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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 線維筋痛症では息切れや呼吸困難が症状として現れることはありますか?

要点:

線維筋痛症では、肺機能検査が正常でも運動時の息苦しさや呼吸困難感がみられることがあり、呼吸筋(特に吸気筋)の筋力低下や自律神経の不調、体力低下・不安などが関与すると考えられます。対処は呼吸法や段階的な有酸素運動、呼吸筋トレーニング、ストレス管理を基本とし、重症化・急な悪化や胸痛・発熱などの警戒症状がある場合は心肺疾患の除外を含め医療機関で評価を受けましょう。

息切れ(呼吸困難感)は、線維筋痛症でみられることがあります。多くの方で肺機能検査は正常でも、運動時の息苦しさや深呼吸がしづらい感覚を訴えることがあり、筋力低下や自律神経の不調、体力低下など複数の要因が関与すると考えられています。 [1] 線維筋痛症の方では呼吸筋(とくに吸気を担う横隔膜など)の最大筋力が低下しているという報告があり、これが息切れの一因になり得ます。 [2]


線維筋痛症と息切れの関係

  • 頻度と特徴
    重症の線維筋痛症の女性を対象にした研究では、約8割以上で息切れ(WHOの重症度スケール)が報告され、運動能力の低下と相関していました。 [1] 息切れの程度は安静時の呼吸数増加や最大吸気圧の低下と関連しましたが、スパイロメトリー(一般的な肺機能指標)は正常なことが多いと示されています。 [1]

  • 呼吸筋の関与
    最大吸気・呼気圧が健常者より有意に低いというデータがあり、呼吸筋の機能低下(筋力低下)が息切れ感に寄与している可能性が示唆されています。 [2] これは慢性的な痛みによる活動量低下や、姿勢・胸郭の可動性低下なども重なって起こりやすいと考えられます。 [1] [2]

  • 自律神経の不調
    線維筋痛症では、起立性の不調や発汗・睡眠・消化の症状など、自律神経の多面的な症状がみられやすいことが示されています。 [3] 自律神経のバランス変化(交感神経優位など)は心拍・血圧・呼吸感覚に影響し、息苦しさの自覚を強めることがあります。 [4] [3]

  • 一般的な症状との重なり
    線維筋痛症は痛み・こわばり・不眠・思考のもやもや(認知困難)などが中心の病態で、息切れは“典型症状”ではないものの、めまい・ドライアイ・過敏性腸症候群などの“非痛み症状”と同様に個人差をもって現れることがあります。 [5] [6] [7] [8]


息切れがあるときに疑うべきこと

  • 心肺疾患の除外が大切
    線維筋痛症に伴う息切れは、心臓や肺の検査で異常が出ないことが多いですが、胸痛、夜間の呼吸困難、咳・痰、発熱、下肢のむくみなどがある場合は、心不全・肺塞栓・肺炎・喘息などの可能性評価が必要です。慢性息切れの診断では、肺機能検査・呼吸筋力測定・心肺運動負荷試験が役立つとされています。 [9]

  • 体力低下・不安の影響
    加齢や運動不足は息切れの重症度を高めます。 [9] 不安(不安症)や過呼吸の傾向があると、呼吸の速さや胸部の“締めつけ感”が増して息苦しさを強めることがあります。 [9]


どう対処・管理するか

  • 呼吸法の練習
    口すぼめ呼吸、横隔膜呼吸、ペース呼吸(歩行や動作に呼吸を合わせる)などの呼吸テクニックは、息切れの自覚を減らすのに役立つことがあります。 [10] [11] 呼吸法は不安の軽減にもつながり、運動時の持久性を高めます。 [10]

  • 運動療法(段階的に)
    低強度の有酸素運動(ウォーキング、エアロバイク)、柔軟・姿勢改善、軽い筋力トレーニングを少しずつ段階的に行うことで、体力と呼吸筋の効率が向上し、息切れを減らせる可能性があります。 [9] 運動は慢性疾患での息切れ管理に有効とされます。 [10]

  • 呼吸筋トレーニング
    吸気筋トレーニング(IMT)など、呼吸筋の専用トレーニングは、息切れの軽減に寄与する可能性があります。 [9] 痛みに配慮しながら、理学療法士の指導のもとで行うと安全です。 [9]

  • リラクゼーションとストレス管理
    深呼吸、漸進的筋弛緩、マインドフルネス、ヨガ・太極拳などの心身アプローチは、痛み・睡眠・不安の改善を通じて息切れの感じ方を和らげることが期待できます。 [12] [13] ストレスをためない工夫(ペース配分、こまめな休息)も有用です。 [12] [14]

  • 補助的な非薬物介入
    携帯用ハンディファンによる顔面冷却、活動時のペーシングと姿勢調整、必要に応じた歩行補助具など、非薬物的な工夫に効果のエビデンスがあります。 [10] 専門の“息切れ外来”やリハビリサービスでは、これらを組み合わせて指導します。 [10]

  • 温泉療法・水治療(補助的)
    線維筋痛症のプログラムに温泉療法(バルネオセラピー)を組み合わせると、痛みや抑うつだけでなく、息切れスケールや一部の肺機能指標の改善が持続したとの報告があります。 [15] ただし、適応や安全性の確認のうえで実施してください。 [15]

  • 薬物療法は補助的
    線維筋痛症の治療薬(鎮痛薬、睡眠改善薬、神経調整薬など)は痛みや睡眠の改善に役立ちますが、息切れそのものを直接改善する薬は限られ、まずは非薬物療法を軸にします。 [16] 不安が強い場合は心理療法(認知行動療法など)と併用すると呼吸症状の自覚が軽くなることがあります。 [17] [14]


受診の目安

  • 次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
    1. 新しく強い息切れが出た、急に悪化した、安静でも続く。 [9]
    2. 胸痛、失神、チアノーゼ(唇が青い)、発熱や血痰を伴う。 [9]
    3. 下肢腫脹・痛みがあり、息切れが突然出た(肺塞栓のサインの可能性)。 [9]
    4. 既往に心肺疾患があり、症状変化がある。 [9]

まとめ

  • 線維筋痛症では、息切れ(呼吸困難感)がみられることがあり、多くは心肺の器質的異常では説明できず、呼吸筋の筋力低下・自律神経の不調・体力低下・不安などの複合要因が関わると考えられます。 [1] [2] [3]
  • 管理は、呼吸法・運動療法・呼吸筋トレーニング・ストレス管理などの非薬物的アプローチを基盤とし、必要に応じて専門家の評価(肺機能・呼吸筋力・心肺運動負荷試験)を受けるのが良いでしょう。 [9] [10] [11]
  • 重い症状や急な悪化、警戒すべき随伴症状がある場合は、ほかの疾患を除外するための受診が重要です。 [9]

今の息切れはいつ頃から、どんな場面(歩行時・階段・安静時など)で強く感じますか?

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出典

  1. 1.^abcdeDyspnoea in chronic primary fibromyalgia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdRespiratory function in chronic primary fibromyalgia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcAutonomic dysfunction in fibromyalgia assessed by the Composite Autonomic Symptoms Scale (COMPASS).(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^Complex adaptive systems allostasis in fibromyalgia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^Fibromyalgia(cdc.gov)
  6. 6.^Fibromyalgia(cdc.gov)
  7. 7.^Fibromyalgia(medlineplus.gov)
  8. 8.^Fibromyalgia(mskcc.org)
  9. 9.^abcdefghijklDyspnea: diagnosis and management.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  10. 10.^abcdefNonpharmacological interventions for breathlessness.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^abNonpharmacological management of dyspnea.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  12. 12.^abFibromyalgia: Combination of treatments often required-Fibromyalgia - Diagnosis & treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  13. 13.^Fibromyalgia(medlineplus.gov)
  14. 14.^abFibromyalgia(medlineplus.gov)
  15. 15.^abThe efficacy of balneotherapy and physical modalities on the pulmonary system of patients with fibromyalgia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  16. 16.^Fibromyalgia: Combination of treatments often required-Fibromyalgia - Diagnosis & treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  17. 17.^Fibromyalgia: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。