Medical illustration for 米国NIHの資料に基づく | 線維筋痛症に伴う吐き気はどれくらいの頻度で起こり、原因として何が考えられますか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | 線維筋痛症に伴う吐き気はどれくらいの頻度で起こり、原因として何が考えられますか?

要点:

線維筋痛症での吐き気の正確な頻度は統一データが少ないものの、消化器症状の一部として一定数に見られ、特にIBS合併が関与することがあります。原因としては中枢感作や腸‐脳軸の乱れ、SIBO、食事成分への感受性、片頭痛・ストレスなど複合要因が考えられます。強い・持続する吐き気や警戒サインがある場合は他疾患も含めて医療機関で評価が推奨されます。

線維筋痛症で吐き気が起こる頻度と原因は、はっきりと一律に決められているわけではありませんが、消化器症状(上腹部不快感、腹痛、膨満感、便通異常など)がしばしば併発し、その一部として吐き気を訴える方も少なくないと考えられます。 [1] 消化器症状は線維筋痛症の症状スペクトラムの一部として報告され、特に過敏性腸症候群(IBS)の合併が多く、これが吐き気・胃部不快感などの上部消化症状につながることがあります。 [2] 吐き気の正確な「割合」を示す公的な統一データは限られますが、線維筋痛症は世界人口の約2~8%にみられ、その中で消化器症状を報告する方が一定数存在します。 [3]

吐き気はどれくらい起こる?

  • 線維筋痛症は「全身痛」「倦怠感」「睡眠障害」などが中心ですが、腹痛や消化器の不調(IBSを含む)を伴う人が少なくありません。 [1]
  • 研究レビューでは、線維筋痛症の方にIBSが高率に合併し、これに伴って上腹部不快感や消化不良感(ディスペプシア)、吐き気などの消化器症状が頻発することが指摘されています。 [2]
  • ただし、吐き気の厳密な有病率(%)は研究間でばらつきがあり、統一値は示されていません。 [2]
  • 線維筋痛症自体は人口の2~8%にみられ、診断が難しいため過少診断もあります。 [3]

吐き気の主な背景・原因候補

吐き気は単一の原因ではなく、いくつかの要因が重なって生じることが考えられます。以下は医学的に提唱されている可能性です。

  • 神経系の痛み処理の異常(中枢感作)
    線維筋痛症では、痛みの信号が脳で過度に増幅される「中枢感作」が関与します。 [4] こうした中枢神経のバランス異常は、痛みだけでなく自律神経機能や内臓感覚の過敏さにも波及し、吐き気や胃のむかつきといった症状につながる可能性があります。 [4] [2]

  • 腸‐脳相関の乱れとIBS合併
    腸と脳が相互に影響し合う「腸‐脳軸」の乱れが、IBSを介して上部消化症状(吐き気、膨満感、ディスペプシア)を引き起こすことがあります。 [2] 線維筋痛症ではIBSの合併がしばしば認められ、症状が重なりやすいとされています。 [2]

  • 小腸内細菌増殖(SIBO)や潜在的腸管感染
    一部研究は、小腸細菌増殖やサブクリニカルな腸感染(例:ジアルジア症)が消化器症状の背景になりうると仮説を提示しています。 [2] これらは吐き気やガス、腹部不快感を悪化させる場合があります。 [2]

  • 食事成分への感受性
    グルテン、乳糖、FODMAPsなど、特定の食事成分に対する感受性が吐き気や膨満感を誘発することがあります。 [2] 個々の耐性には差があり、食事日誌での関連確認が役立つ場合があります。 [2]

  • 併存症・誘因(偏頭痛、ストレスなど)
    線維筋痛症では片頭痛や不安・うつが併存しやすく、これらが自律神経の乱れや悪心を招くことがあります。 [5] また、ストレスや外傷、罹患後などが線維筋痛症の発症・増悪の引き金となり、症状全体(吐き気含む)を悪化させることがあります。 [6]

受診の目安とチェックポイント

  • 吐き気が数日以上続く、体重減少、激しい腹痛、吐血・黒色便、発熱、持続する嘔吐や脱水を伴う場合は、早めの受診が勧められます。
  • 線維筋痛症に伴う可能性のほか、薬剤性(鎮痛薬、抗うつ薬など)、消化性潰瘍、胆道系疾患、めまい・片頭痛関連など他の原因も考慮して評価するのが一般的です。
  • 診断は症状の聴取、身体診察、必要に応じた血液・画像検査や消化器評価、IBSやSIBOの評価を組み合わせて検討されます。 [2]

対処法のヒント

  • 生活・セルフケア

    • 少量頻回の食事、脂っこい・辛い・アルコールの制限、十分な水分がおすすめです。
    • ストレス管理(睡眠衛生、軽い有酸素運動、リラクゼーション)は吐き気や疼痛の双方に良い影響が期待できます。 [6]
    • 食事日誌で特定食品と症状の関連を確認し、必要に応じて乳糖制限や低FODMAP食の試行を検討します(専門職の指導が望ましい)。 [2]
  • 医療的アプローチ

    • 背景にIBSが疑われる場合は、食事指導、整腸薬、場合により低用量三環系抗うつ薬などが用いられることがあります。 [2]
    • SIBOが疑わしければ、呼気試験などの評価や、必要に応じた治療が検討されます。 [2]
    • 線維筋痛症の中枢感作に対する薬剤(例:一部の神経調整薬)や、睡眠・痛みの包括的管理が吐き気を含む全体症状の改善に寄与する場合があります。 [4]
    • 片頭痛持ちであれば、適切な片頭痛治療が悪心・嘔吐の軽減に役立つことがあります。 [5]

まとめ

  • 吐き気は線維筋痛症の中核症状ではないものの、消化器症状の一部として一定数にみられます。 [1]
  • IBSなどの消化管機能異常、腸‐脳軸の乱れ、中枢感作、自律神経の不均衡、食事感受性、SIBOや軽微な腸感染、併存する偏頭痛・ストレスなど、複数の要因が重なって起こることが考えられます。 [2] [4] [6] [5]
  • 症状が続く・強い場合や「警戒サイン」があるときは、他の原因も含め医療機関で評価を受けることが大切です。

ご自身の吐き気がいつ、どんなきっかけで強くなるか(食事、ストレス、痛み、睡眠不足など)をメモしておくと、診療での原因整理と対策に役立ちます。

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出典

  1. 1.^abcFibromyalgia(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcdefghijklmnoAn insight into the gastrointestinal component of fibromyalgia: clinical manifestations and potential underlying mechanisms.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abFibromyalgia: MedlinePlus Genetics(medlineplus.gov)
  4. 4.^abcdThe science of fibromyalgia.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcFibromyalgia(medlineplus.gov)
  6. 6.^abcFibromyalgia(cdc.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。