
米国NIHの資料に基づく | トラマドールの副作用として筋肉痛が起こることはありますか?起こる場合の頻度や重症度、発現時期、受診の目安を教えてください。
トラマドールで筋肉痛(筋痛・こむら返り・筋痙縮)が起こることはまれですが報告されています。多くは軽度~中等度で治療初期や増量時に出やすく、発熱や重度の筋硬直・震え、混乱などがあればセロトニン症候群や低ナトリウム血症の可能性があり受診が必要です。症状が持続・悪化する、痙攣や意識障害を伴う場合は速やかに医療機関へ。
概要
トラマドールで筋肉痛(筋痛・こむら返り・筋痙縮)が起こることは、まれですが報告されています。 一般的な副作用は眠気・吐き気・めまい・頭痛などで、筋肉痛は頻度としては高くありません。 [1] 多くの副作用は開始初期に出やすく、用量に依存して強まる傾向があります。 [1] ただし、低ナトリウム血症やセロトニン症候群などの特殊な合併症では筋肉痛・筋硬直・痙攣が目立つことがあり、注意が必要です。 [2] [3]
トラマドールで起こりうる筋関連の症状
- 筋痛・筋痙縮・こむら返り:添付文書系統の安全性情報で「筋痛(myalgia)」や「筋痙縮・筋硬直」に相当する症状が列挙されています。 [4] [3]
- ふらつき・脱力感:中枢性鎮痛薬としての作用に伴う全身脱力・筋力低下感が出ることがあります。 [3]
- セロトニン症候群の筋症状:発熱、発汗、頻脈に加え、重度の筋硬直・筋けいれん(ミオクローヌス)・協調運動障害が特徴で、緊急対応が必要です。 [3] トラマドールはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み抑制作用を有し、この機序が過剰になるとセロトニン症候群が起こり得ます。 [5] [6]
- 低ナトリウム血症に伴う筋症状:筋痛・こむら返りや倦怠感、頭痛、意識混濁などを伴うことがあり、早期受診が必要です。 [2]
頻度と重症度の目安
- 頻度(推定):大規模試験で多い副作用は吐き気、めまい、便秘、嘔吐、眠気、頭痛で、筋肉痛は「よくある」とはされていません。 [1] そのため、筋肉痛は稀~頻度不明の副作用と考えられます。 [4]
- 重症度:多くは軽度~中等度で、投与開始直後や増量時に一過性にみられることが多いです。 [1] ただし、セロトニン症候群や低ナトリウム血症が背景にある場合は重症になり得ます。 [3] [2]
発現時期の傾向
- 初期に出やすい副作用:多くの副作用は治療初期(開始後数日~1~2週間)に出やすく、維持期には減る傾向があります。 [1]
- 増量時・併用開始時:用量依存性があり、増量時に副作用が強くなることがあります。 [1] セロトニン作用薬(SSRI/SNRIなど)との併用開始・用量変更で筋硬直・痙攣などが急に出ることがあります。 [6]
受診の目安(重症サイン)
次のような場合は速やかに医療機関に相談してください。緊急性が高いものには救急受診を検討します。
- セロトニン症候群が疑われるサイン:発熱、発汗、動悸、震え、重度の筋硬直やピクつき、協調運動障害、下痢、意識混濁が突然出現。これは生命に関わる可能性があり、救急対応が必要です。 [3]
- 低ナトリウム血症のサイン:強い筋痛・こむら返り、頭痛、混乱、めまい、吐き気、むくみ、呼吸苦、異常な疲労感がある場合。早期の評価・血液検査が必要です。 [2]
- 痙攣・意識障害:痙攣や意識消失がみられたら、直ちに救急を受診してください。 [7]
- 持続する強い筋痛:休薬や減量でも改善しない、日常生活に支障がある場合は受診の目安です。 [1]
併用薬とリスク管理
- セロトニン作用薬の併用(SSRI、SNRI、トリプタン、リネゾリドなど)でセロトニン症候群のリスクが上がります。 [6] 併用自体が常に禁忌ではないものの、高齢・高用量・CYP2D6阻害薬併用などでリスクが高まるため、開始・増量時の注意深いモニタリングが推奨されます。 [6]
- 用量依存性:固定用量試験でも副作用は用量が上がると増える傾向が示されています。 [1]
実践的な対処法
- 症状観察:開始後1~2週間は、筋痛・こむら返り、発熱、発汗、動悸、震えなどがないか注意しましょう。 [1] [3]
- 水分・電解質:こむら返りが気になる場合、水分・軽いストレッチが一助になることがありますが、症状が強い場合は自己判断で継続せず相談してください。 [2]
- 用量調整:筋痛が出たら、自己増量を避け、処方医に減量や投与間隔の調整を相談するのが安全です。 [1]
- 併用薬の確認:抗うつ薬や偏頭痛薬などセロトニン作用がある薬の併用時は、急な筋硬直・震えへの注意喚起が有用です。 [6]
まとめ
トラマドールで筋肉痛が起こる可能性はありますが、頻度は高くありません。 多くは軽度で開始初期や増量時に一過性に現れます。 [1] 一方で、発熱や重度の筋硬直・震えを伴う場合はセロトニン症候群を疑い、速やかな受診が必要です。 [3] また、頭痛・混乱・強いこむら返りなどがあれば低ナトリウム血症の可能性もあり、早期評価が勧められます。 [2] 症状が続く、悪化する、日常生活に支障がある場合は受診して用量や併用薬の見直しを検討しましょう。 [1] [6]
参考データのポイント比較
| 観点 | 一般的副作用の傾向 | 筋関連症状 | 重症合併症の筋症状 |
|---|---|---|---|
| 頻度 | 吐き気・めまい・便秘・眠気・頭痛が多い | 筋痛・筋痙縮は稀~頻度不明 | セロトニン症候群・低Naで目立つ |
| 重症度 | 軽度~中等度が多い | 多くは軽度~中等度 | 重度・救急対応が必要 |
| 発現時期 | 開始初期に多い、維持期は減る | 開始・増量時に出やすい | 併用薬開始・増量後に急性発現 |
| 受診目安 | 持続・悪化・生活支障 | 改善しない筋痛・こむら返り | 発熱+筋硬直、痙攣、意識障害、混乱 |
(一般的副作用・発現時期・用量依存性の知見 [1]、セロトニン症候群の筋症状 [3]、低ナトリウム血症の筋症状 [2]、筋痛記載の安全性情報 [4]、薬理機序と併用時リスク [5] [6])
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijklmAdverse event profile of tramadol in recent clinical studies of chronic osteoarthritis pain.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefgTramadol (oral route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 3.^abcdefghiTramadol: MedlinePlus Drug Information(medlineplus.gov)
- 4.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abTramadol: basic pharmacology and emerging concepts.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdefgSerotonin syndrome: is it a reason to avoid the use of tramadol with antidepressants?(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^↑Tramadol: MedlinePlus Drug Information(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


