Persly 医療専門チームPersly 医療専門チーム
2026年2月23日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | ナプロキセン服用中にランニングや筋トレなどの運動をすると、副作用の発生リスクは高くなりますか?

要点:

運動自体がナプロキセンの副作用を直接増やす明確な証拠は少ないものの、状況によって心血管・胃腸・腎臓・出血リスクが相対的に高まる可能性があります。用法用量を守り、脱水や空腹時服用を避け、併用薬や基礎疾患がある場合は医師に相談しながら運動するのが安全です。胸痛や黒色便などの警告症状があれば直ちに中止し受診してください。

運動(ランニングや筋トレ)そのものがナプロキセンの副作用を直接「増幅」するという明確なエビデンスは限られますが、いくつかの重要なポイントから、状況によってはリスクが高まる可能性があります。特に心血管、胃腸、腎臓、出血リスクに関して注意が必要です。結論としては、用法用量を守り、脱水や空腹時服用を避け、基礎疾患のある方は医師と相談のうえで運動を行うのが安全です。 [1] [2] [3]


心血管リスク

  • ナプロキセンを含むNSAIDsは、用量や使用期間が増えるほど心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントのリスクが上がる可能性があります。運動中は血圧や心拍が上がるため、基礎的な心血管リスク(高血圧、脂質異常、喫煙、心疾患歴)がある場合は、相対的に安全域が狭くなることがあります。 [1] [4] [5]
  • 既往に心血管疾患がある場合はNSAIDs全般の使用は慎重が推奨され、どうしても必要な場合はナプロキセンが比較的心血管面では安全性が高い選択肢とされることがありますが、それでもゼロリスクではありません。 [6] [7]
  • 運動前後の血圧管理と、長期・高用量の連用を避けることが安全に寄与します。 [6] [3]

胃腸(出血・潰瘍)リスク

  • NSAIDsは胃腸出血や潰瘍のリスクを高めます。リスクは年齢が高い方、飲酒、喫煙、ステロイド・抗凝固薬・SSRI/SNRIの併用などでさらに上がります。空腹時や大量のアルコール摂取は避けましょう。 [2] [8] [9]
  • ランニングや高強度運動は一過性に消化管血流低下や胃腸症状を誘発しやすく、NSAIDによる粘膜防御低下と重なると不快感や出血リスクが相対的に高まる可能性があります。したがって、軽食後の服用や十分な水分補給が望ましいです。 [2] [9]
  • 胃腸リスクが高い方は、最小用量・最短期間の使用や、必要に応じて胃粘膜保護(例:PPIの併用)の検討が一般的です。 [10] [11]

腎臓リスクと脱水

  • NSAIDsは腎臓の血流調整に関わるプロスタグランジンを抑えるため、腎血流を低下させ、長期使用で腎障害(腎乳頭壊死など)につながることがあります。脱水、心不全、利尿薬やACE阻害薬併用、肝機能障害、既存の腎機能低下がある場合は特に注意が必要です。 [12] [13] [14]
  • ランニングや筋トレで発汗・脱水が進むと、NSAIDsの腎リスクが相対的に高まりやすいため、運動前後・運動中のこまめな水分補給が重要です。腎機能に不安がある場合は、使用前後に腎機能(クレアチニン等)や血圧のチェックが望ましいです。 [12] [15]

出血傾向と併用薬

  • NSAIDsは胃腸出血のほか、血小板機能への影響を通じて出血傾向に関与する可能性があります。抗凝固薬、抗血小板薬、ステロイド、SSRI/SNRIとの併用でリスクが上がります。打撲や接触プレーのある運動では皮下出血・内出血にも注意が必要です。 [9] [2]
  • 出血症状(黒色便、吐血、持続するめまい・失神など)があれば、すぐに服用を中止して受診してください。 [2] [9]

筋肉・トレーニング適応への影響

  • ナプロキセンは運動に伴う炎症性代謝(PGF2α)反応を一時的に抑えることがありますが、短期の抵抗トレーニングでは形態学的な筋の適応(筋量増加)を有意に妨げないという報告があります。 [16]
  • ただし、炎症は損傷組織の修復プロセスに一定の役割を持つため、故障の急性期に長期・高用量で痛みを隠して過負荷運動を続けると治癒を遅らせたり再負傷のリスクが上がる可能性があります。一般的には、痛みを「ゼロ」にするのではなく、無理のない範囲の負荷調整が推奨されます。 [16] [17]

実践的な安全対策

  • 用法用量遵守・最短期間使用:市販用量や処方の指示を厳守し、必要最小限で運用しましょう。過量・長期は心血管・胃腸・腎リスクを高めます。 [1] [4] [3]
  • 水分補給の徹底:運動前後・運動中に十分な水分をとり、脱水を避けます。特に暑熱環境では意識的に補給を。 [12] [14]
  • 空腹時服用を避ける:軽食後の服用で胃腸刺激を減らし、アルコールは控えめに。 [2] [9]
  • 併用薬を確認:抗凝固薬、抗血小板薬、ステロイド、SSRI/SNRIとの併用は出血リスク増大に注意。医師・薬剤師へ相談を。 [9]
  • 基礎疾患のある方は要相談:心疾患、腎機能低下、高血圧、消化性潰瘍歴などがある場合は、運動計画と薬の使い方を医療者と調整しましょう。 [6] [15]
  • 症状モニタリング:胸痛、息切れ、神経症状(片麻痺・構音障害)、黒色便・吐血、尿量減少・むくみ、強い腹痛があれば直ちに受診してください。 [1] [2] [12]

まとめ

  • 運動中のナプロキセン使用は、正しく使えば多くの場合で許容可能ですが、心血管・胃腸・腎臓・出血のリスクを念頭に、用量・期間・水分・併用薬・基礎疾患に配慮する必要があります。 [1] [2] [12]
  • 既往歴や併用薬によっては、医師と相談したうえで運動の強度や薬のタイミングを調整すると安全性が高まります。 [6] [9]

関連する質問

関連記事

出典

  1. 1.^abcdeBACK AND MUSCLE PAIN- naproxen tablet, coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghBACK AND MUSCLE PAIN- naproxen sodium tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abALL DAY PAIN RELIEF- naproxen sodium tablet, coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  5. 5.^Naproxen: MedlinePlus Drug Information(medlineplus.gov)
  6. 6.^abcd[Cardiovascular risk of non-steroidal anti-inflammatory drugs].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^[Cardiovascular and gastrointestinal safety of NSAIDs].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^BACK AND MUSCLE PAIN- naproxen tablet, coated(dailymed.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcdefg(dailymed.nlm.nih.gov)
  10. 10.^NSAID-induced gastrointestinal and cardiovascular injury.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^NSAID-induced gastrointestinal and cardiovascular injury.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  12. 12.^abcde(dailymed.nlm.nih.gov)
  13. 13.^(dailymed.nlm.nih.gov)
  14. 14.^ab(dailymed.nlm.nih.gov)
  15. 15.^ab(dailymed.nlm.nih.gov)
  16. 16.^abResistance exercise and naproxen sodium: effects on a stable PGF2α metabolite and morphological adaptations of the upper body appendicular skeleton.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  17. 17.^Piroxicam and naproxen in acute sports injuries.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。