Medical illustration for PubMedの資料に基づく | 線維筋痛症では、手足のしびれは一般的な症状ですか?その原因や生じる仕組みは何ですか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 線維筋痛症では、手足のしびれは一般的な症状ですか?その原因や生じる仕組みは何ですか?

要点:

線維筋痛症では、手足のしびれやチクチクなどの異常感覚は比較的よくみられます。主な原因は中枢性感作による感覚の過敏化や神経障害性疼痛に似た特性で、末梢神経検査は多くは正常です。糖尿病などの末梢神経障害との鑑別を踏まえ、自己管理・薬物療法・CBTなどで対処します。

線維筋痛症の「しびれ」:どれくらい一般的か、原因と仕組み

線維筋痛症では、手足のしびれ(しびれ感・チクチク・ピリピリなどの異常感覚)は比較的よくみられる症状です。 [1] ある後方視研究では、線維筋痛症の方の約84%が初診時に「しびれ」や「チクチク感」を訴えたと報告されており、客観的な神経伝導検査は多くで正常でした。 [2] このように、しびれは日常的に経験される一方で、末梢神経の明らかな障害がみられないことも多いという特徴があります。 [2]


しびれが起こる主な仕組み

  • 中枢性感作(痛み処理の過敏化)
    線維筋痛症では、脳や脊髄で痛みや感覚の信号を過敏に処理する状態が生じます。 [3] これにより、本来痛みを感じない刺激でも痛みやチクチク感として感じやすくなり、しびれに近い「異常感覚」が出やすくなります。 [4] また、痛みを抑えるシステム(拡散性侵害抑制制御:DNIC)が弱まっていることが示唆され、感覚が増幅されます。 [4]

  • 神経障害様の痛み特性
    線維筋痛症の痛みは、臨床的・生理学的に神経障害性疼痛に似た特徴(アロディニア=非痛刺激で痛み、灼熱感、刺すような感覚など)を示すことがあります。 [5] これらの特性は、しびれやピリピリ感の自覚症状として現れ、圧痛点の数や痛み閾値の低下とも関連します。 [5]

  • 末梢神経の障害がないケースが多い
    多くの方で筋電図(EMG)や神経伝導検査は正常で、末梢神経炎や糖尿病性ニューロパチーのような明確な原因が見つからないことがよくあります。 [2] そのため、しびれは中枢の痛み処理の変化による機能的な感覚異常として説明されることが少なくありません。 [4]


どれくらい一般的か:研究と臨床での見え方

  • 線維筋痛症の解説でも、しびれ(腕や脚のしびれ・ピリピリ)や光・音・温度への過敏などの感覚症状が併発しやすいことが記載されています。 [1]
  • 後方視研究では、84%がしびれ・チクチク感を訴え、長期フォローでもほとんどが症状を持続していました。 [2]
  • 線維筋痛症は広範な痛みと過敏化が中心ですが、疲労、睡眠障害、認知障害などに加えて、異常感覚(しびれや灼熱感)がしばしば同時にみられます。 [4]

しびれと他の病気の見分け方

  • 線維筋痛症のしびれは、左右両側性で上肢・下肢に広く分布することが多く、神経の一本が障害されたような明確な分布に一致しない傾向があります。 [2]
  • 一方で、糖尿病性ニューロパチー、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏、薬剤性ニューロパチーなど末梢神経の障害によるしびれは原因が特定できることがあります。 [6] 線維筋痛症の方でもこれらが合併する可能性はゼロではないため、臨床では必要に応じて血液検査や神経伝導検査が検討されます。 [2]

症状の特徴:どんなしびれが多い?

  • 「ピリピリ」「チクチク」「灼熱感」「うずくような痛み」など、神経障害性疼痛に似た語彙で表現されることが多いです。 [5]
  • 症状は睡眠不足、寒冷、ストレスで悪化しやすく、体の一部に始まって時間とともに広がることもあります。 [7]
  • 痛みやしびれは日によって強さが変動し、天候や活動量の影響を受けることがあります。 [7]

対処法・治療の考え方

  • 自己管理(セルフケア)
    睡眠の質を高める工夫、適度な有酸素運動とストレッチ、ペース配分(ペーシング)、ストレス軽減はしびれや痛みの過敏化を緩和します。 [4] 寒冷で悪化する方は保温も有効です。 [7]

  • 薬物療法
    痛みの過敏化に関与する神経伝達を調整する薬(例:三環系抗うつ薬、SNRI(デュロキセチン、ミルナシプラン)、α2-δリガンド(ガバペンチン、プレガバリン))は、痛みおよび異常感覚の軽減に役立つ場合があります。 [4] 症状や副作用、合併症に応じて医療者と相談の上で選択します。 [4]

  • 非薬物療法
    認知行動療法(CBT)は痛みの認識と対処スキルを高め、中枢性感作に伴う不快感の悪循環を断つ助けとなります。 [4] 継続的な運動療法や教育介入を含む多職種アプローチが推奨されます。 [4]

  • 検査の使い方
    しびれの背景に末梢神経障害が疑われる場合のみ、神経伝導検査や筋電図を「慎重に」選択するのが適切です。 [2] 線維筋痛症では多くが正常であるため、過度な検査は負担につながる可能性があります。 [2]


症状比較の早見表

項目線維筋痛症のしびれ末梢神経障害のしびれ
分布両側性で広範、部位が明確でないことが多い。 [2]末梢神経の支配域に一致(手袋・靴下型など)。 [6]
検査神経伝導・EMGは多くが正常。 [2]伝導速度低下・EMG異常がみられることがある。 [6]
伴う症状広範痛、過敏化、睡眠障害、疲労。 [4] [1]糖尿病、甲状腺異常、栄養欠乏、薬剤性などの背景疾患。 [6]
増悪因子睡眠不足、寒冷、ストレス。 [7]高血糖、栄養不足、薬剤曝露、毒性。 [6]
治療の柱自己管理+中枢感作を標的とした薬物・非薬物療法。 [4]原因疾患の是正+神経障害性疼痛治療。 [6]

まとめ

線維筋痛症では、手足のしびれやチクチク感はよく見られる症状で、主に中枢の痛み処理の過敏化(中枢性感作)や神経障害性痛に似た感覚処理の変化によって生じると考えられています。 [2] [4] 多くの場合、末梢神経の検査は正常であり、機能的な感覚増幅が中心です。 [2] 一方で、糖尿病などの末梢神経障害が隠れていることもあるため、症状の分布や背景疾患を踏まえ、必要に応じて検査を選ぶ「慎重さ」が大切です。 [6] [2]


しびれが左右同時に広がっていたり、睡眠不足やストレスで悪化するなど、ここで挙げた特徴に当てはまる部分はありますか?

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出典

  1. 1.^abcFibromyalgia(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcdefghijklmSymptoms mimicking neurologic disorders in fibromyalgia syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^Fibromyalgia(medlineplus.gov)
  4. 4.^abcdefghijklFibromyalgia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcSelf-reported somatosensory symptoms of neuropathic pain in fibromyalgia and chronic widespread pain correlate with tender point count and pressure-pain thresholds.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcdefg영남대학교(yumc.ac.kr)
  7. 7.^abcdFibromyalgia(mskcc.org)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。