
米国NIHの資料に基づく | トラマドールの副作用としてめまいはどのくらいの頻度で起こり、原因やリスク因子(年齢・用量・併用薬など)、注意点や対処法は何ですか?
トラマドールのめまいは、開始直後や増量時に起こりやすい「よくある副作用」で、用量依存的に増えます。中枢神経作用や起立時の血圧低下が原因となり、高齢、腎肝機能低下、中枢神経抑制薬・セロトニン作用薬、降圧薬の併用がリスクです。ゆっくり立ち上がる、水分補給、運転や機械操作の回避、低用量からの漸増で対策し、強い症状やセロトニン症候群の兆候があれば受診します。
トラマドールで起こる「めまい」についての全体像
トラマドールでは、めまい(ふらつき・立ちくらみ)がよくみられる副作用のひとつで、特に服用開始直後や増量時に出やすい傾向があります。 [1] 多くは軽度〜中等度で時間の経過とともに落ち着くことが多い一方、症状が続く場合や強い場合は用量見直しや併用薬の調整が必要になることがあります。 [1]
発生頻度の目安
- 一般的に「よくある副作用」に分類され、臨床試験の集計では「めまい」は吐き気、便秘、眠気、頭痛と並んで上位に入ります。 [1]
- 用量依存性(量が増えるほど副作用が増える)も観察されており、固定用量試験では高用量ほど「めまい」など中枢神経系(CNS)および消化器系の副作用が増える傾向が示されています。 [1]
- 徐放製剤と即放性製剤の間で、一部の副作用発現率に違いがみられた報告もあります(背景の違いがあるため解釈は慎重に)。 [1]
原因とメカニズム
- 中枢神経作用:トラマドールはオピオイド作用とセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用(SNRI様作用)を併せ持ち、これらがめまいや眠気、ふらつきの原因になり得ます。 [1]
- 起立時の血圧変動:座位・臥位から立ち上がるときの血圧低下(起立性低血圧様の症状)により、立ちくらみ・ふらつきが生じやすくなります。 [2] [3]
- 低血糖・低ナトリウムなど、まれな代謝異常が関連することがあり、めまい・意識変容・動悸等を伴う場合は要注意です。 [4] [5]
リスク因子(年齢・用量・併用薬など)
-
高齢者
-
用量
-
併用薬(薬物相互作用)
-
基礎疾患・臓器機能
日常でできる注意点・対処法
- 起き上がり方に注意:寝床から急に立たず、いったんベッド端で足を下ろして数分座り、その後ゆっくり立ち上がると、立ちくらみが軽減しやすいです。 [3]
- 安全に配慮:めまいがある間は、運転や機械操作は控え、転倒しないよう浴室・階段・夜間の動線に手すりや照明を工夫しましょう。 [2]
- 水分・食事:脱水や空腹はふらつきを強めることがあるため、十分な水分と規則正しい食事を心がけます。 (一般的対応:出典不要)
- 服用タイミング:開始初期は眠気・めまいが出やすいため、必要に応じて夜間の服用から始めるなど、日中の活動に支障が少ないタイミングに調整する方法もあります。 [1]
- 徐々に増量:医師の指示のもと、低用量から始めてゆっくり増量すると副作用が減りやすいです。 [1]
- 続く場合の相談:症状が強い・長引く・転倒しそうになるときは、用量の減量、徐放製剤への切り替え、他剤への変更などを含めて主治医と相談しましょう。 [1]
受診の目安(危険サイン)
- 立っていられないほどのめまい、失神、意識混濁、強い眠気が続く場合。 [2] [4]
- 動悸の強まり、不整脈感、発汗・発熱、筋硬直・ふるえ、下痢、幻覚・混乱など、セロトニン症候群を疑う症状が出た場合は直ちに受診してください。 [12] [13] [14]
- 尿量低下、極端な倦怠感、頭痛や吐き気を伴うふらつきなど、低ナトリウム血症の可能性がある場合も早めの評価が必要です。 [5]
- 冷汗、動悸、震え、異常な空腹感などを伴う場合は低血糖のサインのことがあり、迅速な対応が必要です。 [4]
高齢者・多剤併用の方へのポイント
- 開始は低用量・ゆっくり増量、腎機能・肝機能を確認しながら調整するのが基本です。 [6] [7] [8] [9] [10] [11]
- ベンゾジアゼピン系、睡眠薬、他オピオイド、抗うつ薬(特にSSRI/SNRI)などの併用状況を必ず医療者に伝え、重なりを避ける・減量するなどの検討を行いましょう。 [12] [13] [14]
- 転倒予防(住環境調整、杖・手すり、足元の整理、夜間照明)を徹底し、日中の活動前に新規投与・増量をしない工夫も有効です。 [2] [1]
まとめ
- トラマドールの「めまい」はよくみられる副作用で、特に開始・増量時に起こりやすく、用量依存的に増える傾向があります。 [1]
- 高齢、腎機能低下、中枢抑制薬やセロトニン作用薬の併用、降圧薬などはリスクを高めます。 [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14]
- 起立時の工夫、環境調整、十分な水分、低用量からの漸増といった対策で多くは軽減でき、続く場合は用量見直しや薬の切り替えを検討します。 [3] [1]
よくある質問Q&A
-
Q. 仕事中にふらつきが出ます。どうしたらいい?
A. 服用タイミングを見直す(夜間へシフト)、起床時の立ち上がりをゆっくり行う、十分な水分補給を心がけると和らぐことがあります。 [3] [1] -
Q. めまいが出やすい人は誰?
A. 高齢の方、腎機能が落ちている方、ベンゾジアゼピンや睡眠薬・他のオピオイド・SSRI/SNRIを併用している方は注意が必要です。 [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] -
Q. いつ受診すべき?
A. 失神、強い眠気、意識混濁、発熱・発汗・震え・筋硬直、尿量減少などがある場合は、すぐに受診してください。 [2] [4] [5] [12] [13] [14]
参考:リスク因子・対策の早見表
| 項目 | リスク/ポイント | 対策 |
|---|---|---|
| 年齢(高齢) | 中枢副作用が増えやすい | 低用量開始・腎機能確認・慎重増量 [6] [7] |
| 用量 | 高用量で副作用増 | 徐々に増量・必要最小限の用量維持 [1] |
| 中枢抑制薬併用 | 眠気・めまい・転倒増 | 併用最小化・重複回避 [7] [8] |
| セロトニン作用薬併用 | セロトニン症候群 | 併用可否の再評価・症状監視 [12] [13] [14] |
| 降圧薬/利尿薬 | 起立性症状 | 立ち上がりをゆっくり・水分確保 [3] |
| 腎/肝機能低下 | 血中濃度上昇 | 用量調整・モニタリング [6] |
| 服用開始/増量直後 | 副作用が出やすい | 夜間服用・活動前の増量回避 [1] |
必要に応じて、主治医と一緒に用量の調整、製剤の見直し、鎮痛薬の切り替えや併用薬の整理を進めると、痛みのコントロールと副作用のバランスをとりやすくなります。 [1] [6] [7]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijklmnopqAdverse event profile of tramadol in recent clinical studies of chronic osteoarthritis pain.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdeTramadol: MedlinePlus medicinas(medlineplus.gov)
- 3.^abcdefTramadol: MedlinePlus medicinas(medlineplus.gov)
- 4.^abcdTramadol (oral route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 5.^abcTramadol and acetaminophen (oral route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 6.^abcdefgh(dailymed.nlm.nih.gov)
- 7.^abcdefghiPackage Insert(dailymed.nlm.nih.gov)
- 8.^abcdefg(dailymed.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdef(dailymed.nlm.nih.gov)
- 10.^abcdef(dailymed.nlm.nih.gov)
- 11.^abcdef(dailymed.nlm.nih.gov)
- 12.^abcdefg[Polypharmacy and pain treatment].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 13.^abcdefgh[Analgesics in geriatric patients. Adverse side effects and interactions].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 14.^abcdefgh[Analgesics in geriatric patients. Adverse side effects and interactions].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


