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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 心不全ではなぜ疲労が生じ、どのような特徴や他の症状(息切れ・浮腫など)との関連がみられますか?

要点:

心不全では心拍出低下により全身の血流・酸素供給が不足し、骨格筋の血流障害や代謝異常、肺の換気–血流不均衡などの末梢要因も加わって疲労が生じます。疲労は休息後も抜けにくく、軽い運動で持久力低下を感じやすく、息切れや浮腫と相互に悪化します。治療は体液管理・心機能改善に加え、運動療法や睡眠・メンタルケア、栄養や貧血評価など多面的介入が重要です。

心不全では、心臓の「ポンプ力」が落ちて全身への血流と酸素供給が不足するため、活動時にエネルギーが足りず疲労が生じます。 [1] さらに進行すると、休息後でも回復しにくいだるさ(倦怠感)や力が入らない感じが続き、生活の質を下げやすいのが特徴です。 [1]


疲労が生じる仕組み

  • 末梢(骨格筋)の血流不足と代謝変化
    心不全では運動時に筋肉へ送れる血流が不足し、早い段階で「酸素を使わない代謝(嫌気性代謝)」へ切り替わるため乳酸がたまり、足が重い・すぐ疲れるといった症状が強く出ます。 [2] この背景には、骨格筋の血管拡張の障害や筋肉内の「酸素を使う酵素」やミトコンドリア機能の低下が関与します。 [2]
    心不全の慢性期では、骨格筋の“筋力低下・使わないことによる筋デコンディショニング”も疲労の大きな原因になり、回復にも時間がかかります。 [3]

  • 肺のガス交換の非効率(換気–血流不均衡)
    肺での換気と血流のバランスが崩れて「実質的な無効換気(死腔増加)」が増え、同じ運動量でも呼吸が苦しく、エネルギー消費が増えることで疲労が悪化します。 [4]

  • 中枢循環(心拍出)の低下だけが原因ではない
    慢性心不全では、利尿薬で体液過剰が是正されても疲労や息切れが残ることがあり、症状は心臓のポンプ指標だけでは説明しきれません。 [5] 末梢血流・骨格筋代謝・肺の要因が複合的に関与するため、治療も心臓以外の要因へのアプローチが重要になります。 [5]


疲労の特徴

  • 休んでも抜けにくいだるさ
    心不全の疲労は「休息後でも弱さや倦怠感が残る」ことがあり、日常的な動作(階段・着替え・家事)で増悪しやすいのが特徴です。 [1]

  • 活動耐容能の低下(運動するとすぐバテる)
    早期に嫌気性代謝へ移行するため、軽い運動でも持久力が落ちる・足が重いと感じやすく、回復にも時間を要します。 [2] 再訓練(適切な運動療法)で改善が期待できますが、効果は遅れて現れることが多いです。 [3]

  • 心理的要因との結びつき
    心不全では疲労は「抑うつ感・睡眠困難・集中力低下」と組み合わさって現れることがあり、これらが強い人ほど健康状態が悪化し、再入院リスクが高い傾向が示されています。 [6] 気分の落ち込みや不眠の対処も疲労軽減に役立ちます。 [6]


息切れ・浮腫との関連

  • 息切れ(呼吸困難)との共通メカニズム
    心不全の代表症状は息切れで、初期は運動時に、進行すると安静時や夜間にも出現します。 [7] 肺のうっ血や換気–血流不均衡が呼吸の効率を下げ、同時に疲労も増悪させます。 [7] [4]

  • 浮腫(むくみ)・体重増加
    体液貯留により足首や下腿がむくみ、体重が増えます。 [7] むくみがあると筋肉が重だるく感じられ、活動性が落ちてさらに筋デコンディショニングが進み、疲労が悪循環します。 [7]
    利尿薬などで体液過剰が改善されると息切れは軽くなることが多いですが、疲労は末梢要因のため残ることがあります。 [4] [5]

  • 夜間症状・睡眠との関係
    平らに寝ると息苦しい、夜間頻尿などの症状が出ると、睡眠が分断され翌日の疲労が悪化します。 [1] [7]


左心不全・右心不全での違い(傾向)

  • 左心機能低下
    肺うっ血による息切れ・睡眠時の呼吸困難が目立ち、全身への酸素供給不足から疲労・全身のだるさが強くなります。 [8]

  • 右心機能低下
    浮腫・腹水など体液貯留が前景に立ち、身体の重さや消化不良が疲労感を増幅させます。 [8]


実臨床でのポイント

  • 症状は多因子性
    心不全の疲労と息切れは、心臓・肺・血管・骨格筋・ホルモン・心理の要素が絡み合って生じます。 [9] 心機能の数値が安定していても疲労が続くことは珍しくありません。 [5]

  • 治療アプローチの幅
    体液過剰の是正や心機能の改善だけでなく、運動療法(再訓練)・栄養管理・貧血や睡眠の評価・抑うつへの介入が、疲労の緩和と活動性の向上に役立ちます。 [3] [6]


代表的な症状の整理表

症状よくみられる場面・特徴主な背景要因疲労との関係
疲労・倦怠感休息後も続くだるさ、家事や階段で増悪骨格筋血流低下・代謝異常・筋デコンディショニング、心理要因息切れやむくみで活動低下→筋力低下→疲労悪化の悪循環 [2] [3] [6]
息切れ運動時→夜間・安静時へ進行肺うっ血、換気–血流不均衡、呼吸パターン変化呼吸の効率低下でエネルギー消費増加→疲労増悪 [7] [4]
浮腫・体重増加足首・下腿のむくみ、腹部膨満体液貯留(ナトリウム・水分)、静脈圧上昇身体が重く動きにくい→活動量低下→筋力低下と疲労増加 [7]
睡眠障害仰臥位で息苦しい、夜間頻尿肺うっ血、体液移動睡眠不足で翌日の疲労増加 [1] [7]

まとめ

  • 心不全の疲労は、単なる「心臓の弱り」だけではなく、骨格筋・肺・血管・心理の複合要因から生じる、休んでも抜けにくいだるさが特徴です。 [5] [2]
  • 息切れや浮腫は疲労と相互に悪化し合うため、体液管理・心機能治療に加えて、運動療法や睡眠・メンタルケアまで含めた包括的な対応が重要です。 [4] [3] [6]

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出典

  1. 1.^abcdeHeart Failure(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcdeExercise intolerance in patients with chronic heart failure.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcde[The syndrome of "muscle deconditioning" in chronic cardiac insufficiency].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdeThe origin of symptoms in patients with chronic heart failure.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdeCauses of symptoms in chronic congestive heart failure and implications for treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcdeVital exhaustion in chronic heart failure: symptom profiles and clinical outcome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdefgh심부전 [Heart failure] | 건강정보(health.severance.healthcare)
  8. 8.^ab심부전 [Heart failure] | 건강정보(health.severance.healthcare)
  9. 9.^Exercise intolerance in chronic heart failure: mechanisms and therapies. Part II.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

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