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2026年2月19日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 子宮体がん患者で血清カルシウムが高値(高カルシウム血症)を示した場合、考えられる機序(PTHrP産生や骨転移など)と原因鑑別のためにまず確認すべき検査項目は何ですか?

要点:

子宮体がんの高カルシウム血症は、PTHrP産生による腫瘍随伴性高カルシウム血症と骨転移による骨溶解が主な機序です。初期鑑別では補正Ca/イオン化CaとPTHを起点に、PTH低値ならPTHrP、1,25(OH)2D、血清リン、腎機能、ALP、尿中Ca、骨画像(骨シンチ・PET/CT・MRI)を確認します。

子宮体がんで高カルシウム血症がみられた場合、想定される機序は大きく2つあります。第一に、腫瘍が分泌するPTH関連タンパク(PTHrP)により骨吸収と腎でのカルシウム再吸収が促進される「腫瘍随伴性(液性)高カルシウム血症」です。これはしばしば骨転移が目立たない段階でも起こり得ます。 [1] [2] 第二に、骨転移による局所的な骨破壊(溶骨性病変)で骨からカルシウムが流出する機序です。 [3] 子宮体がんでは頻度は高くないものの、PTHrP産生による高カルシウム血症の報告があり、婦人科腫瘍でも鑑別に含める必要があります。 [4] [5] 高カルシウム血症の原因は悪性腫瘍や原発性副甲状腺機能亢進症が大半を占めるため、両者を効率よく見分ける初期検査が重要です。 [6] [7]


よくある病態生理

  • 腫瘍随伴性(液性)高カルシウム血症(HHM)
    腫瘍がPTHrPを分泌し、破骨細胞が活性化され骨吸収が進み、腎尿細管でのカルシウム再吸収も増加します。骨転移が乏しいかなくても高カルシウム血症が生じます。 [1] [2] このタイプは婦人泌尿器系腫瘍でもみられ、婦人科悪性腫瘍の一部(子宮体がんを含む)でPTHrP上昇の報告があります。 [1] [4]

  • 骨転移に伴う局所骨溶解
    広範な骨浸潤により破骨細胞を介した骨破壊が進み、血中カルシウムが上昇します。 [3]

  • その他の悪性関連機序
    一部では活性型ビタミンD(1,25(OH)2D)上昇や炎症性サイトカインの関与が報告されますが、固形癌ではPTHrPが中心的役割を担うことが多いと考えられます。 [8] [9]


まず確認すべき初期検査項目

高カルシウム血症の原因鑑別では、PTH(副甲状腺ホルモン)を起点に分岐するシンプルなアルゴリズムが有用です。初期に以下の検査を同時にそろえると、原発性副甲状腺機能亢進症と悪性腫瘍関連の見極めが効率的です。 [10] [11]

基本採血

  • 補正総カルシウムまたはイオン化カルシウム(アルブミンで補正)
    高値の確認と重症度評価の基礎です。 [10]
  • PTH(intact PTH)
    鑑別の起点。高カルシウム血症でPTHが高値/不適切正常なら原発性副甲状腺機能亢進症を示唆し、低値なら悪性腫瘍関連(PTHrPなど)を強く示唆します。 [10] [12]
  • PTHrP
    PTHが低値~低正常の場合に測定意義が高いです。PTHが十分に抑制されていない段階でPTHrPを測っても情報価値が低いとされています。 [13]
  • ビタミンD関連
    25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)と1,25-ジヒドロキシビタミンD(1,25(OH)2D)。肉芽腫性疾患や一部の腫瘍で1,25(OH)2Dが不適切高値のことがあり、PTHrP関連高カルシウム血症でも抑制されない例が報告されています。 [10] [14] [9]
  • 血清リン、クレアチニン(腎機能)、マグネシウム
    PTHrPやPTHの作用で低リンになりやすく、腎機能は治療方針にも関わります。 [15]
  • ALP(特に骨型)
    骨代謝の亢進評価に参考。

尿・その他

  • 尿中カルシウム(随時Cr補正または24時間尿)
    腎でのカルシウム排泄評価に用います。 [10]
  • 骨・胸腹部画像
    骨転移評価として骨シンチグラフィ、全身PET/CTや整形的症状があれば部位別MRIなどを検討します。原因検索として肺や骨の画像評価が勧められることがあります。 [16]

検査アルゴリズム(実践の流れ)

  1. カルシウム高値を確認(補正またはイオン化)。 [10]
  2. 同時にPTHを測定。 [10]
    • PTHが高値〜不適切正常 → 原発性副甲状腺機能亢進症を第一に考慮(尿中Ca、腎/骨影響評価を追加)。 [12]
    • PTHが低値 → 悪性腫瘍関連を強く疑う:
      • PTHrPを測定(上昇ならHHMが示唆的)。 [13]
      • 1,25(OH)2Dを測定(不適切高値ならビタミンD代謝異常関与を示唆、HHMでも抑制されない例あり)。 [9]
      • 骨画像で骨転移の有無・範囲を評価。 [16]

子宮体がんでの注意点

  • PTHrP産生による高カルシウム血症は稀ながら報告され、症候性/無症候性のいずれでも発見契機となることがあります。 [4] [5]
  • 骨転移に起因するケースもあり得るため、疼痛、病的骨折、歩行困難などの症状があれば速やかな骨評価が望まれます。 [16]
  • PTHが抑制され、PTHrPが上昇し、リン低値を伴うパターンはHHMを強く支持します。 [15]
  • PTHが高い/正常上限であれば、原発性副甲状腺機能亢進症の合併も念頭に置きます(まれに腫瘍性HHMと同時存在の報告あり)。 [17]

初期評価に役立つ一覧表

カテゴリ推奨検査期待所見の目安意味づけ
高Ca確認補正総Ca or イオン化Ca高値重症度と推移の把握に必須。 [10]
ホルモンPTH(intact)低値なら悪性関連、高値/不適切正常なら原発性副甲状腺機能亢進症を示唆最初の分岐点。 [10] [12]
腫瘍因子PTHrP低PTHで上昇ならHHM示唆PTH評価後に有用。 [13]
ビタミンD25(OH)D、1,25(OH)2D1,25(OH)2Dが不適切高値のことがある一部の腫瘍/肉芽腫で上昇、HHMでも抑制されない例あり。 [10] [9]
電解質リン低リン傾向PTHrP/PTH作用の反映。 [15]
腎・骨Cr、ALP(骨型)併存障害や骨代謝の把握腎機能は治療選択に影響。
尿尿中Ca排泄の把握鑑別と治療フォローに有用。 [10]
画像骨シンチ、PET/CT、部位別MRI、胸部/腹部CT骨転移や原病勢評価骨や肺の検索が原因特定に役立つことあり。 [16]

まとめ

  • 子宮体がんにおける高カルシウム血症は、PTHrP産生による液性機序と骨転移による骨溶解が主な原因として考えられます。 [1] [3]
  • 鑑別の出発点はPTH測定で、PTH低値ならPTHrP測定と1,25(OH)2D、骨画像を組み合わせるのが効率的です。 [10] [13] [16]
  • 婦人科腫瘍でもPTHrP関連高カルシウム血症の報告があるため、子宮体がん症例で高カルシウムを見たときは早期にこのルートで評価することが推奨されます。 [4] [5]

🙂必要な検査を同日に揃えると診断が速く進みます。補正Ca/イオン化Ca、PTH、PTHrP(PTH低値時)、25(OH)D/1,25(OH)2D、血清リン、腎機能、ALP、尿中Ca、骨・肺を含む画像評価を意識して進めてみてください。 [10] [16]

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出典

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