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2026年2月20日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 精巣がん患者で低血圧がみられる場合、検査結果として確認すべき所見(腫瘍マーカー〔β-hCG・AFP・LDH〕、電解質、腎機能、コルチゾール値、甲状腺機能、画像での副腎病変など)は何ですか?

要点:

精巣がん患者に低血圧がみられた場合、循環血液量低下、感染、薬剤、内分泌異常(副腎不全・甲状腺機能低下)、腫瘍進展(副腎転移)を並行して評価します。腫瘍マーカー(β-hCG・AFP・LDH)、電解質・腎機能、早朝コルチゾール(±ACTH)、TSH/FT4、CT/MRIでの副腎病変の有無を確認し、必要に応じ補液・抗菌薬・ステロイドなどの初期対応を行います。

精巣がんの方に低血圧がみられる場合、まずは循環血液量低下(脱水・出血)、感染(敗血症)、薬剤(抗がん剤・制吐薬・鎮痛薬など)、内分泌異常(副腎不全・甲状腺機能低下)、腫瘍進展(副腎転移など)といった複数の要因を並行して評価することが大切です。腫瘍マーカー(β-hCG・AFP・LDH)、電解質と腎機能、コルチゾール、甲状腺機能、副腎病変の画像評価を同時に確認することで、原因の切り分けが進みやすくなります。 [1] [2] [3] [4] [5] [6]


まず確認したい検査と所見

  • 腫瘍マーカー(β-hCG、AFP、LDH)

    • β-hCG・AFP・LDHは精巣がんの診断・病期・治療反応性・再発監視に役立つ指標です。異常高値は活動性病変の示唆、遷延高値は治療反応不良の示唆として解釈されます。 [1] [2] [7]
    • ただし、これらは必ずしも全例で上がるわけではなく、特にセミノーマではAFPは上がらず、β-hCGも陰性例がありえます。LDHは特異性が低い補助指標として位置づけられます。 [7] [8]
  • 電解質・腎機能(Na、K、Cl、HCO3−、BUN/Cr、eGFR)

    • 低ナトリウム血症や高カリウム血症は副腎不全や腎機能障害、体液量低下のヒントになり、高カリウムは致死的不整脈のリスクがあるため緊急度が高い所見です。 [9] [10]
    • 脱水・嘔吐・下痢・利尿薬などによる容量不足は血圧低下の一般的な原因で、腎機能悪化(BUN/Cr上昇)を伴いえます。 [11] [12]
  • 早朝血清コルチゾール(±ACTH刺激試験)

    • 両側副腎転移や治療関連の副腎抑制があると副腎不全→低血圧をきたします。 [3] [13]
    • がん患者で両側副腎転移がある場合、約3割でコシントロピン負荷で副腎不全が明らかになり、食欲不振・悪心・起立性低血圧が目立つと報告されています。 [3]
    • 画像で副腎病変が疑われる場合は、副腎不全の除外が推奨されます。 [13]
  • 甲状腺機能(TSH、遊離T4)

    • 甲状腺機能低下症は徐脈・低体温・低血圧の一因になりうるため、低血圧の鑑別として基本的に測定します。一般論としての位置づけですが、内分泌評価の一環として重要です。
  • 画像検査(腹部CT/MRI ±胸部・骨盤CT、必要に応じPET)

    • 精巣がんの病期・転移評価には造影CTで腹部・胸部・骨盤を評価し、副腎病変の有無・両側性かどうかを確認します。 [14] [15] [5]
    • 副腎腫瘤の良悪性鑑別や広がりの把握にCT・MRIが有用で、両側病変では副腎不全の評価を追加します。 [5] [6] [13]

推奨される検査パネル(低血圧を見たときの実務的チェックリスト)

  • バイタル・床頭試験

    • 体温、脈拍、呼吸、SpO2、起立性血圧測定(仰臥→立位での低下)。
    • 尿量・体液量評価(口渇、皮膚ツルゴール、粘膜乾燥、浮腫の有無)。
  • 採血

    • CBC(炎症・感染、出血評価)
    • BMP/電解質:Na、K、Cl、HCO3−、BUN、Cr、Ca、Mg、P、血糖。高K/低Naは副腎不全の手がかり。 [9] [10]
    • 肝機能(転移・薬剤影響)
    • 乳酸(敗血症の示唆)
    • 腫瘍マーカー:β-hCG、AFP、LDH。治療前・治療中・術後でトレンドを比較。 [1] [2] [7]
    • 早朝コルチゾール(必要に応じACTH刺激試験)。両側副腎病変や説明困難な低血圧で積極的に検討。 [3] [13]
    • TSH、遊離T4(甲状腺機能低下の除外)。
    • CRP/プロカルシトニン(感染評価)
  • 画像

    • 造影CT(胸部・腹部・骨盤):後腹膜リンパ節・肝・肺・副腎転移の評価。 [14] [15]
    • 副腎フォローのためのCT/MRI詳細評価、必要によりPETで全身評価。 [5] [6]

検査所見の読み方(低血圧との関連)

  • 腫瘍マーカー

    • β-hCG・AFP・LDHの上昇は腫瘍活動性や進展を示す手がかりで、進行病変や治療反応不良が背景にあると循環不全・感染合併のリスクも増大します。 [1] [2] [7]
    • 正常でも副腎不全や電解質異常は否定されないため、マーカー陰性でも内分泌・電解質評価は必須です。 [7] [8]
  • 電解質・腎機能

    • 低Na+高K+Cr上昇の場合、副腎不全や腎前性腎障害(脱水)を強く示唆します。 [9] [10]
    • 高Kは緊急対応(心電図監視・補正)が必要で、低血圧の悪化因子にもなりえます。 [9]
  • コルチゾール

    • 低コルチゾールあるいは刺激試験で反応不良なら副腎不全確定的で、起立性低血圧・食欲不振・悪心などの症状と合致します。 [3]
    • 両側副腎転移が画像で示される場合、臨床的に無症候でも副腎不全を一定頻度で伴う可能性があります。 [3] [13]
  • 甲状腺機能

    • 甲状腺機能低下は徐脈・低代謝から低血圧に寄与しうるため、TSH高値+FT4低値は注意が必要です。
  • 画像での副腎病変

    • CT/MRIで副腎腫瘤や両側性病変を認めたら、副腎不全の除外(コルチゾール評価)を行うのが実務的です。 [5] [13]
    • がんの病期評価としての胸腹骨盤CTは標準的で、転移の広がり評価に不可欠です。 [14] [15]

低血圧への初期対応のポイント(検査と並行して)

  • 体液蘇生

    • 等張晶質液での補液を検討し、反応性をバイタルで確認します(心不全や腎不全があれば調整)。
  • 薬剤見直し

    • 抗がん剤関連の副作用対策薬や鎮痛薬、降圧薬の影響を確認し、一過性の用量調整やタイミング調整を検討します。起立時はゆっくり立つ・こまめな水分補給などのセルフケアも有用です。 [16]
  • 感染の除外

    • 発熱・寒気・局所症状の有無、CBC/CRP/乳酸を参考にし、敗血症が疑わしければ血液培養・広域抗菌薬を早期に検討します。
  • 内分泌補充

    • 副腎不全が疑われ、血行動態が不安定な場合は、診断的治療としてストレス用量のヒドロコルチゾン投与を先行することが一般的です(その後に確定検査を整える)。

参考となる検査結果のまとめ表

評価項目みたい所見低血圧との関係次の一手
β-hCG・AFP・LDH高値、上昇傾向腫瘍活動性・進展の示唆(間接的に循環不全リスク)病期再評価、治療方針見直し [1] [2] [7]
Na/K/BUN/Cr/HCO3−低Na・高K・前腎性BUN/Cr上昇副腎不全・脱水・腎障害の示唆補液、心電図監視、内分泌精査 [9] [10]
早朝コルチゾール(±ACTH刺激)低値・反応不良副腎不全による起立性低血圧ヒドロコルチゾン補充、原因精査 [3] [13]
TSH/FT4TSH上昇+FT4低下代謝低下→低血圧寄与甲状腺ホルモン補充の検討
CT/MRI(副腎)両側/片側副腎病変両側なら副腎不全リスク上昇コルチゾール評価・病期再評価 [5] [13]
胸腹骨盤CT後腹膜LN・肝・肺・副腎評価進展状況の把握→管理全体に影響画像フォロー・治療方針最適化 [14] [15]

実践的アルゴリズム(簡略)

  1. バイタルと起立性テスト、血液培養(感染疑い時)を行いながら、補液で反応を見る。
  2. 同時に採血:CBC、電解質・腎機能、乳酸、β-hCG/AFP/LDH、早朝コルチゾール(可能なら)、TSH/FT4。 [1] [2] [7] [9] [10]
  3. 画像:胸腹骨盤CTで副腎を含む病期評価、副腎腫瘤があればCT/MRIで追加精査。 [14] [15] [5]
  4. 両側副腎病変や臨床的に副腎不全が強く疑われ、血行動態が不安定ならステロイド投与を先行し、後日刺激試験で確定。 [3] [13]
  5. 感染・薬剤・出血など他原因を並行して除外・治療。

まとめ

  • 低血圧の背景に、電解質異常・腎機能悪化・副腎不全・甲状腺機能低下・腫瘍進展(副腎転移含む)が潜んでいないかを系統的に確認します。 [9] [10] [3] [13] [14] [15]
  • 精巣がん特有の評価として、β-hCG・AFP・LDHのトレンドを常に把握し、CT/MRIで副腎病変の有無を確認しながら、必要に応じてコルチゾール測定・ACTH刺激試験を追加します。 [1] [2] [7] [5] [13]
  • 両側副腎転移では臨床症状が軽くても副腎不全が一定頻度で起こりうるため、低血圧に遭遇した際は見逃さない姿勢が重要です。 [3] [13]

この中で特に今、どの検査結果や症状(例:起立時のふらつき、食欲低下、嘔気、発熱など)が気になっていますか?

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出典

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