
米国NIHの資料に基づく | 赤身肉を多く食べると骨粗鬆症のリスクが高まるというのは本当ですか?
要点:
赤身肉の摂り過ぎ、とくに脂肪の多い部位や加工肉の多量摂取は、研究で骨折リスクとの関連が示唆されています。一方でタンパク質は骨に必須であり、赤身肉は適量・未加工・赤身部位を選び、カルシウムとビタミンDの充足、魚や大豆の併用、運動を組み合わせることで骨への不利を最小化できます。
赤身肉の摂り過ぎが直接「骨粗鬆症そのもののリスクを必ず高める」とまでは言い切れませんが、いくつかの研究では、特に脂肪分の多い赤身肉や加工肉の多量摂取が骨折リスクや骨に不利な影響と関連する可能性が示唆されています。一方で、骨の健康にはタンパク質自体も必要であり、赤身肉を“適量で、脂身や加工を控えて”食べることは多くの方で問題にならないと考えられます。 [1] [2]
骨の健康に大切な基本ポイント
- カルシウム・ビタミンD・適量のタンパク質は骨の材料です。 カルシウムとビタミンDが不足すると骨が弱くなり、骨粗鬆症のリスクが上がります。 [1] [2]
- ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を助け、骨の石灰化を支えます。 体内で活性化されたビタミンDは小腸でカルシウムとリンの吸収を高め、骨のミネラル化に不可欠です。 [3] [4]
- 生活習慣(運動・禁煙・節酒)も骨を強くします。 食事と合わせて転倒予防や骨密度維持に役立ちます。 [1]
赤身肉と骨のリスク:わかっていること・わからないこと
観察研究の示唆
- 脂肪分の多い赤身肉の多量摂取と股関節骨折リスクの上昇が関連した報告があります。 高齢者を対象にした症例対照研究では、赤身肉の総摂取量が多い群で股関節骨折のオッズが高く、特に「脂肪分の多い豚肉」や内臓肉が影響している可能性が示されました。 [5]
処理・成分の影響
- 加工肉は心血管疾患などのリスク上昇と強く関連し、健康全般に不利です。 未加工の赤身肉と比べ、加工肉は塩分や保存料が多く、健康リスクが高いと評価されています。 [6]
- 赤身肉に多いヘム鉄や飽和脂肪酸の過剰は、間接的に骨に不利となる生活習慣病(代謝異常・心血管疾患)のリスクを高める可能性があります。 こうした全身状態の悪化は骨折リスクにもつながり得ます。 [7]
ただし、タンパク質は必要
- 十分なタンパク質は骨の材料になり、骨密度の維持に役立つ可能性があります。 大規模研究では、タンパク質を脂肪の代わりに適切に摂ること自体は骨に不利と限らないと示唆され、特に植物性タンパク質が骨密度と良い関連を示した分析もあります。 [8]
- 骨の予防ガイドでは、カルシウム・ビタミンDとともに“適量のタンパク質”を摂ることが推奨されています。 [1] [9]
メカニズムの観点:なぜ“過剰な赤身肉”が気になるのか
- 高タンパク食は尿中カルシウム排泄を増やしうるため、カルシウム摂取が不足していると骨に不利に働く可能性があります。 そのため、タンパク質をしっかり摂る場合ほど、カルシウムとビタミンDの充足が重要です。 [8] [3]
- ビタミンDが不足すると腸からのカルシウム吸収が落ち、骨のミネラル化が不十分になります。 赤身肉の量に関わらず、ビタミンDの不足は骨粗鬆症の大きなリスク因子です。 [3] [4]
実践の目安:赤身肉と骨を両立させるコツ
- 量は“適量”に:赤身肉は週2〜3回、1回80〜100 g程度を目安にし、他日は魚・大豆製品・卵などでタンパク源を分散するのがおすすめです(個人差あり)。
- 部位と調理を見直す:脂肪の多い部位や内臓・揚げ物・強い焦げは控え、ヒレなどの赤身部位を焼き過ぎずに調理しましょう。加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージ)は頻度を抑えるとより安全です。 [6]
- カルシウムを十分に:牛乳・ヨーグルト・チーズ、骨まで食べられる魚、青菜、強化食品などで1日700–800 mg以上を目指しましょう(国・年齢で推奨量は変わります)。タンパク質が多い日は特にカルシウムを意識するとバランスが取れます。 [9]
- ビタミンDを確保:日光浴に加え、サーモンなどの脂の多い魚、きのこ、強化乳などから摂り、必要に応じてサプリも検討します。ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を高め、骨の石灰化を支えます。 [3] [4]
- 運動と生活習慣:筋力トレ・有酸素・バランス訓練の組み合わせは骨と転倒予防に有効です。禁煙・節酒も骨保護に役立ちます。 [1]
まとめ
- “赤身肉=骨粗鬆症”と単純には言えませんが、脂肪分の多い赤身肉や加工肉の多量摂取は骨折リスクと関連する可能性があり、控えめが無難です。 [5] [6]
- 骨の健康を守る鍵は、カルシウム・ビタミンD・適量のタンパク質という“材料”をそろえ、運動や禁煙などの生活習慣を整えることです。 [1] [9]
- 赤身肉は“適量・未加工・赤身部位中心”で、魚や大豆製品と組み合わせ、カルシウムとビタミンDを十分に摂ることで、骨への不利を最小化しやすくなります。 [1] [3]
参考になるポイント比較
| 項目 | 骨に不利となりうる要因 | 骨に有利な工夫 |
|---|---|---|
| 赤身肉の種類・量 | 脂肪の多い部位や内臓肉の多量摂取は股関節骨折リスクと関連の可能性 [5] | ヒレなど赤身部位を適量、週2–3回に分散 |
| 加工肉 | 塩分・保存料が多く、健康リスク上昇と関連 [6] | 加工肉は頻度を抑え、未加工肉に置換 |
| タンパク質全体 | カルシウム不足下の高タンパクは尿中Ca排泄増で不利の可能性 [8] | タンパク質は適量、同時にカルシウムを確保 [9] |
| カルシウム | 不足で骨が弱くなる [9] | 乳製品・小魚・青菜・強化食品で日々充足 [9] |
| ビタミンD | 不足でCa吸収低下・石灰化不全 [3] | 食事+日光で確保、必要なら補助 [3] [4] |
| 運動・生活習慣 | 運動不足・喫煙・過度の飲酒は不利 [1] | 抗重力運動・筋トレ・禁煙・節酒 [1] |
骨の健康を重視したいとのこと、とても良い視点です。現在の赤身肉の頻度や1回量、乳製品や魚、日光浴の習慣はどのくらいでしょうか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghiOsteoporosis(medlineplus.gov)
- 2.^abOsteoporosis(medlineplus.gov)
- 3.^abcdefg(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdVITAMIN D(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abcThe association of red meat, poultry, and egg consumption with risk of hip fractures in elderly Chinese: a case-control study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdProcessing of meats and cardiovascular risk: time to focus on preservatives.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^↑Dietary intakes of zinc and heme iron from red meat, but not from other sources, are associated with greater risk of metabolic syndrome and cardiovascular disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcProtein intake and lumbar bone density: the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA).(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdefCalcium and bones: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


