
PubMedの資料に基づく | アルコールの摂取は骨粗鬆症の進行や骨折リスクを高めるというのは本当ですか?
アルコールの過剰摂取は、骨形成の抑制や骨吸収の促進、栄養代謝への影響、転倒増加を通じて骨粗鬆症の進行と骨折リスクを高めます。骨の健康を守るための目安は、女性は1日1ドリンク、男性は2ドリンクまでです。少量〜中等量で骨密度が高い関連を示す研究もありますが、飲み過ぎないことが最重要です。
アルコールは摂り過ぎると、骨粗鬆症の進行や骨折リスクを高める可能性が高いと考えられています。特に1日2ドリンクを超える習慣的な飲酒は、骨の形成を妨げ、転倒リスクも上げるため骨折につながりやすくなります。 [1] [2] また、「適量」を守ることは重要で、目安として女性は1日1ドリンク、男性は1日2ドリンクまでが推奨されます。 [3]
なぜアルコールで骨が弱くなるのか
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🍷 骨形成の低下と骨吸収の促進
アルコールは骨を作る細胞(骨芽細胞)の働きを抑え、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを相対的に高める方向に作用すると報告されています。これにより骨量が減りやすくなります。 [4]
実験研究では、エタノールが骨芽細胞で酸化ストレス(ROS)を増やし、破骨細胞分化に必要なRANKLの発現を高めることで骨吸収が進むことが示されています。抗酸化剤でこの変化が抑えられることも報告されています。 [4] -
🧪 カルシウム・ビタミンD・ホルモンへの影響
急性の大量摂取では一過性に副甲状腺ホルモンが抑制され低カルシウム血症を起こしやすく、慢性的な重度飲酒ではビタミンDの低下やカルシウム吸収障害が見られることがあります。 [5]
これらの変化は、骨へのカルシウム取り込みを妨げ、長期的に骨密度低下につながる可能性があります。 [5] -
🚶 転倒による骨折増加
飲酒によりふらつきや反応低下が起き、転倒しやすくなること自体が骨折リスクを高めます。 [1] [6]
どのくらい飲むとリスクが高まるのか
- 1日2ドリンクを超える常習的飲酒は、骨形成低下と骨折リスク増加が指摘されています。 [1] [2]
- 骨の健康を守るための一般的な「適量」の目安は、女性は1日1ドリンク、男性は1日2ドリンクまでです。 [3]
- 過度の飲酒(heavy drinking)は、低骨密度と骨折の重要な危険因子です。 [7]
一方で、観察研究の一部では、閉経後女性で「軽度〜中等度」の飲酒が骨密度の高さと関連した結果も報告されています。ただしこれは骨密度(BMD)の指標であり、骨折リスク全体を下げると断定できるものではありませんし、適量の幅や個人差が大きい点に注意が必要です。 [8]
研究の要点(ヒト研究と実験研究)
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疫学データ
閉経後女性で週7オンス(約207mLの純アルコールに相当)以上の飲酒群は、最も少ない飲酒群と比べて複数部位で骨密度が高い関連が観察されました。ただし、これは骨折予防効果を直接示すものではありません。 [8] -
基礎・機序研究
エタノールは骨芽細胞でNADPHオキシダーゼ活性化→ROS増加→RANKL上昇という経路で、骨吸収促進と骨形成抑制を引き起こすことが動物モデルで示されています。 [4]
総合すると、「適量を超える飲酒」は骨代謝にマイナスで、骨折を増やす方向に働く可能性が高い一方、「少量〜中等量」では骨密度指標にプラス関連が見られる研究もあるというのが現状です。 [1] [2] [8]
実生活での目安とアドバイス
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✅ 量の目安を守る
女性は1日1ドリンク、男性は1日2ドリンクまでを目安にしましょう。これを超えないことが、骨の健康を守るうえで推奨されます。 [3]
1ドリンクの例:ビール350mL、ワイン150mL、日本酒180mL弱、蒸留酒(40%)45mL程度(飲料により差があります)。 -
🥗 骨づくりの土台を整える
適正量のカルシウムとビタミンDの摂取、筋力トレーニングやウォーキングなどの「骨に負荷をかける運動」、禁煙、転倒予防を組み合わせるとよいです。これらは骨量維持と骨折予防の基本です。 [1] -
🛡️ 転倒対策を意識する
飲酒時は段差・浴室・夜間トイレなどでの転倒に注意し、手すりや夜間照明の活用など環境整備も有効です。 [1] -
🧭 個別状況に合わせる
骨粗鬆症の診断がある方、低体重、栄養不足、肝機能障害、ホルモン異常、ビタミンD欠乏などがある方は、少量であっても影響が出やすい可能性があるため、医療者と量を相談しながら調整するのがおすすめです。 [5]
まとめ
- 過度の飲酒は、骨形成の低下・骨吸収の促進・転倒増加を通じて、骨粗鬆症の進行と骨折リスクを高めると考えられます。 [1] [2] [6]
- 骨の健康を守るなら、女性は1日1ドリンク、男性は1日2ドリンクまでが一つの目安です。 [3]
- 一部研究で少量〜中等量の飲酒が骨密度の高さと関連した結果もありますが、骨折リスクの観点では「飲み過ぎないこと」が最優先です。 [8] [1]
比較表:飲酒量と骨への一般的影響の目安
| 飲酒量の目安 | 骨への影響(概要) | 補足ポイント |
|---|---|---|
| 節度ある飲酒(女性1杯/日、男性2杯/日まで) | 一部で骨密度との正の関連が観察されることがあるが、個人差が大きい | 骨折リスクを確実に下げるとは限らないため、全体としては「控えめに」がおすすめ [8] [3] |
| 2杯/日を超える習慣的飲酒 | 骨形成の低下、骨折リスク上昇、転倒リスク増加 | できる限り減量を検討 [1] [2] |
| 重度の慢性飲酒 | ビタミンD低下、カルシウム吸収障害、骨芽細胞抑制、破骨細胞促進 | 骨量低下と骨折増加のリスクが高い [5] [4] |
必要であれば、現在の飲酒量や生活習慣に合わせて、減酒の方法や骨密度検査(DXA)を受けるタイミング、栄養・運動プランも一緒に考えられますよ。
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghiDiagnosis and treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 2.^abcdeOsteoporosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 3.^abcdeBone health: Tips to keep your bones healthy(mayoclinic.org)
- 4.^abcdInhibition of NADPH oxidases prevents chronic ethanol-induced bone loss in female rats.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdAlcohol and bone.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abOsteoporosis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 7.^↑Bone Density(medlineplus.gov)
- 8.^abcdeAlcohol intake and bone mineral density in elderly men and women. The Framingham Study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


