
メトホルミンの服用で性欲低下や勃起不全などの性関連の副作用は起こり得ますか?
メトホルミンは一般的に性欲低下や勃起不全といった性関連の副作用は頻繁ではありません。むしろインスリン抵抗性や血管内皮機能の改善を通じて、勃起機能やテストステロンが改善する可能性が示されています。症状が気になる場合は、糖尿病のコントロールや併用薬、ビタミンB12不足なども含めて医師に相談してください。
概要
メトホルミンは2型糖尿病の治療で広く使われる薬で、一般的な副作用は胃腸症状(吐き気、下痢など)やビタミンB12不足などです。性欲低下や勃起不全といった「性関連の副作用」は、公式の添付文書や医薬品情報では代表的な副作用として明確に列挙されていないため、頻度は高くないと考えられます。 [1] [2] ただし、糖尿病やインスリン抵抗性そのものが性機能に影響することがあり、メトホルミンの代謝改善作用が性機能を間接的に改善する可能性も示されています。 [3] [4]
公式情報の位置づけ
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添付文書の副作用一覧
公的な医薬品情報では、主な注意点は「乳酸アシドーシス」「ビタミンB12欠乏」「低血糖(他薬併用時)」「胃腸症状」などで、性機能障害は代表的な項目として記載されていません。 [1] [2]
したがって、性欲低下・勃起不全がメトホルミン単独で頻繁に起こる副作用とは言い切れません。 [1] [2] -
一般的な臨床試験で見られる副作用
公式情報では、味覚異常、頭痛、上気道感染、鼓腸などが記載されますが、性機能に関する記載は限定的です。 [5]
全体として、性関連の副作用は公式に一般的とは扱われていません。 [1] [5]
性機能への影響に関する臨床知見
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勃起機能の改善の可能性
インスリン抵抗性が強く、シルデナフィル(ED治療薬)への反応が乏しい男性に、メトホルミンを追加すると勃起機能スコア(IIEF-5)が有意に改善した小規模ランダム化試験が報告されています。 [3]
これは、メトホルミンがインスリン抵抗性や血管内皮機能(NO産生)を改善することで、勃起機能を間接的に後押しする可能性を示唆します。 [3] -
テストステロンの改善報告
代謝症候群の男性で、メトホルミンと生活改善(食事・運動)を組み合わせた4か月の介入により、総テストステロンと遊離テストステロンが上昇した研究があります。 [4]
ホルモン環境の改善は、性欲や勃起機能に好影響を与えうるため、メトホルミンは間接的にプラスに働く可能性があります。 [4] -
女性ホルモン環境への影響(補足)
女性ではメトホルミンがアンドロゲンやSHBG(性ホルモン結合グロブリン)に影響するという系統的レビューがあり、PCOSなどではホルモンバランスの改善に用いられることがあります。 [6]
ただし、女性の性欲に対する直接的な効果は研究の質や対象が限られており、断定は難しいです。 [6]
実臨床での見方
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性機能低下の原因は多因子
性欲低下や勃起不全は、糖尿病そのもの、インスリン抵抗性、血管障害、神経障害、うつや不安、睡眠障害、アルコール、喫煙、他の薬(降圧薬やSSRIなど)など複数の要因が絡みます。
メトホルミンが主因である可能性は相対的に高くない一方、代謝改善によりむしろ改善が見られるケースもあります。 [3] [4] -
ビタミンB12欠乏との関連
メトホルミンはビタミンB12を下げることがあり、B12不足は疲労や抑うつ感、しびれ等を招くことがあります。 [1]
B12不足による全身症状が間接的に性欲に影響することは理論的にあり得るため、長期服用者はB12チェックが役立ちます。 [1]
いつ受診・相談すべきか
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次のような場合は医師に相談を
- 服用開始後に明らかな性欲低下や勃起不全が続く、生活の質が下がる。
- しびれ、倦怠感などビタミンB12不足を疑う症状が出ている。 [1]
- 他の薬を併用しており、相互作用や副作用の重なりが心配。
- 糖尿病の血糖コントロールが不十分で、性機能にも影響が出ている。
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相談時に役立つ情報
症状の始まりとメトホルミンの開始・用量変更の時期、他の薬、生活習慣、血糖値の推移、勃起機能の尺度(IIEF-5の自己評価)などを整理しておくと、因果関係の推定に役立ちます。 [3]
対策のアイデア
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生活習慣の最適化
体重管理、適度な有酸素運動・筋力トレーニング、十分な睡眠、ストレスケアは、血糖と性機能の双方に良い影響があります。 [4]
運動とメトホルミンの併用はホルモン環境改善にもつながりやすいです。 [4] -
栄養と検査
長期服用者は年1回程度のビタミンB12測定を検討すると安心です。 [1]
不足があれば、食事改善やサプリメントで補う方法もあります。 [1] -
ED治療薬の併用検討
シルデナフィルなどのED治療薬が効きづらい場合でも、インスリン抵抗性の改善で反応性が上がる可能性があります。 [3]
主治医と安全性を確認しながら、併用の可否を相談するとよいでしょう。 [3]
まとめ
- 公式情報では、メトホルミンの「性関連の副作用」は一般的な副作用としては位置づけられていません。 [1] [2]
- 臨床研究では、インスリン抵抗性の改善を通じて勃起機能やテストステロンが改善する可能性が示されています。 [3] [4]
- もし性欲低下や勃起不全が気になる場合は、他の要因(血糖コントロール、生活習慣、併用薬、B12不足など)も含めて総合的に評価・対応することが大切です。 [1] [3] [4]
ご自身では最近、性欲や勃起の変化をいつ頃から、どのくらい感じていますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijkMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, film coated, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefghiAddition of metformin to sildenafil treatment for erectile dysfunction in eugonadal nondiabetic men with insulin resistance. A prospective, randomized, double-blind pilot study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdefghEffects of metformin and short-term lifestyle modification on the improvement of male hypogonadism associated with metabolic syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abMETFORMIN HYDROCHLORIDE EXTENDED-RELEASE TABLETS These highlights do not include all the information needed to use METFORMIN HYDROCHLORIDE EXTENDED-RELEASE TABLETS safely and effectively. See full prescribing information for METFORMIN HYDROCHLORIDE EXTENDED-RELEASE TABLETS. METFORMIN HYDROCHLORIDE extended-release tablets, for oral use Initial U.S. Approval: 1995(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^abThe effects of metformin on endogenous androgens and SHBG in women: a systematic review and meta-analysis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


