
米国NIHの資料に基づく | 断食中にアスピリンを服用しても安全ですか?
要点:
断食中のアスピリン服用は胃粘膜を刺激し、胃痛・胃炎・出血のリスクが高まるため、原則として空腹時の服用は避けるのが無難です。服用が必要な場合は少量の食べ物や牛乳と一緒に、腸溶性製剤や胃薬併用の可否を含め主治医に相談してください。心血管予防での定期内服は自己判断で中止せず、安全な飲み方を確認しましょう。
断食中のアスピリン内服の安全性についての要点
- 一般的には、断食(食事を取らない状態)でアスピリンを服用すると、胃粘膜への刺激が強まり、胃痛・胃炎・胃出血などのリスクが上がる可能性があります。 [1] [2] [3]
- 一方で、アスピリンを含む一部の製剤は、食事による吸収変化が臨床的に大きくないとされるものもありますが、安全性の観点では「胃の保護」のため食後や何かを少量でも摂ってからの服用が望ましいと考えられます。 [4] [5]
- 心血管予防などで医師から定期内服を指示されている場合は、勝手に中止せずに、服用タイミング(少量の食事や牛乳と一緒など)や胃薬併用の可否を医師に相談することが大切です。 [6]
背景とリスクの整理
- アスピリンは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)で、胃の粘膜を守る仕組みを弱め、局所刺激で出血を引き起こしやすくなることが知られています。 [7]
- 市販・処方を問わず、アスピリンは重い胃出血の注意喚起がなされており、特に60歳以上、胃潰瘍や出血歴がある方、抗凝固薬・ステロイド併用、アルコール多飲、過量・長期使用ではリスクが高まります。 [1] [2] [3]
- 断食は胃の中に食物の“保護層”がない状態で、薬剤の局所刺激がダイレクトに当たりやすいため、理屈の上でも胃粘膜障害のリスクが増える状況と言えます。 [7]
断食が吸収・効果に与える影響
- 一部のアスピリン配合剤(アスピリン+徐放性ジピリダモール)では、食事で血中濃度指標(Cmaxなど)が変化しても、臨床的に意味の大きい差ではないと説明されています。 [4] [5]
- ただし、これは“効果の安定性”に関する話であり、「胃の安全性」が担保されるという意味ではありません。 [4] [5]
エンテリックコーティング(腸溶性)と胃保護
- 腸溶性(エンテリック)アスピリンは、胃で溶けにくく腸で溶ける設計のため、通常のアスピリンより胃粘膜への“局所的”ダメージが少ない傾向が示されています。 [7]
- それでもNSAIDsとしての全身的な作用による粘膜防御低下は残るため、断食中の完全な安全を保証するものではありません。 [7]
実務的な対処法(断食する場合)
- 可能であれば断食中でも、水分に加えて少量の食べ物(クラッカー、牛乳など)を一緒に摂って服用するのがおすすめです。こうした工夫で、胃への直接刺激を和らげられる可能性があります。 [7]
- 医師からの指示で毎日内服が必要な方は、中断せずに、服用タイミングや胃薬(胃酸抑制薬など)の併用について事前に担当医へ相談してください。 [6]
- 胃潰瘍・胃炎の既往、出血歴、抗凝固薬・ステロイド併用、高齢者などは、断食時のアスピリン単独服用を極力避けるのが無難です。 [1] [2] [3]
受診の目安(危険サイン)
よくある状況別の目安表
| 状況 | 胃リスクの目安 | 推奨されやすい対応 |
|---|---|---|
| 短期の宗教的断食での一時的な服用 | 上昇しうる | 少量の食べ物・牛乳と一緒に服用、可能なら腸溶性製剤や胃薬併用を医師に相談 |
| 長期断食や厳格な水分のみ | さらに上昇 | 医師に事前相談、代替タイミング調整や胃保護策(PPI/H2ブロッカーなど)検討 |
| 心血管予防での毎日服用 | 中断リスクも考慮 | 勝手に中止しない、断食中の安全な飲み方と胃薬併用を主治医に確認 [6] |
| 胃潰瘍・出血歴、抗凝固薬併用 | 高リスク | 断食中の空腹服用は避ける、必ず医師へ個別相談 [1] [2] [3] |
注: 表は一般的な目安であり、個別の判断は主治医の指示を優先してください。 [6]
まとめ
- 断食中のアスピリンは、胃腸障害や出血のリスクを高める可能性があるため、原則として空腹時の服用は避けるのが無難です。 [1] [2] [3]
- 効果面では食事の有無で大きく変わらない製剤もありますが、安全性(胃の保護)の観点からは食後または少量の飲食物と服用する工夫が望ましいです。 [4] [5]
- 定期内服が必要な方は、中断せずに服用タイミングや胃薬併用について主治医へ相談しましょう。 [6]
この断食はどのくらいの期間・どの程度の厳しさ(完全絶食か、水分のみか、少量の食べ物は可か)を予定していますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefASPIRIN REGULAR STRENGTH- aspirin tablet, coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefENTERIC COATED ASPIRIN 81mg(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefASPIRIN 81MG ADULT LOW DOSE- aspirin tablet, delayed release(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdASPIRIN AND EXTENDED-RELEASE DIPYRIDAMOLE capsule, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdThese highlights do not include all the information needed to use ASPIRIN and EXTENDED-RELEASE DIPYRIDAMOLE CAPSULES safely and effectively. See full prescribing information for ASPIRIN and EXTENDED-RELEASE DIPYRIDAMOLE CAPSULES. ASPIRIN and extended-release DIPYRIDAMOLE capsules, for oral useInitial U.S. Approval: 1999(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdeAspirin: MedlinePlus Drug Information(medlineplus.gov)
- 7.^abcdeComparison of the effects of regular and enteric-coated aspirin on gastroduodenal mucosa of man.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


