記載されている例があり、患者背景や製剤(速放性/徐放性)で差が出ることがあります。 [2]
- 別の医薬品情報では、吐き気単独の報告割合が数%台で示される表もあり、評価対象・時期・投与状況によってばらつきが生じます。 [3]
- まとめると、吐き気・嘔吐は「よくある」副作用で、概ね数%〜2割前後の範囲で報告されています。 [1] [2] [3]
予防・緩和の基本戦略
吐き気は多くの場合、投与初期や増量時に強く出て、その後は慣れとともに軽減していくことがあります。 [1] 以下の方法は、一般的に予防・緩和に役立つと考えられます。
1. 用量調整と漸増
2. 製剤の選択(速放性 vs 徐放性)
- 徐放製剤(長時間作用型)は血中濃度の変動が緩やかで、消化器系副作用が少なめになる可能性が示唆されています。 [1]
- 個人差があるため、速放性から徐放性へ切り替えることで症状が軽くなるケースもあります。 [1]
3. 食事とのタイミング
4. 体位と日常の工夫
- 起立時のめまい(起立性低血圧)やふらつきに伴う気分不快が吐き気を誘発することがあり、ゆっくり立ち上がる、横になって休むなどの工夫が有用です。 [4]
- 安静にしていると軽減することがあるため、つらい時間帯は無理をしないのも一つです。 [4]
5. 便秘対策
吐き気に対する薬物療法(制吐薬)
吐き気が続く・日常生活に支障が出る場合、制吐薬(吐き気止め)の併用が検討されます。
- オンダンセトロン(5-HT3受容体拮抗薬)は、術後の吐き気・嘔吐の予防で有効性が示されており、嘔吐の初期時間帯の減少に役立つことがあります。 [5]
- 一方で、オンダンセトロンとトラマドールの併用により、トラマドールの自己投与量(患者管理鎮痛)が増えたとする小規模試験の記載が製品情報にあり、痛みのコントロールに影響する可能性が示唆されています。 [6] [7] [8]
- ただし、別のランダム化試験ではオンダンセトロン併用でトラマドール消費量の増加は認められず、吐き気予防効果はプラセボより優れていたと報告されています。 [5]
- つまり、オンダンセトロン併用の影響は一貫しない報告もあり、吐き気が強い場合には効果と痛みのコントロールのバランスを見ながら使うのが現実的です。 [5] [6]
他の選択肢として、メトクロプラミドなどの制吐薬が用いられることもあります。 [5] 制吐薬を使う際は、併用薬の相互作用や副作用のバランスを医療者と相談しながら調整するのが安心です。 [5] [6]
いつ受診・相談すべきか
- 吐き気や嘔吐が数日以上続く、食事や水分が十分に取れない、めまいやふらつきが強い場合は、早めに医療者へ相談してください。 [1]
- 用量調整、製剤切替、制吐薬併用など、対応の選択肢があります。 [1] [5]
- 発熱、下痢、発疹、筋硬直、動悸、混乱などの症状が同時に出る場合は、重い副作用(例えばセロトニン関連の症状)も鑑別が必要です。 [9]
よくある質問と回答
吐き気はいつまで続きますか?
食後に飲めば軽くなりますか?
- 食後服用は一般的に有用で、合わせて水分を少量ずつ取りましょう。 [1]
制吐薬はどれが良いですか?
- オンダンセトロンは術後の吐き気予防で有効性が示されており、トラマドール併用時の痛みのコントロールへの影響は報告に揺れがあるため、状況に応じて選択します。 [5] [6]
- メトクロプラミドなど他の制吐薬も選択肢です。 [5]
まとめ
- トラマドールの吐き気・嘔吐は「よくある副作用」で、概ね数%〜2割前後の範囲で報告されています。 [1] [2] [3]
- 低用量からの漸増、製剤の選択、食後服用、体位の工夫、便秘対策が予防・緩和に役立ちます。 [1] [4]
- 制吐薬(オンダンセトロン等)は有効だが、トラマドールの鎮痛に与える影響については報告が分かれているため、個別に調整するのが安心です。 [5] [6] [8]
参考データ比較(頻度の目安)
| 項目 | 報告の概要 |
|---|---|
| 吐き気・嘔吐(総論) | 最頻の副作用群。開始初期に多く、維持期で減る傾向。 [1] |
| 吐き気・嘔吐(例示的な割合) | 消化器系有害事象として二桁台(約19〜23%)の記載がある製品情報の例あり。 [2] |
| 吐き気(別表) | 数%台で示されるデータ表の例あり(試験条件によりばらつき)。 [3] |
| 制吐薬(オンダンセトロン) | 術後吐き気予防で有効、トラマドール消費量増加の報告もあれば、増加なしの試験結果もあり。 [5] [6] [8] |
ご自身では、今どのくらいの頻度で吐き気が起きていて、服用タイミングや用量はどのようになっていますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijklmnopqrstuAdverse event profile of tramadol in recent clinical studies of chronic osteoarthritis pain.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcd(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^abcd(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdefghijAntagonistic effects of ondansetron and tramadol? A randomized placebo and active drug controlled study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdefOndansetron HCL Tablets(dailymed.nlm.nih.gov)
- 7.^↑ONDANSETRON HYDROCHLORIDE tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 8.^abcONDANSETRON INJECTION, USP 4mg/2mL (2mg/mL) VIAL(dailymed.nlm.nih.gov)
- 9.^↑Tramadol: MedlinePlus Drug Information(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


