
WHOの資料に基づく | トラマドールは性欲減退や勃起不全などの性機能障害を引き起こすことがありますか?
要点:
トラマドールは長期使用で性欲低下や勃起不全などの性機能障害を引き起こす可能性があります。オピオイドによるHPG軸の抑制、プロラクチン変動、セロトニン作用が関与すると考えられます。症状が出た場合は用量・併用薬の見直しやホルモン検査を検討しましょう。
要点まとめ
トラマドールはオピオイド系の鎮痛薬で、長期的な使用により性欲の低下(リビドー低下)や勃起不全などの性機能の問題が現れる可能性があります。 これは、オピオイドが脳 下垂体 性腺(HPG)軸に影響し、アンドロゲン(男性ホルモン)不足を招くことがあるためと考えられています。こうした変化は、低リビドー、インポテンツ、勃起障害、無月経、不妊といった症状として現れる場合があります。 [1] [2] [3] [4] [5]
どのような仕組みで起こるの?
- ホルモン軸への影響:オピオイドはHPG軸を抑制し、テストステロンなどの性ホルモンを低下させることがあり、これが性欲低下や勃起機能の障害につながり得ます。 [1] [2]
- プロラクチンの上昇:オピオイドはプロラクチンを刺激し、相対的に性ホルモンバランスを崩す可能性があります。これも性機能低下の一因になり得ます。 [1]
- セロトニン/ノルアドレナリン作用:トラマドールはμオピオイド受容体作動に加え、セロトニンとノルアドレナリン再取り込み阻害作用を持ちます。一般に強いセロトニン増強は性機能を抑える方向に働き得るため、間接的に影響する可能性があります。 [6] [7] [8]
実臨床での観察
- オピオイド長期使用者では、男性で遊離テストステロン低下が頻繁に認められますが、ホルモン値の異常と性機能症状の重さが必ずしも一致しないという報告もあります。つまり、ホルモン低下があっても自覚症状がない人、逆に症状が強いのに数値が比較的保たれる人もいます。 [9]
- 添付文書レベルでは、長期オピオイド使用で男女ともに受胎能低下(不妊)の可能性が示され、可逆性(元に戻るかどうか)は不明と記載されています。 [10] [11] [12]
トラマドール特有のポイント
- トラマドールは他の強オピオイドに比べ依存性や乱用の頻度が低いとされますが、オピオイドとしての内在的リスク(HPG軸抑制)から性機能への影響が起こり得ることは同様です。 [6] [7]
- なお、早漏(早期射精)に対して頓用のトラマドールが射精潜時を延長するという研究もありますが、長期治療薬としては推奨されないとの報告があり、性機能改善目的で日常的に使うべき薬ではありません。 [13] [14]
症状が出たらどうする?
- 服用状況の見直し:用量、服用頻度、他剤との併用を確認し、可能なら用量調整や薬剤切り替えを検討します。これは医療者と相談のうえで安全に行う必要があります。 [15]
- ホルモン検査:男性では総テストステロン・遊離テストステロン、プロラクチン、LHなど、女性ではエストロゲン関連指標やアンドロゲン指標を評価し、ホルモン性の関与を確認します。オピオイド使用者で遊離テストステロン低下が見られることがあります。 [9]
- 併用薬の点検:SSRIなどセロトニン作動薬は性機能障害を悪化させることがあります。必要に応じて薬剤の見直しを行います。 [8]
- 生活要因の調整:睡眠不足、ストレス、アルコール、喫煙、慢性痛そのものが性機能に影響するため、痛みの包括的管理と生活習慣の改善も有効です。 [16] [17]
安全性に関する補足
- トラマドールを含むオピオイドの長期使用は生殖能低下を招く可能性があり、可逆性は不明です。将来的な妊娠・出産を希望する場合は、早期に医療者と相談して戦略を立てることが望ましいです。 [10] [11] [12]
- オピオイドの性機能低下への因果関係は、個人差や背景要因(疾患、心理、生活習慣)の影響が大きく、研究でも完全には統制されていません。 そのため、「必ず起こる」わけではないが「起こり得る」という捉え方が適切です。 [18] [19] [20] [21] [22]
まとめ
- 可能性あり:トラマドールは長期使用で性欲低下や勃起不全などの性機能障害が起こり得ます。 [1] [2]
- メカニズム:オピオイドによるHPG軸抑制やプロラクチン変動、+セロトニン作用が関与すると考えられます。 [1] [6] [8]
- 対応:症状が気になる場合は、用量・併用薬の見直し、ホルモン検査、生活要因の調整を検討しましょう。 [9] [8]
よくある質問と回答(Q&A)
-
Q:短期使用でも影響しますか?
A:短期では起こらないことが多いですが、個人差があり、他のセロトニン作動薬との併用や既存の性機能問題がある場合は影響が出ることもあります。長期・高用量ほどリスクは高まる傾向があります。 [1] [6] -
Q:元に戻りますか?
A:中止や減量で改善することはありますが、可逆性ははっきりしていません。早めに相談し、ホルモンや併用薬を含めた総合的な見直しが大切です。 [10] [11] [12]
専門家に相談するタイミング
このような症状はいつ頃から、どのくらいの頻度・用量でトラマドールを使っている時に感じ始めましたか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdef(dailymed.nlm.nih.gov)
- 2.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
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- 6.^abcdTramadol: basic pharmacology and emerging concepts.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abTramadol: basic pharmacology and emerging concepts.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcdePsychotropic medications and their effects on sexual function: diagnosis, biology, and treatment approaches.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdOpioid analgesics suppress male gonadal function but opioid use in males and females does not correlate with symptoms of sexual dysfunction.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
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- 13.^↑Evaluation of tramadol on demand vs. daily paroxetine as a long-term treatment of lifelong premature ejaculation.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 14.^↑Safety and efficacy of tramadol hydrochloride on treatment of premature ejaculation.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 15.^↑Tramadol: MedlinePlus medicinas(medlineplus.gov)
- 16.^↑Drug-induced sexual dysfunction.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 17.^↑Drug-induced male sexual dysfunction.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 18.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
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ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


