Medical illustration for PubMedの資料に基づく | 軟部肉腫の症状として動悸が生じることはありますか? - Persly Health Information
Persly 医療専門チームPersly 医療専門チーム
2026年2月15日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 軟部肉腫の症状として動悸が生じることはありますか?

要点:

軟部肉腫で動悸は一般的な初期症状ではありませんが、心臓転移や心膜病変、抗がん剤の心毒性、免疫療法による甲状腺異常、貧血などで生じることがあります。胸痛・失神・息切れを伴う動悸や治療中の新規心症状がある場合は、心電図や心エコー、血液検査による評価を早めに受けましょう。

軟部肉腫で動悸は起こるのか?医療的に考えられる可能性と注意点

結論として、軟部肉腫(Soft tissue sarcoma)そのものの「典型的な初期症状」として動悸が直接現れることは一般的ではありませんが、いくつかの状況では動悸が生じる可能性があります。具体的には、心臓への転移や心膜(心臓を包む膜)への浸潤、抗がん治療による副作用(心毒性や甲状腺機能異常、貧血)などが関与すると、動悸・不整脈・息切れなどの心症状が出ることがあります。 [1] [2]


典型的な症状の位置づけ

  • 軟部肉腫は初期には症状が乏しく、無痛性のしこり(腫瘤)として見つかることが多いです。 [1]
  • 進行しても、腫瘍が周囲組織(筋肉・神経・血管)を圧迫して痛みや呼吸困難を生じることはありますが、動悸自体が代表症状とされることは多くありません。 [2]

動悸が生じうる医学的シナリオ

1) 心臓への転移・心膜病変

  • 進行した軟部肉腫では、心筋や心膜への転移が起こり得て、心不全、不整脈、伝導障害、胸痛、突然死などの心症状をきたすことがあります。 [3]
  • 心臓転移は剖検シリーズで一定頻度認められ、不整脈や伝導障害が症状として報告されています。こうした不整脈は動悸として自覚されることがあります。 [3]

2) 化学療法(抗がん剤)の心毒性

  • 軟部肉腫で広く用いられるドキソルビシン(doxorubicin)は、用量依存的な心毒性を持ち、心不全や不整脈の原因になり得ます。これにより動悸、息切れ、浮腫などの症状が出ることがあります。 [4]

3) 免疫治療に伴う甲状腺機能異常

  • 免疫チェックポイント阻害薬(例:ニボルマブ)は、甲状腺機能亢進症(バセドウ様)を引き起こす場合があり、頻脈、不整脈、動悸、発汗過多、体重減少などの症状が出ることがあります。 [5] [6]
  • 甲状腺機能低下症でも代謝変化に伴う心拍異常の自覚があり得ますが、動悸は主に亢進症で目立ちます。 [5]

4) 貧血による代償性頻脈

  • 抗がん治療や腫瘍関連の出血・骨髄抑制があると貧血が生じ、組織への酸素供給低下を補うために心拍数が増加して動悸として感じることがあります。 [7]

どんなときに受診を急ぐべきか

  • 次のサインがある場合は、早めの循環器・腫瘍内科受診が望まれます。
    • 新たに始まった、もしくは悪化する動悸、失神・めまい、胸痛、安静でも続く息切れ。
    • 抗がん剤治療中で、体重増加や下肢のむくみ、夜間呼吸困難など心不全が疑われる症状。 [4]
    • 免疫治療中で、発汗過多、手指振戦、動悸、体重減少など甲状腺亢進を示唆する症状。 [5]
    • 治療中の著しい倦怠感、顔色不良、息切れなど貧血の兆候。 [7]

推奨される評価と検査

  • 症状に応じて、次のような検査が考慮されます。
    • 心電図(ECG):不整脈や伝導障害の確認。 [3]
    • 心エコー(超音波):心機能、心膜液、心内腫瘤の評価に有用で、心臓関与が疑われる場合に診断的価値が高いと報告されています。 [3]
    • 血液検査:甲状腺機能(TSH、FT4/FT3)、貧血(Hb、フェリチン)、心不全関連(BNP/NT‑proBNP)など。 [7] [5]
    • 必要に応じて心臓MRIやCT:腫瘤の性状評価や転移の精査。 [8]

まとめ:可能性の整理

  • 軟部肉腫の一般的な症状に動悸は含まれないことが多いものの、心臓転移・心膜病変、不整脈、抗がん剤心毒性、免疫治療に伴う甲状腺異常、貧血など、病状や治療の影響で動悸が起こることはあり得ます。 [1] [2] [3] [4] [5] [7]
  • そのため、動悸が新たに出現した、増悪した、また他の警戒症状(胸痛・失神・息切れ)を伴う場合は、原因の切り分けのための心臓評価と血液検査を検討する価値があります。 [3] [7] [5]

よくある原因の一覧

  • 腫瘍の心臓関与(転移、心膜浸潤):不整脈・心不全 → 動悸。 [3]
  • ドキソルビシンなどの心毒性:心機能低下・不整脈 → 動悸。 [4]
  • 免疫療法による甲状腺機能亢進:頻脈・不整脈 → 動悸。 [5] [6]
  • 治療関連や腫瘍による貧血:代償性頻脈 → 動悸。 [7]

ケアのポイント

  • 動悸の背景には複数の要因が重なることがあるため、自己判断で運動制限や内服調整を行うより、受診して原因の特定を目指すことが安全です。
  • 既に抗がん治療を受けている場合は、使用中の薬剤名と投与歴(累積用量を含む)を医療者に共有すると評価がスムーズになります。 [4]
  • 免疫治療中は、定期的な甲状腺機能のモニタリングが推奨されます。 [5]

専門外来への相談の目安

  • 動悸が持続し生活に支障がある、胸痛や失神を伴う、治療中に新規の心症状が出た場合は、 cardio-oncology(がん×循環器の専門)外来 のある施設への相談も選択肢です。 [9] [10]

ご自身の動悸がいつ頃から、どんな状況で強くなるか(安静時か運動時か、治療スケジュールとの関係など)を教えていただけますか?

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出典

  1. 1.^abcSymptoms(stanfordhealthcare.org)
  2. 2.^abcSoft Tissue Sarcoma(mskcc.org)
  3. 3.^abcdefgCardiac metastases from soft-tissue sarcomas.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcde연부조직 육종(Soft tissue sarcoma) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  5. 5.^abcdefghPatient information - Stomach or oesophageal cancer neoadjuvant and adjuvant - Nivolumab(eviq.org.au)
  6. 6.^abPatient information - Lung cancer neoadjuvant - Carboplatin pemetrexed and nivolumab(eviq.org.au)
  7. 7.^abcdefChemotherapy · Side Effects of Chemotherapy for Cancer Treatment | Medical Information | Catholic University Catholic Hematology Hospital(hematology.kr)
  8. 8.^Metastatic Ewing's sarcoma involving the right ventricle.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^Infiltrative cardiomyopathy and pericardial disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  10. 10.^Infiltrative cardiomyopathy and pericardial disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。