放射線治療で血尿は起きる?原因と対処法を医師が解説
要点:
放射線治療で血尿は起きる?原因と対処法
放射線治療では、骨盤(膀胱・前立腺・子宮など)に照射する場合、膀胱や尿道の粘膜が一時的に炎症を起こし、頻尿・排尿時のしみる感じ(排尿痛)・血尿などがみられることがあります。これは「急性放射線性膀胱炎」とよばれ、治療開始後2〜3週ごろに出やすく、治療終了後2〜4週で自然に和らぐことが多い副作用です。 [1] [2] 一方で、まれですが数ヶ月〜数年後に遅れて起こる「遅発性(慢性)放射線性膀胱炎」でも血尿がみられることがあり、重い場合は治療的対応が必要になります。 [3] [4]
なぜ血尿が起きるのか
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急性期のしくみ
放射線が膀胱粘膜にダメージを与え、粘膜が赤く腫れて出血しやすくなるため、頻尿・切迫感・しみる痛み・軽度の血尿が生じます。 [5]
こうした症状は骨盤への放射線治療で比較的よくみられます。 [3] -
遅発性(慢性期)のしくみ
時間の経過とともに膀胱の微小血管が傷み、酸素が届きにくくなって組織が脆くなり、出血が続く「出血性膀胱炎」へ進行することがあります。 [6]
遅発性は5〜10%程度にみられ、重い血尿は5〜8%で報告があり、発症は治療後平均約2年半前後ですが、半年から10年以上後に起こることもあります。 [3] [4]
いつ出やすい?発現時期の目安
- 治療開始後約2週から排尿トラブル(頻尿・しみる痛み・切迫感)が出やすいです。 [1]
- 多くは治療終了後2〜4週で徐々に軽快します。 [2]
- 遅発性の血尿は治療終了から数ヶ月〜数年後に起こることがあります。 [4]
受診の目安(こんな時は連絡・受診を)
- 目で見て赤い尿(肉眼的血尿)が出る、または血の塊(凝血)が出る。
- 排尿時痛や頻尿が強く、日常生活に支障がある。
- 発熱や悪寒、強い下腹部痛がある(尿路感染症を合併している可能性)。
- 尿が出にくい、出なくなる(凝血による尿閉の危険)。
- 治療終了後もしつこく症状が続く、またはいったん良くなった後に再燃する。
これらは放射線の影響に加えて感染や他の泌尿器系疾患が隠れている可能性があるため、放射線治療チームや泌尿器科に相談が推奨されます。 [1] [3]
自分でできる対処法(急性期の不快症状対策)
- 水分をこまめにとる
1日8〜12杯(約2〜3リットル)を目安に、日中に分けて摂りましょう。尿を薄く保つことで膀胱の刺激を和らげます。 [1] - 刺激物を控える
カフェイン(コーヒー・紅茶・エナジードリンク)、アルコール、コショウや辛い料理は膀胱を刺激しやすいため避けると楽になることがあります。 [1] - 早めに相談
排尿の変化(痛み、血尿、切迫感、頻尿など)があれば、放射線治療チームに知らせると、症状緩和薬の提案など適切な対応が受けられます。 [1]
医療機関での主な対応
- 尿検査・感染のチェック
痛みや頻尿が強い場合は、尿路感染症の合併がないか調べ、必要に応じて抗菌薬を検討します。 [2] - 症状緩和
鎮痛・鎮痙薬、膀胱粘膜を保護する薬剤などで不快症状を和らげます。 [7] - 持続的・重度の血尿(出血性膀胱炎)への対策
生理食塩水での膀胱洗浄、凝血除去、止血目的の膀胱内注入療法(例:アルミニウム塩、ホルマリンは選択的・専門的に)、高気圧酸素療法など、段階的な治療が検討されます。重症時は内視鏡的焼灼や動脈塞栓などが選択されることもあります。 [8] [4] - リスク・頻度の説明
急性の排尿症状は骨盤照射で23〜80%の幅で報告があり、遅発性の放射線性膀胱炎は5〜10%程度にみられます。 [3]
再発予防・生活上のヒント
- 日中に十分な水分をとり、就寝前は量をやや控えて夜間頻尿を軽減する方法もあります。 [1]
- カフェイン・アルコール・辛い料理は控えめにし、膀胱への刺激を減らしましょう。 [1]
- 症状日誌をつける(いつ、どの程度、何を飲食した時に悪化したか)と、診察時の評価や調整に役立ちます。
- 症状が出たら我慢せず、早めの相談が結果的に長引かせないコツです。 [1]
まとめ
- 骨盤への放射線治療では、頻尿・排尿痛・血尿などの「急性放射線性膀胱炎」が起きることがあり、多くは治療後数週間で自然に改善します。 [1] [2]
- 数ヶ月〜数年後に「遅発性(慢性)放射線性膀胱炎」として血尿が出ることもあり、持続・重度の場合は専門的治療でコントロールを図ります。 [4]
- 水分摂取や刺激物を避けること、症状を感じたら早めに医療者へ相談することが、悪化を防ぎ安全に治療を続けるポイントです。 [1]
参考データのポイント
- 骨盤放射線治療中の尿トラブル(頻尿・灼熱感・切迫感)は治療開始約2週で現れやすく、生活指導(十分な水分摂取、カフェイン・アルコール・辛味の回避)が推奨されます。 [1]
- 多くの急性症状は治療終了後2〜4週で自然に軽快します。 [2]
- 放射線誘発性膀胱炎は一般的な副作用であり、急性期は粘膜障害、慢性期は血管障害により出血しやすくなる病態が背景にあります。 [5] [6]
- 発症頻度として、急性症状は23〜80%、慢性の遅発性膀胱炎は5〜10%、重度の血尿は5〜8%と報告されています。 [3] [4]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijklAbout Radiation Therapy to Your Pelvis(mskcc.org)
- 2.^abcde국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 3.^abcdef1764-Radiation-induced cystitis | eviQ(eviq.org.au)
- 4.^abcdef1297-Haemorrhagic cystitis | eviQ(eviq.org.au)
- 5.^ab1764-Radiation-induced cystitis | eviQ(eviq.org.au)
- 6.^ab1297-Haemorrhagic cystitis | eviQ(eviq.org.au)
- 7.^↑4162-Bladder irritation (cystitis) during cancer treatment(eviq.org.au)
- 8.^↑1297-Haemorrhagic cystitis | eviQ(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。