
PubMedの資料に基づく | リシノプリルの服用で下痢が副作用として起こることはありますか?その頻度や注意すべき症状、対処法、受診の目安を教えてください。
要点:
リシノプリルでは下痢が副作用として起こり得ます。多くは軽度で自然軽快しますが、持続する下痢や強い腹痛、脱水やふらつきがある場合は早めに受診・相談が必要です。水分・電解質補給や安静で様子を見つつ、重症サインがあれば医師の指示に従ってください。
リシノプリルで下痢が起こることはあります。一般的な消化器症状の一つとして報告されており、多くは軽度〜中等度で一過性ですが、まれに重い病態が隠れていることもあります。特に「持続する下痢」や「強い腹痛」を伴う場合は注意が必要です。 [1] [2] [3] [4]
下痢はどれくらいの頻度で起こる?
- 一般的な副作用の一つとして、頭痛・めまい・咳と並んで「下痢」が報告されています。これは高血圧の方や心不全の方を対象とした臨床試験の集計で示されています。 [2] [1]
- リシノプリル単剤や利尿薬併用(ヒドロクロロチアジド配合)でも、下痢は少数ながら認められる有害事象として記載されています。 [5]
- 具体的な%は試験ごとに異なりますが、ACE阻害薬の中で「下痢」は稀ではないクラス効果の一部として扱われています。多くは軽症で自然軽快します。 [1] [5]
注意すべき症状(見逃してはいけないサイン)
- 脱水のサイン:下痢が続く、嘔吐を伴う、口や皮膚が乾く、尿が減る、ふらつくなど。ACE阻害薬は血圧を下げる薬のため、脱水が重なると過度の血圧低下(低血圧)を招くことがあります。こうした体調不良があれば、早めに医師へ連絡してください。 [3] [6] [7]
- 強い腹痛(吐き気や嘔吐の有無にかかわらず):ACE阻害薬では、非常にまれですが腸管血管性浮腫(腸管アンジオエデマ)と呼ばれる病態が起こることがあります。激しい腹痛が特徴で、薬を中止すると改善することが多いとされています。 [4] [8] [9]
- 上記の腸管アンジオエデマは、腹痛に下痢や嘔吐を伴うことがあり、画像検査で小腸壁のむくみ(浮腫)や腹水が見られる場合があります。症状は薬の中止後24〜48時間で改善することが一般的です。 [10] [11]
- 著しいふらつき・失神感:下痢や発汗、食事・水分不足が重なると血圧が下がりすぎる場合があります。横になって安静にし、症状が続く場合は受診を検討してください。 [7] [12]
受診の目安
- 次のいずれかに当てはまる場合は、できるだけ早く医師に連絡しましょう。
自宅での対処法
- 水分と電解質の補給:こまめな水分摂取と、必要に応じて経口補水液(ORS)を使用しましょう。脱水は血圧低下を悪化させうるため、特に高齢者や利尿薬併用中の方は意識的な補水が大切です。 [3] [6]
- 食事の工夫:脂っこいもの、刺激物、乳製品は一時的に控え、消化にやさしい食事(おかゆ、バナナ、りんごのすりおろし、トースト等)を少量ずつ。
- 安静:ふらつきがある時は横になり、急に立ち上がらないようにしましょう。横になってからゆっくり体位変換を行うと失神リスクを減らせます。 [4]
- 市販止瀉薬の使用:症状が軽く、発熱や血便がなければ一時的に検討できますが、持続する場合は自己判断で長期使用せず医師に相談してください。
- 服薬の継続について:軽度の一過性下痢で全身状態が安定していれば、通常は自己中断せず主治医へ相談が無難です。強い腹痛や重い全身症状があれば一時中止を含めて医師の指示に従うことが望ましいです。 [3] [4]
腸管アンジオエデマに関して(重要ポイント)
- ACE阻害薬でまれに起こる「腸管アンジオエデマ」は、突然の強い腹痛、嘔吐、下痢で発症し、顔面のむくみがないケースもあります。検査で小腸のむくみが見つかり、薬の中止で改善するのが特徴です。 [8] [9]
- 発症までの期間は内服開始から早期〜数年後まで様々で、中止後24〜48時間で症状が改善することが多いとされています。 [10] [9]
- 似た症状を起こす疾患が多いため、診断は除外診断になりますが、ACE阻害薬内服中であれば鑑別に必ず入れるべきと考えられています。 [9]
表でまとめ:頻度・注意点・対処・受診の目安
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 起こりうるか | 起こりうる(一般的な副作用の一つ)。多くは軽度で一過性。 [2] [1] |
| よくある経過 | 軽い下痢が数日で改善。脱水があるとめまい・低血圧のリスク増加。 [3] [7] |
| 要注意サイン | 強い腹痛、持続・重度の下痢/嘔吐、血便、発熱、著しいふらつき。 [4] [3] [13] |
| まれな重篤例 | 腸管アンジオエデマ(強い腹痛、嘔吐/下痢、薬中止で改善傾向)。 [8] [10] [9] |
| 自宅対処 | 水分・電解質補給、消化にやさしい食事、安静、急な起立回避。 [3] [4] |
| 受診の目安 | 上記要注意サインがある、または症状が数日以上続く場合。 [3] [4] [13] |
| 服薬の扱い | 軽症なら自己中断せず相談が無難。重症サインがあれば速やかに医師へ。 [3] [4] |
併用薬・体調との関係
- 利尿薬併用、塩分・水分不足、下痢・嘔吐が続く状態では、ACE阻害薬で血圧が下がり過ぎる可能性が高まります。こうした場合はめまい・失神に注意し、早めに主治医に相談しましょう。 [6] [7]
- 腸管アンジオエデマはACE阻害薬のクラス効果と考えられ、特定のACE阻害薬に限らず報告があります。 [9]
まとめ
- リシノプリルで下痢は起こりえますが、多くは軽度で一過性です。 [2] [1]
- ただし、持続する下痢・脱水のサイン、強い腹痛がある場合は早めの受診が推奨されます。 [3] [4] [13]
- まれに腸管アンジオエデマという重い病態が隠れており、強い腹痛は要注意です。薬の中止で改善することが多く、医療機関での評価が必要です。 [8] [10] [9]
📝 小さな変化でも心配な点があれば、無理に我慢せず主治医へご相談ください。水分補給と安静、早めの相談が回復への近道です。 [3] [4] [6]
関連する質問
出典
- 1.^abcdeClinical experience with lisinopril. Observations on safety and tolerability.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdThe safety and tolerability of lisinopril in clinical trials.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefghijklLisinopril (oral route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 4.^abcdefghijkLisinopril (oral route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 5.^abReview of international safety data for lisinopril-hydrochlorothiazide combination treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdeLisinopril and hydrochlorothiazide (oral route) - Side effects & dosage(mayoclinic.org)
- 7.^abcde(dailymed.nlm.nih.gov)
- 8.^abcde(dailymed.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdefgAngiotensin converting enzyme inhibitor-induced gastrointestinal angioedema: a case series and literature review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abcdACE Inhibitor-Induced Angioedema of the Bowel.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^↑Possible angiotensin-converting enzyme inhibitor (ACEI)-induced small bowel angioedema.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^ab(dailymed.nlm.nih.gov)
- 13.^abcdDiarrhea(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


