
米国NIHの資料に基づく | トラマドールの副作用として、うつ病や抑うつ気分が生じることはありますか?
トラマドールの副作用として、抑うつ気分の悪化やうつ病様症状、希死念慮、不安・イライラ・睡眠障害などの精神症状が起こることがあります。投与初期や用量変更時に出やすく、抗うつ薬併用ではセロトニン症候群のリスクもあります。症状が出たら自己判断で継続せず、速やかに医療者へ相談してください。
結論
トラマドールの副作用として、抑うつ気分の悪化やうつ病様の症状があらわれることはあります。特に投与初期や用量を増減した時期に、気分の落ち込み、イライラ、不安、異常な行動の変化、希死念慮などの精神症状が報告されています。これらの症状が出た場合は、自己判断で継続せず、速やかに医療者に相談することが重要です。 [1] [2]
トラマドールで起こりうる精神・神経症状
- 抑うつの悪化・うつ病様症状:トラマドール服用中に、もともとの抑うつが悪化したり、抑うつ気分が新たに出ることがあります。特に投与開始直後や用量変更時に注意が必要です。 [1]
- 希死念慮(自殺念慮):一部の人で自殺を考える気持ちが生じることがあり、家族や周囲による日々の観察が推奨されます。突然の変化があり得るため早期に気づくことが大切です。 [1]
- 不安・焦燥・イライラ・攻撃性:不安感、落ち着きのなさ(アカシジア)、衝動性、怒りっぽさ、攻撃的になるなどの行動変化がみられることがあります。 [1] [2]
- 睡眠障害・悪夢・混乱:眠れない、悪夢を見る、混乱する、気分の変化などが副作用として記載されています。 [2]
これらの精神症状は、オピオイドとしての作用に加え、トラマドールがセロトニン・ノルアドレナリン再取り込みを抑える性質を持つこととも関連している可能性があります。 [3]
仕組みの背景(やさしく解説)
トラマドールは、痛み止めとしてのμオピオイド受容体作用に加えて、セロトニン(5-HT)とノルアドレナリン(NE)の再取り込みを阻害する二重作用があります。これは気分に影響を与えうる仕組みで、場合によっては気分が不安定になったり抑うつが悪化することがあります。 [3]
さらに、他の抗うつ薬(特にSSRIなど)と併用すると、セロトニンが過剰に作用して「セロトニン症候群」と呼ばれる危険な状態を引き起こすことがあり、不安・混乱・焦燥・発汗・振戦・下痢・発熱などの症状が出ます。併用時は特に注意が必要です。 [4]
いつ受診・相談すべき?
以下のような兆候が出たら、すぐに医師・薬剤師へ相談してください。重症のときは救急受診を検討します。 [1] [2]
- 抑うつ気分の急な悪化、楽しみに感じていたことへの興味の低下
- 希死念慮(死にたい気持ち)や自傷の考え
- ひどい不安、異常な焦燥感、攻撃性、衝動的な行動
- 眠れない、悪夢、混乱、強い落ち着きのなさ
- 併用薬(抗うつ薬など)開始・用量変更後の急な精神症状の変化
家族や周囲の方にも、日々の様子の変化を見守ってもらうことが推奨されます。 [1]
併用薬・中止時の注意点
- 抗うつ薬(SSRI・SNRIなど)との併用:セロトニン作用が重なり、セロトニン症候群のリスクが上がります。症状に気づいたらすぐに相談してください。 [4]
- 突然の中止は避ける:トラマドールを急にやめると、不安・不眠・イライラ・発汗・動悸・下痢などの離脱症状が出ることがあります。医師の指示で段階的に減量するのが安全です。減量中は気分の変化や希死念慮の出現にも注意します。 [5] [6]
実用的な対処のヒント
- 服用開始・用量変更から最初の数週間は特に注意して、気分や行動の変化を記録すると役立ちます。 [1]
- うつ・不安の既往がある場合は、主治医に必ず事前共有し、モニタリングの計画を立ててもらいましょう。 [1]
- 抗うつ薬を服用中なら、薬剤同士の相互作用について医師・薬剤師に確認してください。 [4]
- 症状が気になる時は、自己判断で増減・中止せず、必ず医療者に相談しましょう。 [5]
まとめ
トラマドールは有効な鎮痛薬ですが、抑うつの悪化や希死念慮などの精神症状が副作用として生じることがあり、特に投与初期や用量変更時は注意が必要です。抗うつ薬との併用ではセロトニン症候群のリスクが高まり得るため、症状を早期に察知して医療者へ相談することが安全につながります。 [1] [4] [2]
今、トラマドールを服用中で気分の落ち込みや不安などの変化を感じていますか?
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出典
- 1.^abcdefghiTramadol (oral route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 2.^abcde(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^abTramadol: basic pharmacology and emerging concepts.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdAvoiding serotonin syndrome: the nature of the interaction between tramadol and selective serotonin reuptake inhibitors.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abTramadol: MedlinePlus Drug Information(medlineplus.gov)
- 6.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


