Medical illustration for PubMedの資料に基づく | 軟部肉腫で体重増加が起こることはありますか、その場合のメカニズムや頻度はどの程度ですか? - Persly Health Information
Persly 医療専門チームPersly 医療専門チーム
2026年2月15日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 軟部肉腫で体重増加が起こることはありますか、その場合のメカニズムや頻度はどの程度ですか?

要点:

軟部肉腫そのものが体重増加を直接引き起こすことは稀で、むしろ進行例では食欲低下や悪液質による体重減少が目立ちます。増加がみられる場合の多くは、リンパ浮腫などの水分貯留、ステロイド・ホルモン薬の副作用、治療に伴う活動量低下による脂肪増加が主因です。四肢温存術後のリンパ浮腫は約28.8%(中等度以上約9%)に発生し、見かけ上の体重増加につながります。

軟部肉腫と体重増加:起こりうるか、メカニズムと頻度

軟部肉腫そのものが直接「体重増加」を引き起こすことは一般的ではなく、むしろ病勢進行や治療中には体重減少(食欲低下や悪液質)がみられることが多いです。 [1] [2] 一方で、治療の副作用や浮腫(むくみ)・リンパ浮腫、ステロイドの使用、ホルモン療法などにより体重が増えたように見える(実質は体水分や浮腫の増加)ケースは一定程度起こりえます。 [3] [4] [5] [6]


よくみられるのは「体重減少」

  • 軟部肉腫では、進行すると食欲低下や体重減少などの全身症状がみられることがあります。 [1] [2]
  • がん関連の悪液質(がんが代謝を変えて筋肉や脂肪が消耗する状態)は、食事量に関わらず体重が落ちていくことがあり、軟部肉腫でも進行例で栄養状態の低下が報告されています。 [7] 悪液質は「痩せていく」方向に働くため、体重増加とは逆の変化が起きやすいです。 [7]
  • 早期の軟部肉腫は無症状で、体重変化が目立たないことも少なくありません。 [8]

体重増加が起こりうるメカニズム

体重増加と感じられる現象の多くは「脂肪増加」ではなく、水分貯留(浮腫)や活動量低下に伴う体脂肪増加が主因です。

1) 浮腫・リンパ浮腫による体重増加

  • 四肢の軟部肉腫では、腫瘍そのものや手術・放射線後のリンパ管障害でリンパ浮腫が生じ、患肢に水分がたまり体重が増えたように見えることがあります。 [3]
  • 四肢温存術後のコホートではリンパ浮腫の発生率が約28.8%(うち中等度以上が約9%)と報告され、腫瘍径が5cm超・深部腫瘍でリスクが高いとされています。 [3] リンパ浮腫は実質的に「水分重量の増加」をもたらすため、短期間の体重増加の主因になりえます。 [3]

2) ステロイドによる体水分・食欲変化

  • がん治療の支持療法で用いられる副腎皮質ステロイドは、短期的な副作用として「急速な体重増加」「下肢のむくみ」「食欲増加」を起こすことがあります。 [5]
  • ステロイドの長期使用では顔のむくみ(ムーンフェイス)や食欲亢進による体重増加が見られることがあります。 [4] この増加は水分貯留と摂取カロリー増加の両方が関与します。 [4] [5]

3) ホルモン療法の影響

  • 一部のがん治療で用いられるプロゲステロン系薬剤は、体重増加や浮腫(体液貯留)を副作用として起こすことがあります。 [6] [9] 短期間での体重増加は水分増加が中心であることが多いです。 [6] [10]

4) 活動量低下・食事変化

  • 化学療法や放射線治療に伴う疲労感の増大で活動量が落ち、消費カロリーが減ることで体脂肪が増えることがあります。 [11] [12]
  • 吐き気対策で炭水化物中心の食事が増える、甘い飲料の摂取増加なども体重増加に寄与しえます。 [11] [12]

頻度の目安

  • 軟部肉腫患者全体で「腫瘍そのものが原因の体重増加」は一般的ではありません。 [1] [2] むしろ進行例では体重減少がみられる傾向が報告されています。 [7]
  • 一方、リンパ浮腫は約28.8%(中等度以上は約9%)とされ、該当する症例では体重が増えたように見えます。 [3]
  • ステロイドやプロゲステロン薬の使用時には、短期間の体重増加や浮腫が「よくある副作用」として注意喚起されていますが、個々の用量・期間・体質でばらつきがあります。 [5] [4] [6] [10]
  • 化学療法や放射線治療中の体重変化は人により異なり、増加も減少も起こりうると案内されています。 [11] [12]

実務的な見分け方と対応

  • 急な体重増加+むくみ(足・手・顔)がある場合は、体水分貯留やリンパ浮腫、薬剤性の可能性が考えられます。 [5] [4] [3]
  • 片側の四肢だけが太く重い、皮膚の張り・だるさ・圧痕が残るなどはリンパ浮腫のサインです。 [3]
  • ステロイド使用中に急速な体重増加や呼吸困難、下肢の著明な腫れが出たら、早めの医療者相談が推奨されます。 [5]
  • 体重増加が脂肪か水分かを確かめるには、体組成計、むくみの観察、利尿薬の調整、塩分摂取の見直し、弾性着衣・リンパドレナージの併用が役立ちます。 [3]
  • 逆に食欲低下や筋力低下が続く場合は悪液質や栄養障害の可能性があり、早期の栄養介入や運動療法の検討が望まれます。 [7] 治療継続中でも栄養・運動の両面から体重・筋量を守る工夫が有効です。 [7]

まとめ

  • 軟部肉腫そのものによる体重増加は一般的ではなく、病勢進行では体重減少が目立つことが多いです。 [1] [2] [7]
  • 体重増加がみられる場合の多くは、治療関連の水分貯留(リンパ浮腫・薬剤性)や活動量低下による脂肪増加が主因です。 [3] [5] [4] [6] [11]
  • リンパ浮腫は四肢温存術後で約28.8%(中等度以上約9%)にみられ、体重増加の見かけ上の原因になりえます。 [3]
  • ステロイド・プロゲステロン薬では短期間の体重増加やむくみが知られており、症状が急速・顕著なときは医療者へ相談をおすすめします。 [5] [4] [6] [10]

参考データのハイライト表

項目ポイント推定頻度・傾向
腫瘍そのものの体重増加一般的ではない稀(むしろ減少が多い) [1] [2] [7]
病勢進行時の体重減少食欲低下・悪液質で減少進行例でしばしば観察 [1] [2] [7]
リンパ浮腫(四肢温存術後)水分貯留で体重増加に見える全体28.8%、中等度以上約9% [3]
ステロイドの副作用急速な体重増加・浮腫・食欲増加よくある短期副作用(個人差あり) [5] [4]
プロゲステロン薬の副作用体重増加・浮腫あり(用量・期間に依存) [6] [10]
化学療法・放射線治療活動量低下や食事変化で増減増える人も減る人もいる [11] [12]

もし最近、短期間で体重が増え、むくみやだるさを感じている場合は、治療内容や薬剤、患肢の状態を踏まえた評価が役立ちます。「脂肪増加」なのか「水分貯留」なのかを見分けることが、適切な対策につながります。 [3] [5] [4]

関連する質問

関連記事

出典

  1. 1.^abcdefSymptoms(stanfordhealthcare.org)
  2. 2.^abcdefSoft tissue sarcoma - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  3. 3.^abcdefghijklIncidence and Severity of Lymphoedema following Limb Salvage of Extremity Soft Tissue Sarcoma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghi국가암정보센터(cancer.go.kr)
  5. 5.^abcdefghij15-Acute short term effects from corticosteroids(eviq.org.au)
  6. 6.^abcdefg국가암정보센터(cancer.go.kr)
  7. 7.^abcdefghNutritional effects of surgery, radiation therapy, and adjuvant chemotherapy for soft tissue sarcomas.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^Symptoms(stanfordhealthcare.org)
  9. 9.^국가암정보센터(cancer.go.kr)
  10. 10.^abcdPatient information - Endometrial cancer recurrent - Medroxyprogesterone(eviq.org.au)
  11. 11.^abcdeNeoadjuvant Therapy for Breast Cancer: What It Is, How To Manage Side Effects, and Answers to Common Questions(mskcc.org)
  12. 12.^abcdTreatment for Advanced Breast Cancer(mskcc.org)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。