
PubMedの資料に基づく | 子宮内膜がん患者で血液検査の白血球数が低下しているとき、主な原因は何で、感染リスクが高いと判断する白血球・好中球数の目安はどの程度ですか?
要点:
子宮内膜がん患者の白血球低下の主因は、化学療法による骨髄抑制です。感染リスク評価は好中球数(ANC)が中心で、ANC<1500でリスク上昇、<500で高リスク、発熱時は緊急対応が必要です。WBC<3500も低値の目安です。
子宮内膜がんで白血球が低下する原因と、感染リスクが高まる数値の目安
子宮内膜がんの治療中に白血球(とくに好中球)が低下する主な理由として、抗がん剤による骨髄抑制(骨髄で血液細胞を作る力が一時的に低下すること)がまず挙げられます。多くの標準的レジメン(例:カルボプラチン+パクリタキセル、ドキソルビシン+シスプラチンなど)は、早期の副作用として好中球減少症(ニュートロペニア)を起こしやすく、感染症のリスクを有意に高める重要な副作用です。 [1] [2]
また、がんそのものが骨髄に影響して白血球産生が減る場合もあり得ますが、子宮内膜がんでは一般的には治療(化学療法)に伴う白血球低下が最も多いパターンです。 [3]
白血球が低い状態では、感染の兆候が通常より目立ちにくく、進行が速く重症化しやすいため、発熱を伴う好中球減少(発熱性好中球減少症)は緊急対応が必要と考えられています。 [4] [5]
主な原因
- 化学療法による骨髄抑制
白血球、とくに感染防御の要である好中球が減少します。カルボプラチン+パクリタキセル、ドキソルビシン+シスプラチンといったレジメンで早期からみられる典型的副作用で、感染リスクが上がり、重篤化することもあるとされています。 [1] [2] - がんの影響(稀)
がんが骨髄機能に及ぶ場合、白血球産生が低下することがありますが、婦人科固形がんでは治療関連低下がより一般的です。 [3] - 放射線治療や併用薬の影響(補助的要因)
集中的な放射線治療や副腎皮質ステロイド・生物学的製剤の併用などが、感染リスクや白血球動態に影響することがあります。 [6]
感染リスクが高まる数値の目安(WBC・好中球)
白血球(WBC)全体の低下も目安になりますが、臨床的には好中球(ANC:絶対好中球数)の値で感染リスクを評価することが一般的です。 [4]
- WBCの目安
成人では、WBCが約3,500/μL未満は低値と判断されることがあり、感染リスクの上昇につながります(基準範囲は検査機関で多少異なります)。 [3] - 好中球(ANC)の目安
もっとも重要な指標で、以下のようにリスク評価します。 [4] [5]
好中球数と感染リスクの段階
- ANC 1,500/μL未満:好中球減少症(ニュートロペニア)とみなされ、感染リスクが上がり始めます。 [7]
- ANC 1,000〜500/μL:中等度のリスク上昇があり、注意深い観察が必要です。リスクは好中球数が低いほど、期間が長いほど高くなります。 [4]
- ANC 500/μL未満:高リスク域で、発熱を伴えば発熱性好中球減少症(FN)と判断し救急的対応が推奨されます(口腔温38.3℃以上、または1時間にわたり38.0℃以上が2回の定義など)。 [5]
- ANC 100/μL未満が7日超継続:極めて高度なリスクで、抗菌薬・抗真菌薬の予防投与が検討される状況です(他の高リスク要因が類似の危険度をもたらす場合も対象)。 [8]
臨床上の重要ポイント
- 発熱は緊急サイン
好中球減少時の発熱は、即時の評価と広域抗菌薬の早期投与が推奨されます。症状が軽微でも進行が速いため、受診時は1時間以内の初回抗菌薬投与が望ましいとされています。 [5] [9] - 症状が目立たないことがある
好中球減少では炎症反応が弱く、通常の感染徴候(咽頭痛・咳・排尿痛など)が乏しいことがあり、微細な変化に注意が必要です。 [4] - 治療スケジュールへの影響
多くの化学療法レジメンでは、白血球・好中球が所定の閾値に回復するまで投与を延期する、あるいは次コースで用量調整を検討することがあります(例:ANCが十分でない場合の延期、重度低下時の用量減量など)。 [10] - 家庭での感染予防
好中球が低い期間は、手洗いの徹底、体温計の常備、混雑した場所や病気の人との接触回避などの日常的な予防策が推奨されます。 [1] [2]
すぐに受診すべきサイン
参考:用語の整理
- 白血球(WBC):感染防御に関わる細胞の総称。低下(白血球減少=ロイコペニア)は感染リスク上昇のサイン。 [3]
- 好中球(ANC):白血球の中核で、細菌感染に対する即応防御の主力。感染リスク評価はANCが最重要。 [4]
- 発熱性好中球減少症(FN):好中球が500/μL未満の状態で発熱を伴う緊急事態。迅速な広域抗菌薬投与が原則。 [5]
まとめ
- 子宮内膜がん治療中の白血球低下は、化学療法による骨髄抑制が最も一般的な原因です。 [1] [2]
- 感染リスクの判断は好中球(ANC)で行うのが基本で、1,500/μL未満でリスク上昇、500/μL未満で高リスク、発熱を伴えば緊急対応が必要です。 [7] [4] [5]
- 発熱・体調変化があれば速やかに医療機関へ相談し、主治医の指示に従って治療延期や用量調整、支持療法(G-CSFなど)を検討します。 [9] [10] [8]
目安値の比較表
| 指標 | 目安値 | 臨床的解釈 |
|---|---|---|
| WBC(成人) | 3,500/μL未満 | 白血球減少の目安。感染リスク上昇の可能性。 [3] |
| ANC(好中球) | 1,500/μL未満 | 好中球減少症。感染リスクが上がり始める。 [7] |
| ANC(好中球) | 1,000〜500/μL | 中等度リスク。注意深い観察が必要。 [4] |
| ANC(好中球) | 500/μL未満 | 高リスク。発熱があれば緊急対応(FN)。 [5] |
| ANC(好中球) | 100/μL未満が7日超 | 極めて高リスク。予防的抗菌・抗真菌が検討される。 [8] |
発熱や体調の変化を感じたタイミング、最近の治療内容(レジメン名・サイクル数)や最新のWBC・ANCの具体的な数値がわかれば、より的確にリスクを評価できます。
関連する質問
出典
- 1.^abcdPatient information - Endometrial cancer recurrent or metastatic - Carboplatin and paclitaxel(eviq.org.au)
- 2.^abcdPatient information - Endometrial cancer recurrent or metastatic - AP (doxorubicin and cisplatin)(eviq.org.au)
- 3.^abcdeLow white blood cell count(mayoclinic.org)
- 4.^abcdefghiNursing protocol for the patient with neutropenia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdefgh[Fever with chemotherapy induced neutropenia].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^↑Management of the cancer patient with infection and neutropenia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abc호중구감소증(Neutropenia) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 8.^abcAntimicrobial prophylaxis and outpatient management of fever and neutropenia in adults treated for malignancy: American Society of Clinical Oncology clinical practice guideline.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abClinical practice guideline for the use of antimicrobial agents in neutropenic patients with cancer: 2010 Update by the Infectious Diseases Society of America.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^ab4592-Endometrial recurrent or metastatic cARBOplatin PACLitaxel and durvalumab(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。

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