
PubMedの資料に基づく | 胆嚢癌の患者で血液検査のカルシウムが高値(高カルシウム血症)になるのはなぜですか?
要点:
胆嚢癌の高カルシウム血症は、腫瘍産生PTHrPによる傍腫瘍性機序と骨転移による骨破壊が主因で、進行のサインとなり得ます。診断はCa・PTH・PTHrP測定や画像で原因を特定し、治療は補液と骨吸収抑制薬(ビスホスホネート、カルシトニン、デノスマブ)に腫瘍治療を併用します。
胆嚢癌で高カルシウム血症が起こりやすい理由は、大きく分けて「腫瘍が分泌する物質による全身性の影響(傍腫瘍性=ホルモン様物質による作用)」と「骨への影響(骨転移や骨吸収亢進)」の2つが考えられます。特に多いのは、腫瘍が分泌する副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)などにより骨からカルシウムが放出され、腎臓でのカルシウム排泄も低下して血中カルシウムが上がる“悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症(Humoral Hypercalcemia of Malignancy)”です。 [1] このタイプでは必ずしも骨転移がなくても高カルシウム血症が起きます。 [2]
高カルシウム血症の主なメカニズム
- PTHrPによる骨吸収亢進(最も一般的)
腫瘍細胞がPTHrPを産生し、骨の破骨細胞を活性化して骨からカルシウムを放出させます。 [1] 併せて腎臓でのカルシウム再吸収が増え、尿への排泄が減ることで高カルシウム血症が持続しやすくなります。 [1] PTHrPが関与する高カルシウム血症は多くの固形癌で見られ、胆道系腫瘍でも報告されています。 [3] - 骨転移による局所的な骨破壊
腫瘍が骨へ転移し、その部位で破骨細胞が活性化してカルシウムが流出します。 [4] この機序でも高カルシウム血症を来すことがあり、骨痛や病的骨折を伴うことがあります。 [5] - その他のサイトカイン・因子
腫瘍が産生するサイトカイン(例:プロスタグランジン、破骨細胞活性化因子など)が骨吸収をさらに促進することがあります。 [6]
胆嚢癌・胆道癌での特徴
- 胆道癌(胆管癌など)は高カルシウム血症を合併しやすい“少数派の癌種”に含まれることがあり、PTHrP産生例の報告があります。 [7] PTHrPを産生する胆道癌に対して化学放射線療法で腫瘍縮小とともにPTHrP・カルシウムが低下した症例もあります。 [8]
- 胆嚢癌でも著明な高カルシウム血症と白血球増多を伴った症例報告があり、PTH様物質(PTHrPと推定)による機序が示唆されています。 [9]
どのくらい起こるのか(頻度の目安)
- 全ての癌のうち約10%前後で高カルシウム血症がみられるとされます。 [4] 消化器癌の終末期合併症としても一定割合でみられ、胆道系では稀ながら報告があります。 [10] 発症はしばしば進行期を示し、予後不良のサインとなることが多いです。 [10]
症状の例
- 軽症では無症状のこともありますが、進むと口渇・多飲多尿、便秘、食欲低下、吐き気、脱力、意識混濁や不整脈などが見られます。 [11] 放置すると腎不全や心停止など重篤化する恐れがあるため、早期の評価と治療が重要です。 [12]
診断の進め方
- 血液検査:総カルシウム(アルブミン補正やイオン化カルシウム)、クレアチニン、リン、ビタミンD、PTH(副甲状腺ホルモン)、PTHrP などを測定して原因を絞り込みます。 [13]
- PTH低値~不適切低値+PTHrP高値なら、PTHrP媒介性(傍腫瘍性)を示唆します。 [13]
- 画像検査:骨シンチやCTで骨転移を評価します(PTHrP型では骨転移が目立たないこともあります)。 [2]
- 他の原因除外:ビタミンD/A過量、サルコイドーシスなど肉芽腫性疾患、甲状腺機能亢進症、薬剤(チアジド、リチウムなど)も鑑別に入れます。 [14]
治療の基本
- まずは補液(生理食塩水)で脱水を是正し、腎からのカルシウム排泄を促します。 [12]
- 骨吸収抑制薬:ビスホスホネート(例:パミドロネート、ゾレドロン酸)で破骨細胞活性を抑え、数日で血清カルシウムを低下させます。 [7]
- カルシトニン:即効性があり短期的にカルシウムを下げますが、効果は一時的です。 [12]
- 腫瘍治療:根本的には腫瘍負荷を減らすことが重要で、化学療法・放射線療法・手術などが可能なら検討します(PTHrP産生胆道癌で治療によりPTHrP/カルシウムが改善した報告あり)。 [8]
- 難治例:腎機能障害や重症例ではデノスマブ(RANKL阻害薬)などの選択肢が検討されることがあります。 [15]
まとめ
- 胆嚢癌での高カルシウム血症は、主に腫瘍由来のPTHrPなどによる骨吸収亢進(傍腫瘍性機序)と、骨転移による骨破壊が関与します。 [1] [4] 胆道癌は高カルシウム血症を起こしやすい癌種の一つとされる報告があり、胆嚢癌でもPTHrP様機序の症例が示されています。 [7] [9]
- 高カルシウム血症は進行のサインであることが多く、早期の補液+骨吸収抑制薬などの支持療法と、可能であれば腫瘍そのものへの治療が重要です。 [7] [15]
この高カルシウム血症がいつ頃から、どのくらいの値で見つかったのか、症状(口渇や便秘、倦怠感など)はありますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdMechanisms of cancer-induced hypercalcemia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abPAMIDRONATE DISODIUM injection, powder, lyophilized, for solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^↑PTHrP-mediated hypercalcemia: causes and survival in 138 patients.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abc[Hypercalcemia in malignant diseases. Physiopathology and treatment].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 6.^↑Hypercalcemia and cancer: an update.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcdDailyMed - PAMIDRONATE DISODIUM injection, solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 8.^abCholangiocarcinoma producing parathyroid hormone-related peptide treated with chemoradiation using gemcitabine and S-1.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abA case of a gallbladder cancer with marked hypercalcemia and leukocytosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abHypercalcemia of cancer in the digestive tract.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^↑Hypercalcemia - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 12.^abc고칼슘혈증(Hypercalcemia) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 13.^abParathyroid hormone-related protein blood test: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 14.^↑고칼슘혈증(Hypercalcemia) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 15.^ab866860 | Stanford Health Care(stanfordhealthcare.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


