
PubMedの資料に基づく | 子宮体がん患者で血清カルシウムが高値(高カルシウム血症)を示した場合、考えられる機序(PTHrP産生や骨転移など)と原因鑑別のためにまず確認すべき検査項目は何ですか?
子宮体がんの高カルシウム血症は、PTHrP産生による腫瘍随伴性高カルシウム血症と骨転移による骨溶解が主な機序です。初期鑑別では補正Ca/イオン化CaとPTHを起点に、PTH低値ならPTHrP、1,25(OH)2D、血清リン、腎機能、ALP、尿中Ca、骨画像(骨シンチ・PET/CT・MRI)を確認します。
子宮体がんで高カルシウム血症がみられた場合、想定される機序は大きく2つあります。第一に、腫瘍が分泌するPTH関連タンパク(PTHrP)により骨吸収と腎でのカルシウム再吸収が促進される「腫瘍随伴性(液性)高カルシウム血症」です。これはしばしば骨転移が目立たない段階でも起こり得ます。 [1] [2] 第二に、骨転移による局所的な骨破壊(溶骨性病変)で骨からカルシウムが流出する機序です。 [3] 子宮体がんでは頻度は高くないものの、PTHrP産生による高カルシウム血症の報告があり、婦人科腫瘍でも鑑別に含める必要があります。 [4] [5] 高カルシウム血症の原因は悪性腫瘍や原発性副甲状腺機能亢進症が大半を占めるため、両者を効率よく見分ける初期検査が重要です。 [6] [7]
よくある病態生理
-
腫瘍随伴性(液性)高カルシウム血症(HHM)
腫瘍がPTHrPを分泌し、破骨細胞が活性化され骨吸収が進み、腎尿細管でのカルシウム再吸収も増加します。骨転移が乏しいかなくても高カルシウム血症が生じます。 [1] [2] このタイプは婦人泌尿器系腫瘍でもみられ、婦人科悪性腫瘍の一部(子宮体がんを含む)でPTHrP上昇の報告があります。 [1] [4] -
骨転移に伴う局所骨溶解
広範な骨浸潤により破骨細胞を介した骨破壊が進み、血中カルシウムが上昇します。 [3] -
その他の悪性関連機序
一部では活性型ビタミンD(1,25(OH)2D)上昇や炎症性サイトカインの関与が報告されますが、固形癌ではPTHrPが中心的役割を担うことが多いと考えられます。 [8] [9]
まず確認すべき初期検査項目
高カルシウム血症の原因鑑別では、PTH(副甲状腺ホルモン)を起点に分岐するシンプルなアルゴリズムが有用です。初期に以下の検査を同時にそろえると、原発性副甲状腺機能亢進症と悪性腫瘍関連の見極めが効率的です。 [10] [11]
基本採血
- 補正総カルシウムまたはイオン化カルシウム(アルブミンで補正)
高値の確認と重症度評価の基礎です。 [10] - PTH(intact PTH)
鑑別の起点。高カルシウム血症でPTHが高値/不適切正常なら原発性副甲状腺機能亢進症を示唆し、低値なら悪性腫瘍関連(PTHrPなど)を強く示唆します。 [10] [12] - PTHrP
PTHが低値~低正常の場合に測定意義が高いです。PTHが十分に抑制されていない段階でPTHrPを測っても情報価値が低いとされています。 [13] - ビタミンD関連
25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)と1,25-ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH)2D)。肉芽腫性疾患や一部の腫瘍で1,25(OH)2Dが不適切高値のことがあり、PTHrP関連高カルシウム血症でも抑制されない例が報告されています。 [10] [14] [9] - 血清リン、クレアチニン(腎機能)、マグネシウム
PTHrPやPTHの作用で低リンになりやすく、腎機能は治療方針にも関わります。 [15] - ALP(特に骨型)
骨代謝の亢進評価に参考。
尿・その他
- 尿中カルシウム(随時Cr補正または24時間尿)
腎でのカルシウム排泄評価に用います。 [10] - 骨・胸腹部画像
骨転移評価として骨シンチグラフィ、全身PET/CTや整形的症状があれば部位別MRIなどを検討します。原因検索として肺や骨の画像評価が勧められることがあります。 [16]
検査アルゴリズム(実践の流れ)
子宮体がんでの注意点
- PTHrP産生による高カルシウム血症は稀ながら報告され、症候性/無症候性のいずれでも発見契機となることがあります。 [4] [5]
- 骨転移に起因するケースもあり得るため、疼痛、病的骨折、歩行困難などの症状があれば速やかな骨評価が望まれます。 [16]
- PTHが抑制され、PTHrPが上昇し、リン低値を伴うパターンはHHMを強く支持します。 [15]
- PTHが高い/正常上限であれば、原発性副甲状腺機能亢進症の合併も念頭に置きます(まれに腫瘍性HHMと同時存在の報告あり)。 [17]
初期評価に役立つ一覧表
| カテゴリ | 推奨検査 | 期待所見の目安 | 意味づけ |
|---|---|---|---|
| 高Ca確認 | 補正総Ca or イオン化Ca | 高値 | 重症度と推移の把握に必須。 [10] |
| ホルモン | PTH(intact) | 低値なら悪性関連、高値/不適切正常なら原発性副甲状腺機能亢進症を示唆 | 最初の分岐点。 [10] [12] |
| 腫瘍因子 | PTHrP | 低PTHで上昇ならHHM示唆 | PTH評価後に有用。 [13] |
| ビタミンD | 25(OH)D、1,25(OH)2D | 1,25(OH)2Dが不適切高値のことがある | 一部の腫瘍/肉芽腫で上昇、HHMでも抑制されない例あり。 [10] [9] |
| 電解質 | リン | 低リン傾向 | PTHrP/PTH作用の反映。 [15] |
| 腎・骨 | Cr、ALP(骨型) | 併存障害や骨代謝の把握 | 腎機能は治療選択に影響。 |
| 尿 | 尿中Ca | 排泄の把握 | 鑑別と治療フォローに有用。 [10] |
| 画像 | 骨シンチ、PET/CT、部位別MRI、胸部/腹部CT | 骨転移や原病勢評価 | 骨や肺の検索が原因特定に役立つことあり。 [16] |
まとめ
- 子宮体がんにおける高カルシウム血症は、PTHrP産生による液性機序と骨転移による骨溶解が主な原因として考えられます。 [1] [3]
- 鑑別の出発点はPTH測定で、PTH低値ならPTHrP測定と1,25(OH)2D、骨画像を組み合わせるのが効率的です。 [10] [13] [16]
- 婦人科腫瘍でもPTHrP関連高カルシウム血症の報告があるため、子宮体がん症例で高カルシウムを見たときは早期にこのルートで評価することが推奨されます。 [4] [5]
🙂必要な検査を同日に揃えると診断が速く進みます。補正Ca/イオン化Ca、PTH、PTHrP(PTH低値時)、25(OH)D/1,25(OH)2D、血清リン、腎機能、ALP、尿中Ca、骨・肺を含む画像評価を意識して進めてみてください。 [10] [16]
関連する質問
出典
- 1.^abcdDailyMed - PAMIDRONATE DISODIUM injection(dailymed.nlm.nih.gov)
- 2.^abDailyMed - PAMIDRONATE DISODIUM injection, solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^abcDailyMed - PAMIDRONATE DISODIUM injection, solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdA case of groans, moans and stones with malignant undertones: Endometrioid carcinoma-associated hypercalcemia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcParaneoplastic hypercalcemia associated with uterine papillary serous carcinoma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^↑고칼슘혈증(Hypercalcemia) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 7.^↑고칼슘혈증(Hypercalcemia) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 8.^↑Humoral hypercalcemia of malignancy. The role of parathyroid hormone-related protein.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdMalignancy-associated hypercalcaemia: resolution of controversies over vitamin D metabolism by a pathophysiological approach to the syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abcdefghijklmHypercalcemia: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 11.^↑Hypercalcemia: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 12.^abcDiagnosis(stanfordhealthcare.org)
- 13.^abcdThe clinical utility of parathyroid hormone-related peptide in the assessment of hypercalcemia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 14.^↑Symptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 15.^abcContribution of parathyroid hormone-related peptide to the evaluation of hypercalcemia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 16.^abcdefHypercalcemia - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 17.^↑Concurrent primary hyperparathyroidism and humoral hypercalcemia of malignancy in a patient with clear cell endometrial cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。
![PubMedの資料に基づく | 検査結果で血清25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]が低値と出ましたが、これは子宮体がんの発症リスクや予後・再発リスクにどの程度関係し、治療方針としてビタミンDの補充は推奨されますか?](/_next/image?url=https%3A%2F%2Ftjivmaqhwbmjdsssrlqw.supabase.co%2Fstorage%2Fv1%2Fobject%2Fpublic%2Fblog-images%2Fendometrial-cancer-low-vitamin-d.jpg&w=640&q=75)

