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2026年2月20日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 精巣がん患者で血清カルシウムが高値(高カルシウム血症)と判定された場合、腫瘍随伴症候群などの原因鑑別はどう進めるべきで、確認のために推奨される追加検査(PTH、PTHrP、25(OH)D/1,25(OH)2D、腎機能、画像検査など)は何ですか?

要点:

精巣がんの高カルシウム血症では、まずPTH測定でPTH依存性か非依存性かを判定し、薬剤歴・リン・腎機能・補正Ca/イオン化Caを併せて評価します。PTHが抑制されていればPTHrP、25(OH)D/1,25(OH)2D、尿Ca、胸腹部CT(骨評価含む)を追加し、PTHrP介在・1,25(OH)2D過剰・骨転移の機序を鑑別します。セミノーマでは1,25(OH)2D高値による体液性高Caに注意し、重症例では補液や破骨抑制薬を併用しつつ原因治療へ。

高カルシウム血症が精巣がんの経過中に見つかった場合、まず「副甲状腺ホルモン(PTH)依存性か、非依存性か」を軸に整理し、悪性腫瘍に伴う機序(PTHrP、ビタミンD活性化過剰、骨転移など)を系統的に鑑別していくのが実務的です。初期評価ではPTH測定を起点に、リン、クレアチニン/推算GFR、アルブミン補正カルシウム(またはイオン化Ca)、薬剤歴をそろえ、PTHが抑制されていればPTHrP・ビタミンD代謝産物(25[OH]D/1,25[OH]2D)・画像を追加する流れが一般的です。 [1] [2]


よくある原因の全体像

  • PTH依存性(主に原発性副甲状腺機能亢進症): 外来の高カルシウム血症の最頻因で、PTH高値+高カルシウムが手掛かりになります。 [2]
  • PTH非依存性(悪性腫瘍関連が多い): 入院例では悪性腫瘍が最多で、機序はPTHrP産生(腫瘍随伴高カルシウム血症)、骨転移に伴う局所骨破壊、1,25(OH)2D過剰(肉芽腫性疾患や一部腫瘍)などがあります。PTHが抑制されるのが基本像です。 [2] [3]

精巣がんに特有の着眼点

  • セミノーマでは稀ですが、1,25(OH)2D高値による体液性(humoral)高カルシウム血症が報告されています。PTHは正常〜低値、リンは正常、1,25(OH)2Dが不適切に高い所見が手がかりで、抗がん治療によりCaが速やかに正常化する傾向が示されています。 [4]
  • 一方、PTHrP介在の腫瘍随伴高カルシウム血症は固形がん全般で頻度が高く、PTHが低値〜低正常、PTHrP高値、低リン血症を伴いやすいというパターンが参考になります。 [5] [6]

推奨される鑑別アルゴリズム

  1. 初期評価(ベッドサイド~当日)
  • 総カルシウム+アルブミン(またはイオン化Ca)、PTH、リン、クレアチニン(eGFR)を同時採血する。PTHの結果が鑑別の分岐点です。 [1] [2]
  • 薬剤チェック:サイアザイド系利尿薬、ビタミンD/A過量、カルシウム製剤、リチウムなど。 [7]
  • 症状・重症度評価:吐き気、便秘、多尿、脱水、意識変容、腎機能悪化などがあれば重症として補液等を速やかに開始します。 [2] [1]
  1. PTH依存性かの判定
  • PTH高値(不適切)なら「原発性副甲状腺機能亢進症」をまず考える(高Ca+高PTHが典型)。この場合は悪性腫瘍随伴よりも副甲状腺疾患を優先評価します。 [2]
  • PTH低値~低正常なら「PTH非依存性」を支持し、悪性腫瘍関連の評価に進みます。 [1] [2]
  1. PTH非依存性ルートの追加検査
  • PTHrP:PTH低値の場合に有用で、PTHが低い/低正常であればPTHrP測定の意義が高いと報告されています。 [8]
  • 25(OH)Dと1,25(OH)2D:
    • 25(OH)Dは体内のビタミンD貯蔵を反映し、過量摂取の見極めに役立ちます。 [2]
    • 1,25(OH)2Dが不適切高値なら、腫瘍や肉芽腫による活性化過剰(腸からのCa吸収増)を示唆します(セミノーマでの報告あり)。 [4] [2]
  • 画像検査:
    • 胸部・腹部のCTなどで腫瘍の活動性・骨病変・肺病変や肉芽腫性疾患の示唆を確認します。原因精査として骨・肺の画像が推奨されます。 [9] [10]
  • 腎機能・尿検査:腎機能低下はCa上昇を悪化させ、治療選択にも影響します。尿中Caは鑑別の補助(高Ca尿はビタミンD過剰/1,25(OH)2D過剰で増えやすい)となります。 [11] [2]
  1. 稀な機序の念頭
  • まれにCYP24A1異常などで1,25(OH)2D過剰を来すことがあり、他原因が除外された非PTH性高Caで疑います(専門的検査:24,25[OH]2Dと25[OH]D/24,25[OH]2D比)。 [12] [13]

実務に使える検査パネル(優先度つき)

  • 第一段階(当日):
    • 血清カルシウム(補正またはイオン化)、PTH、リン、クレアチニン(eGFR)、ナトリウム・カリウム、アルブミン。ここでPTH依存性/非依存性を振り分けます。 [1] [2]
  • 第二段階(PTH低値~低正常時):
    • PTHrP、25(OH)D、1,25(OH)2D、尿カルシウム、胸腹部CT(骨転移評価を含めた画像)。セミノーマなら1,25(OH)2D高値の有無が特に鍵です。 [8] [4] [9]
  • 追加(選択的):
    • 24,25(OH)2D(CYP24A1疑い)、骨シンチやPET/CT(骨病変評価)、原因腫瘍の再評価。 [12] [10]

典型パターンの読み方(所見の組み合わせ)

  • 原発性副甲状腺機能亢進症:高Ca+高PTH、リン低値〜低正常。PTHが高い時点でまずこちらを検討します。 [2]
  • 腫瘍随伴高カルシウム血症(PTHrP):高Ca、PTH低値、PTHrP高値、リン低値がちなことが多い。固形がんで頻度が高い機序です。 [5] [6]
  • 1,25(OH)2D過剰(セミノーマ・肉芽腫など):高Ca、PTH低値、1,25(OH)2D高値、リン正常〜やや高めのことも。抗腫瘍治療に反応してCaが速やかに正常化する傾向が報告されています。 [4] [2]
  • 骨転移/局所骨破壊:画像で溶骨性病変、PTH低値、PTHrPは陰性ことも。画像所見が診断の要です。 [3] [10]

画像検査の進め方

  • 悪性腫瘍関連が疑われるPTH非依存性では、胸部・腹部の画像(CT)で骨病変や原疾患の進展、肺・縦隔所見の確認が勧められます。 [9] [10]
  • 骨評価はCTに加え、必要に応じて骨シンチやPET/CTを追加します(施設の標準に準拠)。画像は機序(骨破壊 vs 体液性)と治療方針の決定に直結します。 [10] [3]

緊急対応と並行して行うこと

  • 脱水補正のための十分な補液は重症例で基本となります(腎機能保護・Ca排泄促進)。 [2]
  • 破骨抑制薬(ビスホスホネート)やカルシトニンは、原因治療(抗がん治療や副甲状腺手術)までの橋渡しとして用います。 [2] [6]
  • サイアザイドやCa・VitDサプリは可能なら中止します。 [1]
  • 最終的には原因の治療(例:化学療法や放射線、原病制御)が高カルシウム血症の根治に直結します。 [2] [6]

まとめのポイント

  • 高カルシウム血症を見たら、まずPTHを測って依存性/非依存性を判別します。 [1] [2]
  • PTH非依存性なら、PTHrP・25(OH)D・1,25(OH)2D・画像で機序を絞り込みます。セミノーマでは1,25(OH)2D高値が手掛かりになり得ます。 [4] [8] [9]
  • 画像は骨・肺評価が基本で、溶骨性病変の有無と腫瘍の活動性評価が重要です。 [10] [3]
  • 重症例では補液と破骨抑制薬を早期に併用しつつ、原因治療へとつなぐのが安全です。 [2] [6]

参考となる検査フロー表

ステップ検査典型的所見意義
初期Ca(補正/イオン化)、PTH、リン、Cr/eGFR、AlbPTH高値=PTH依存性、PTH低値=非依存性分岐の起点、重症度/腎機能把握 [1] [2]
追加(非依存性)PTHrP高値なら腫瘍随伴(PTHrP)支持PTH低値時に有用性が高い [8] [5]
追加(非依存性)25(OH)D、1,25(OH)2D1,25(OH)2D高値=活性化過剰型セミノーマや肉芽腫の示唆 [4] [2]
画像胸腹部CT ± 骨評価溶骨性病変、腫瘍活動性機序と治療方針に直結 [9] [10]
選択尿Ca、24,25(OH)2D尿Ca高値は吸収増加型で上がりやすい/稀な遺伝要因難治例や反復例で検討 [11] [12]

この流れに沿って評価すると、精巣がんに伴う高カルシウム血症でも、PTHrP介在か、1,25(OH)2D介在か、骨病変主体かを比較的短時間で切り分けられ、治療判断がしやすくなります。 [4] [5] [3] [6] [9] [10]


次の外来や入院のタイミングで、この評価セット(PTH、リン、腎機能、PTHrP、25[OH]D/1,25[OH]2D、画像)を一括して進められるよう主治医と相談してみませんか?

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出典

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  2. 2.^abcdefghijklmnopqrstEvaluation and therapy of hypercalcemia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdeHypercalcemia of malignancy: pathophysiology, diagnosis and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
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  7. 7.^고칼슘혈증(Hypercalcemia) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  8. 8.^abcdThe clinical utility of parathyroid hormone-related peptide in the assessment of hypercalcemia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
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