Medical illustration for PubMedの資料に基づく | 心不全で息切れ(呼吸困難)はなぜ起こり、悪化のサインや受診の目安は何ですか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 心不全で息切れ(呼吸困難)はなぜ起こり、悪化のサインや受診の目安は何ですか?

要点:

心不全の息切れは、心臓のポンプ機能低下により肺うっ血・肺水腫が生じて呼吸効率が低下し、運動時の代謝異常で呼吸中枢が過剰刺激されることで起こります。悪化サインは短期間の体重増加、むくみ、労作時息切れの増悪や新しい咳、横になると苦しい・夜間発作性呼吸困難などです。体重1~1.5kg/一晩または2kg/週の増加は早めの受診を、安静時の強い呼吸困難や胸痛持続・低酸素は救急受診の目安です。

心不全で息切れが起こる理由と、悪化サイン・受診の目安

心不全では心臓のポンプ力が弱まり、肺や全身に水分(体液)がたまりやすくなるため、息切れ(呼吸困難)が起こりやすくなります。特に階段や坂での労作時に息苦しさを感じることが多く、進行すると横になると苦しくなる、夜間に急に息が詰まって目が覚める、といった症状が現れます。これは、肺の血管うっ血で肺が「硬く」なり、気道抵抗が増えて呼吸の仕事量が増えること、さらに運動時に筋代謝が乱れて呼吸中枢が過度に刺激されることが重なって起こるためです。 [1] [2]


息切れが起こるメカニズム

  • 肺うっ血と肺水腫
    左心室の充満圧が上がると、肺の細気管支や肺胞の毛細血管がうっ血し、間質性浮腫が生じて肺の伸びやすさ(肺コンプライアンス)が低下します。結果として、同じ換気量を得るために呼吸筋がより大きな仕事を強いられ、息切れが生じます。 [2]

  • 気道抵抗の上昇と無益換気の増加
    充血した気管支血管の圧迫で小気道抵抗が増し、さらに灌流の乏しい肺領域の換気が増えて「生理的死腔」が拡大し、効率の悪い呼吸が増えます。これも呼吸困難感を強めます。 [2]

  • 運動時の代謝異常による呼吸中枢刺激
    骨格筋が早期に嫌気代謝へ傾き、乳酸や二酸化炭素の産生が増えて脳幹の呼吸中枢が過度に刺激され、「息が足りない」感覚が増幅されます。 [2]

  • 主観的な不快感としての呼吸困難
    呼吸困難は「呼吸の不快な感覚」で、化学的刺激(酸素・二酸化炭素変化)だけでなく、呼吸筋活動や中枢からの呼吸指令増加が関与します。臨床では運動を刺激にした評価スケール(ボルグスケールなど)が有用です。 [3]


よくみられる症状の特徴

  • 労作時の息切れ(階段・坂で苦しい)や、横になると苦しくなる(起座呼吸)は初期からみられる代表的な症状です。 [1]
  • 足首・下腿・腹部のむくみや体重増加は体液貯留のサインであり、心不全の悪化を示唆します。 [1]
  • 夜間の頻尿、倦怠感、咳、食欲低下や吐き気なども伴うことがあります。 [1]

心不全悪化のサイン(注意すべき兆候)

  • 短期間の体重増加(例:一晩で約1~1.5kg、1週間で約2kg以上)は体液の急増を示し、心不全の悪化の警告です。 [4]
  • 新しい咳や労作時の息切れの増悪、足のむくみ増加は、受診や薬調整が必要になることが多いサインです。 [4]
  • 安静時にも息苦しい、夜間に突然息が詰まる、横になると息が苦しいといった変化は重症化の可能性があります。 [1]
  • 薬を飲んでいても、急な体重増加、運動と無関係な呼吸困難、四肢や腹部のむくみや痛み、辛い乾いた咳の頻発があれば、早めの受診が重要です。 [5]

受診の目安(いつ受診すべきか)

  • 黄色ゾーン(警告) できるだけ早く主治医へ連絡
    次のような場合は、電話相談や外来受診を検討し、指示に従って食塩・水分・薬の調整を行います。

    • 一晩で約1~1.5kg、または1週間で約2kg超の体重増加。 [4]
    • 労作時の息切れがいつもより強い、新しい咳、足のむくみ増加。 [4]
  • 赤色ゾーン(危険) 救急受診を推奨
    次のような場合は、救急外来へ直行を検討します。

    • 安静時にも強い呼吸困難、会話が難しい、唇が紫色っぽいなど低酸素の兆候。低い酸素飽和度(SpO2<90%)は重篤化のサインで、入院や酸素・薬物治療が必要になることがあります。 [6]
    • 胸痛・胸部不快感が15分以上持続し、休息やニトログリセリンで改善しない場合(心筋虚血の可能性)。 [7]
    • 急速なむくみの増悪や腹部膨満による強い不快感/痛み。 [5]
    • 血圧の著しい低下やぐったりする、意識がもうろうとする。入院後の死亡・再入院リスクとも関連する重症度所見です。 [8] [6]

自宅でできる日々のモニタリング

  • 毎日の体重測定:朝の排尿後、同じ条件で記録し、急な増加に注意。 [9]
  • 血圧・脈拍・脈の規則性のチェックを習慣化する。異常があれば早めに相談。 [9]
  • 塩分・水分の管理:指示範囲内に調整し、むくみや息切れの悪化を防ぐ。 [9]
  • 記録の活用:体重・症状・服薬の記録は、医療者が早期調整を行ううえで役立ちます。 [9]

治療と入院が必要になる場合の対応

  • 症状の「ぶり返し」や急性増悪では、利尿薬や血管拡張薬の早期導入が症状の改善に役立つことがあります。 [10]
  • 入院が必要な場合、酸素投与や静注薬による除水・循環の改善、長期予後を高めるACE阻害薬、β遮断薬、アルドステロン拮抗薬などの内服最適化が行われます。 [11] [12] [10]
  • 退院後早期は再入院や死亡リスクが高いため、退院直後の症状悪化や体重増加、腎機能の変化に注意し、指示どおりの外来フォローを守りましょう。 [13]

よくある疑問への簡潔な回答

  • なぜ横になると息苦しくなるの?
    横臥で肺全体に水分が広がり、使える肺容量が減るためです。座位では肺の下方に水分が偏り、呼吸がやや楽になります。 [14]

  • 息切れが強い日は運動してもいい?
    息切れの増悪や体重急増がある日は無理をせず、休息と連絡を優先します。必要に応じて薬や水分・塩分の調整が求められます。 [4] [5]


まとめ

心不全の息切れは、肺うっ血・肺水腫による呼吸の非効率化と、筋代謝の乱れによる呼吸中枢の過剰刺激が重なって生じます。 [2] 悪化のサインとしては、短期間の体重増加、むくみの増加、新しい咳や労作時息切れの増悪、安静時の呼吸困難などが重要です。 [1] [4] これらを見逃さず、黄色ゾーンでは早めの連絡・外来、赤色ゾーンでは救急受診を目安にすると、重症化を防ぐことにつながります。 [4] [6] 日々の体重・血圧・脈拍の記録は早期対応に役立つため、自宅モニタリングを継続しましょう。 [9]

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出典

  1. 1.^abcdefHeart Failure(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcde[Mechanisms of exertion dyspnea in cardiac insufficiency].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^Dyspnea.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefgWhat is a heart failure action plan?(mayoclinic.org)
  5. 5.^abc심부전 Q&A, 치료 중 증상 변화 | 건강TV | 건강정보(amc.seoul.kr)
  6. 6.^abcRapid clinical assessment of patients with acute heart failure: first blood pressure and oxygen saturation--is that all we need?(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^심부전의 증상별 대처법 | 건강TV | 건강정보(amc.seoul.kr)
  8. 8.^[Definition of acute heart failure].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcdeHeart failure - home monitoring: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  10. 10.^abPharmacotherapy for acute heart failure syndromes.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^Heart failure - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
  12. 12.^Heart failure: clinical problem and management issues.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  13. 13.^Acute heart failure syndromes.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  14. 14.^병든 심장에 새 힘 불어넣을 최선의 길 찾는 이찬주 교수 | 세브란스병원(health.severance.healthcare)

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