
ロサルタンを服用している場合、ブルーチーズなどの熟成チーズに含まれるチラミンと相互作用して血圧が上がることはありますか?
要点:
ロサルタン(ARB)はチラミンとの特異的な相互作用は報告されておらず、通常の量の熟成チーズで「チーズ反応」による急激な血圧上昇は起こりにくいと考えられます。問題となるのはMAOIや一部MAO-B阻害薬を併用している場合で、高チラミン食品の摂取は避けるべきです。過度な量の摂取は一過性の血圧上昇を招く可能性があるため、量に注意しましょう。
ロサルタンとチラミン(熟成チーズ)の相互作用はある?
結論として、ロサルタン(アンジオテンシンII受容体拮抗薬/ARB)はチラミンと特異的な相互作用は報告されておらず、通常の用量で熟成チーズを食べてもチラミン由来の急激な血圧上昇(いわゆる「チーズ反応」)は起こりにくいと考えられます。 [1] ただし、チラミンによる血圧上昇自体は、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)や一部のMAO-B阻害薬を服用している場合に問題となるため、該当薬を併用しているかの確認は重要です。 [2] [3]
チラミンのしくみと「チーズ反応」
- チラミンは熟成・発酵食品(ブルーチーズ、スティルトンなど)に多く含まれ、交感神経を刺激して血圧を上げる作用(プレスラー作用)があります。 [4]
- 通常は体内の酵素(モノアミン酸化酵素)がチラミンを分解するため大きな問題になりませんが、MAOIを服用中はこの分解が阻害され、少量のチラミンでも急激な血圧上昇を起こすことがあります。 [5]
- MAO-B阻害薬の一部(ラサギリンなど)でも高含有チラミン食品で血圧が大きく上昇する可能性があり、摂取を避ける指導が行われています。 [6] [2]
ARB(ロサルタン)とチラミンの関係
- ロサルタンはアンジオテンシンIIの受容体(AT1)を遮断して血圧を下げる薬で、交感神経やチラミン代謝には直接関与しません。 [1]
- 臨床的にもロサルタンは一般的に良好に耐容され、チラミンとの特異的な相互作用による高血圧危機は知られていません。 [1]
- そのため、ロサルタン単剤での服用時にチラミンが原因で血圧が急上昇するリスクは通常は高くありません。 [1]
注意が必要なケース
- MAOI(フェネルジン、トラニルシプラミンなど)や一部MAO-B阻害薬(ラサギリンなど)を同時に服用している場合は、高チラミン食品を避ける必要があります。 [5] [2] [3]
- 高濃度のチラミンを含む熟成チーズ(例:スティルトン)は特に危険度が高いとされています。 [3]
- チラミン負荷により血圧が急上昇し、激しい頭痛、動悸、発汗、胸の痛み、視覚異常などの「高血圧クリーゼ」の症状が出ることがあります。 [7]
ロサルタン服用時の食事の目安
- ロサルタン単剤の場合、一般的な範囲での熟成チーズ摂取は大半の人で問題になりにくいと考えられます。 [1]
- ただし、過度な量の高チラミン食品を一度に摂ると、一過性の血圧上昇が起き得るため、量には気をつけましょう。 [4]
- 他の薬(特に抗うつ薬のMAOIやパーキンソン病治療薬のMAO阻害薬)を併用している場合は、医療者と具体的な食品リストを確認し、必要に応じて高チラミン食品を制限してください。 [5] [2]
ロサルタンの一般的な安全性ポイント
- ロサルタンは24時間にわたりなめらかな降圧効果を示し、単剤でも多くの方で良好な忍容性が確認されています。 [8] [1]
- 体液不足(脱水)や下痢・嘔吐があると血圧が下がり過ぎることがあり、ふらつきに注意が必要です。 [9]
- 塩分制限が強い場合や利尿薬併用では降圧が強まることがあり、めまいなどが出たときは量調整の相談が有用です。 [10] [8]
高チラミン食品の例
まとめ
- ロサルタン自体はチラミンと特異的な相互作用を持たず、通常は熟成チーズで危険な血圧上昇は生じにくいです。 [1]
- 一方、MAOIや一部MAO-B阻害薬を併用している場合は高チラミン食品を避ける必要があり、該当薬の有無がポイントになります。 [5] [2] [3]
- 不安がある場合は、現在の併用薬と食事内容を医療者に共有し、個別に指導を受けると安心です。 [5]
よくある質問に対する補足
-
「熟成チーズを少し食べただけで危険ですか?」
通常の量であればロサルタン単剤では危険度は高くありませんが、MAOI等を服用している場合は少量でも注意が必要です。 [1] [5] -
「どのチーズが特に危険?」
スティルトンなどの非常に高いチラミン含有が報告される熟成チーズはリスクが高いとされています。 [3]
簡易チェックリスト
- 現在、MAOI(抗うつ薬)やMAO-B阻害薬(パーキンソン病薬)を飲んでいないか確認。 [5] [2]
- 熟成チーズを大量に一度に摂らないように量を調整。 [4]
- 激しい頭痛・動悸・発汗など急な血圧上昇の兆候があれば、すぐに受診。 [7]
- 体調不良(脱水、下痢・嘔吐)時はロサルタンで血圧が下がり過ぎることがあり、無理な摂食や飲酒は控える。 [9]
参考のポイント
- ロサルタンはAT1受容体を遮断し、交感神経・チラミン代謝には直接作用しないため、チラミンとの相互作用は基本的に問題になりません。 [1]
- チラミンによる高血圧危機は、MAOI・一部MAO-B阻害薬での「酵素ブロック」が主因です。 [5] [2] [3]
現在、他のお薬(とくに抗うつ薬やパーキンソン病薬)を一緒に飲んでいることはありますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghiEfficacy and safety of losartan.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefgDailyMed - RASAGILINE- rasagiline tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefgDailyMed - RASAGILINE tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdDietary tyramine and other pressor amines in MAOI regimens: a review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdefghAvoid the combination of high-tyramine foods and MAOIs(mayoclinic.org)
- 6.^↑DailyMed - AZILECT- rasagiline mesylate tablet(dailymed.nlm.nih.gov)
- 7.^abAvoid the combination of high-tyramine foods and MAOIs(mayoclinic.org)
- 8.^abBlood pressure effects of the angiotensin II receptor blocker, losartan.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^ab(dailymed.nlm.nih.gov)
- 10.^↑Clinical pharmacology of the angiotensin II receptor antagonist losartan potassium in healthy subjects.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


