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Persly 医療専門チームPersly 医療専門チーム
2026年2月12日5分で読める

断食(絶食)を行う場合、メトホルミンは中止すべきですか?

要点:

断食や手術などで飲食が制限される場合は、脱水や腎機能悪化に伴う乳酸アシドーシスのリスクを避けるため、メトホルミンは一時中止が推奨されます。再開は食事・水分の摂取が再開し、腎機能が安定していることを確認してから行います。併用薬がある場合は低血糖リスクも踏まえ医療者と調整します。

断食時のメトホルミン中止の考え方

断食(絶食)や術前で食事・水分が制限される状況では、メトホルミンは一時的に中止するのが一般的です。 食事・水分の制限は脱水や低血圧、腎機能の悪化につながりやすく、これらはメトホルミン関連乳酸アシドーシス(体内に乳酸が溜まる重篤な代謝異常)のリスクを高める要因となるためです。 [1] メトホルミンは、食事・水分の摂取が制限されている間は一時的休薬が推奨されます。 [2] 同様に手術や検査などで絶食が必要な場合も、口からの摂取が再開し腎機能が安定したことを確認してから再開します。 [3]


なぜ中止するのか(リスクと背景)

  • 脱水・腎機能への影響
    断食や術前の禁飲食により体液量の低下(ボリューム減少)や低血圧、腎機能障害が起こり得ます。こうした状況ではメトホルミンの体内蓄積が起きやすく、乳酸アシドーシスのリスクが上がります。 [1] そのため食事・水分が制限される期間は休薬が安全策となります。 [2]

  • 低酸素状態(重症疾患時)
    心不全の急性増悪、敗血症、ショック、心筋梗塞など低酸素を伴う急性疾患では、乳酸アシドーシスの報告があり、こうしたイベントが起きた際は速やかにメトホルミンを中止します。 [1] 同様の注意は他の公式情報でも一貫して示されています。 [4]

  • 手術・処置の前後
    外科的手術を受ける場合、食事・水分制限が伴う手術ではメトホルミンを一時中断し、経口摂取が再開し腎機能が正常であることを確認してから再開します。 [5] これは広く採用されている周術期の安全対策です。 [6]


低血糖の心配は?

メトホルミンはインスリン分泌を増やさないタイプの薬で、単剤では低血糖を起こしにくいとされています。 [7] しかし、断食中は全身状態が変化しやすく、他の糖尿病薬(スルホニル尿素系やインスリン)を併用している場合には低血糖のリスクが上がるため総合的な調整が必要です。 [8]
それでも、メトホルミン自体の中止判断は低血糖予防よりも、乳酸アシドーシス回避(腎機能・循環動態の悪化時の安全性確保)が主な目的です。 [1]


再開のタイミング

  • 食事・水分の再開後
    断食が終わり、通常の食事・水分摂取が再開されてから再開します。 [3]
  • 腎機能の確認
    腎機能が安定(医師の判断で問題なし)であることを確認してから再開するのが推奨されています。 [5]
  • 合併症がないこと
    低酸素状態や重症感染、循環不全などがないことも再開条件として重要です。 [4]

実務的な目安

  • 短期の宗教的断食や検査前の半日〜1日の絶食
    食事・水分の制限がある間はメトホルミンを一時中止し、摂取再開後に元の用量で再開するのが一般的です。 [2]
  • 手術前日〜当日
    手術に伴う禁飲食がある場合は手術前から休薬し、術後の経口摂取再開・腎機能確認後に再開します。 [5]
  • 急性疾患(発熱・下痢嘔吐による脱水、心不全増悪、敗血症など)
    こうしたイベント時には中止し、回復後に再開します。 [1]

他の薬との併用をしている場合の注意

  • スルホニル尿素系・メグリチニド系
    これらは低血糖のリスクが高い薬です。断食中は一時的に中止・減量を検討することが一般的です。 [8]
  • インスリン
    断食の長さや血糖値に応じて基礎インスリンは維持しつつ、追加インスリンを調整することがあり、医療者の指示に従うのが安全です。 [9]
  • チアゾリジン系
    心不全リスクから一時中止が考慮される場合があります。 [9]

まとめ

  • 断食・禁飲食がある状況では、メトホルミンは一時中止が推奨されます。 これは脱水や腎機能悪化による乳酸アシドーシスのリスクを避けるためです。 [1]
  • 手術などの周術期でも同様に、一時中止し、経口摂取再開・腎機能安定後に再開する流れが一般的です。 [5]
  • 単剤のメトホルミンは低血糖を起こしにくい薬ですが、断食中は全身状態が変わるため、他薬の調整も含め医療者に相談しながら安全に対応することが大切です。 [7] [8]

再開チェックリスト(安全な再開のために)

  • 食事・水分の摂取が十分に再開できている。 [3]
  • 脱水や低血圧がなく、腎機能に問題がないと確認できている。 [5]
  • 心不全増悪や感染症など低酸素を招く急性イベントがない。 [4]
  • 他の糖尿病薬の用量・スケジュールが整理されている(低血糖予防)。 [8]

よくある質問

  • メトホルミンを中止すると血糖が上がりませんか?
    断食中は摂取カロリーが少ないため、短期間の休薬では大きな血糖悪化が起きにくいことが多いです。再開後に普段の用量へ戻し、必要なら血糖を確認しましょう。 [9]

  • どのくらいの断食で中止すべき?
    数時間〜半日の軽い断食でも、飲食が制限される医療的状況(手術・検査)では中止が推奨されます。期間よりも水分・食事の制限の有無と腎機能・循環状態で判断します。 [2] [5]

  • いつ再開すればいい?
    食事・水分の摂取が十分に再開し、腎機能が安定していることを確認できたら再開します。 [3] [5]


断食の予定や持病、併用薬によって最適な方法は少しずつ異なります。安全のため、事前に主治医へ「断食期間」「併用薬」「腎機能の最新結果」などを伝え、個別の再開タイミングと用量調整を相談してください。 [5]

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出典

  1. 1.^abcdefMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdMETFORMIN HYDROCHLORIDE tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdDailyMed - METFORMIN HYDROCHLORIDE tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcDailyMed - METFORMIN HYDROCHLORIDE tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefghMetformin Hydrochloride Tablets, USP(dailymed.nlm.nih.gov)
  6. 6.^metformin(dailymed.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abMetformin: a review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abcdBalancing risk and benefit with oral hypoglycemic drugs.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcGlucose control in hospitalized patients.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。